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乱入者

「らああぁぁぁぁっっ!!」

「そぉぉぉりゃ!!」

 剣と刀がぶつかる度に周りの竹がえぐり取られていく。

 男は余裕の笑みを浮かべているが、朔の方はそろそろ限界に近づいていた。

 男が振るう剣に対して、朔は千倍まで加速して刀を振るう。それでようやく相打ち。

 更に言えば男は白炎の剣を振るうだけで、作り出した黒い剣を持っただけで使っていない。

 もしその剣も使われ出したら・・・と考えていると斬撃が飛ぶ。

「ええいこなくそ!」

 剣を振るい斬撃を防ぐ。それで限界だった。

 ガクッと足に力が入らなくなり、膝を地面につけてしまう。

「・・・おい」

 と、男は白炎の剣を朔に向ける。その目は落胆の感情があった。

「なんでお前『心』を使わないんだ。そんなボロボロの身体のくせに」

 何か言い返そうとした。だけどもう口が動くことはなかった。

「・・・まあいいや。ここでゲームオーバーだ、人間」

 白炎の剣を高く振り上げた。白い光がとても眩しい。

(・・・あ・・・・れ?)

 空に、存在するはずのない物が見えた。



「ああもう鬱陶しいわね!」

 飛んでくる小さな火の鳥を射ち落とす。とはいえそれが無駄なのはわかっていた。

 すぐに消した分の火の鳥がこちらに飛んでくる。今度は飛んで逃げて距離を離す。

 チラリと遠くを見ると、輝夜が藤原妹紅と喧嘩しながらも火の鳥や妖怪を撃墜してるのが見えた。あれなら永琳が加勢に行く必要はない。

「逃がさんぞ!」

「むしろこっちに加勢に来て欲しいわね!」

 飛んできた火の塊に矢を射ち込むが、そんな物が効くはずもなく火の塊はこちらに突っ込んでくる。

 永琳は大きく動いて火の塊を避ける。

 火の塊が形を変え、鳥のような姿をとる。

「八意! おとなしくしているがいい!」

「それでおとなしくなる人なんていないわよ」

「それもそうだ・・・天界炎!」

 永琳を檻の形をした白い炎が閉じ込めた。永琳は懐から爆弾を取り出し、自身の近くで爆発させる。

「っ!!」

 激痛に耐えながら檻を脱出する。さっきからこのようなことを繰り返していて、今ので永琳の手持ちは消えた。

(・・・さて、レイセンは半人半霊を連れてちゃんと逃げれたのかしらね?)

 もはや裸に近い状態で永琳は辺りを探る。鈴仙の気配も、半人半霊の気配も感じ取れなかった。

「これで私の勝ち、かしらね?」

 永琳や輝夜(ついでの藤原妹紅)は蓬莱人だ。何をされても死なない身体は、まともに戦う必要をなくしていた。

 要するに持久戦。死なない奴を殺そうと考えること事態が冗談か何かだ。しかも相手はちゃんと理解してやってるのだから狂ってるのか疑いたくなる。

「・・・・っ!!」

 痛みを感じて見たものは、自身をとんでもない力で掴む火の鳥。

「死なないとはいえ、痛みは感じるらしいな」

 ニヤリ、と火の鳥が笑ったような気がした。

「持久戦は考えても無駄だ。私は主から力をもらわなくても十年は活動できるんでな。・・・一緒にマグマ温泉にでもいこうか」

 永琳もニヤリと笑って言ってやる。

「じゃあ十年ほどゆっくり休むとしましょうか」

「ふん、それもいつまで続くか楽しみだ」

(もって一年かしらね。それ以上は精神が持つとは思えないわ)

 そういえば、輝夜は大丈夫だろうか。とふと思う。あの子は中々の世間知らずだから大変だが、十年くらいなら鈴仙が頑張ってくれるかとも思う。

(・・・さようなら、輝夜。お達者で)

 抵抗することもない永琳を、火の鳥は勢い良く翼を羽ばたかせる。

 その翼に、真紅の槍が突き刺さった。

「っ!」

 それでバランスを崩したのか火の鳥は永琳を放してしまう。

「ば、かな。こんな強大な魔力・・・人間ではないのか?」

「何を当たり前のことを。私は見ての通り吸血鬼よ」

 空高くから声が聞こえてきた。

 永琳は乱入者に問いかける。

「貴方が一人だけなんて珍しいわね。今日はどうしたの?」

「・・・そんなの、決まっているだろう」

 悪魔の翼と真紅の瞳を持つ小さな少女は、莫大な魔力を抑えることなく辺りへ撒き散らす。


「咲夜に手を出しておいて、私が何もしないとでも思ったか?」


 真紅の槍が、雨のように竹林に降り注いだ。



「・・・あーあ、めんどくさいガキが来ちゃったよ」

 その莫大な魔力を感じ取った男は魔力のある方を見る。そこに向かって真紅の何か槍が豪雨のように降り注いでいた。

 男の使える七つの炎の一つ、畜生炎は言ってしまえば生きる炎だ。炎自体が意思を持つし、鍛錬を積めば強くなっていくが・・・。

「・・・作り直しだな、これ」

 流石にあれを受けて生きてると思えるほどの力はない。あれほど忠誠心がある畜生炎もいなかったが、仕方が無い。

 それよりもこちらの人間を片付けるのが先だと思い、白炎の剣を握り直す。

「そらよ!」

 そしてその白炎の剣で、飛んできた蝶の軍団を蹴散らした。

「・・・くくく、亡霊まで来るとは、俺ってば人気ものだな」

 夜空に佇み、扇をこちらに向ける亡霊は感情の読み取れない笑みを浮かべていた。

「今宵は良く晴れた」

 亡霊が何か言っていた。

「妖艶なる月も、紅く紅く輝いている」

「・・・?」

 月、と言ったが月は現在進行形で男の作った塔で遮断されているはずだ。

 その時、突然空に紅い満月か現れた。

「ばかな!?」

「さあ踊りましょう」

 紅い満月をバックに、亡霊が扇を掲げる。


「死の舞を」


 黒き桜が、空を舞った。

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