表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/57

怖いものは怖い

「・・・・」

「おはようございます」

「・・・おはよう」

 朔が目を覚まし、朝食を作ろうと台所に行くと、なぜか妖夢がいた。

「朝っぱらから何の用だ」

「・・・これを」

 妖夢が一枚の手紙を取り出す。筆で『津後森朔へ』と書かれている手紙を開く。

『妖夢、値段 人参二本』

 手紙を破ろうとしたのを妖夢に止められた。

『妖夢は最近どこか悩んでいます』

『しかしその悩みを決して主である私には言わないでしょう』

『身勝手ではありますが、どうか妖夢の悩みを解決してあげてください』

『その間妖夢を好きに使って結構です』

『白玉楼の主、西行寺幽々子』

「いや、なんだって俺が・・・」

 手紙を読んだ朔は呟く。そんな事をする義理など一切ないのだ。悩みがあるからなんだと言うのだ。

「・・・ん?」

 よく見ると手紙には薄っすらと何かが書かれていた。そこにはこう書かれていた。

『別に食べちゃってもいいのよ?』

 朔は一切の躊躇なく手紙を破り捨てた。

「で、妖夢だっけ?お前はどう説明を受けてるんだ?」

「ここにいる人間の命令に従えとしか・・・幽々子様はいったい何を考えているのですか?」

「それわかるの同類の紫さんだけじゃね?」

 言いながら麦わら帽子を被り外に出ようとする朔を妖夢が引き止める。

「あの、私はどうすればいいのですか?」

「知らん、自分の仕事は自分で見つけろ」

 言い放ち、外に出る。朔に悩みをどうこうするつもりはなかった。



「駄目じゃない妖夢を一人にしちゃ」

「紫さん、あの子なんですか?」

 太陽が真上に来た頃、農作業をしていた朔の所に紫が突然現れた。

「いきなり知らない人のお悩み相談ってなんなんですか? そもそも数百年も生きてる妖怪に十数年生きた人間が言ってもあまり意味がないと思うんですが」

「・・・少なくとも、あの子は貴方よりも精神が幼いわよ」

 朔は手を止めずに言う。

「だったら紫さんや藍さんが相談に乗ればいいじゃないですか。俺よりも経験も知識もありますし」

「・・・貴方じゃないと駄目なのよ」

「紫さん?」

 そこには最初から一人しかいなかったかのように、紫は消えていた。



 家で昼飯を作る朔。家には畳で正座している妖夢がいた、目をつぶりピクリともしていない。

「何してんのお前は?」

「何をすべきかを考えています」

「・・・・ほいっ」

 朔が妖夢に昼飯に作ったおにぎりと野菜炒めを渡して言う。

「なあ、ちょっと頼まれてくれないか」

「そういう命令ですし、何ですか?」

「・・・ちょっとしたお掃除だ」

「?」

 悩みをどうこうする気はないが、有効に使うのがいいだろう。と朔は思った。



「きゃー!」

 叫びながら妖精は飛んでいく、朔は他の妖精も刀を振るい回して追い払いつつお札を木に貼り付けた。

「次はこっちっと」

 同じように刀を振るい妖精を追い払いながらお札を貼り付けていく。貼り付けたお札には『お徳用結界』と書かれている。

「さーて、ここらは終わったから後は妖夢が仕事をしていれば・・・」

 朔が妖夢に頼んだのは妖怪の撃退だ、畑を増やすためには妖怪妖精は邪魔だからだ。

 とはいえ、朔には妖怪を撃退する力などないため、今まで何も出来なかった。しかし妖夢は妖怪退治など余裕だろうと思い、妖夢に話した。

「それくらい全然平気です」

 と力強い言葉ももらい、朔はこうして比較的安全な所の貼り付けを行っていた。

「・・・しかし遅いな。ここらにはそこまで強力な妖怪はいないはずだがな」

 少し気になり朔は妖夢の所に向かう。辺りの木にはちゃんとお札が貼り付けられている。

「いた」

 妖夢は何もない所に座りこんでいた。何かプルプル震えている。

「妖夢、何をしとるんだお前は」

 妖夢はゆっくり朔の方に向く、その目から涙が出ていた。

「な、なんだ、いったい何がどうした?」

「さ、朔さん。あ、あそこに・・・」

「うん?」

 妖夢が指差した方には岩穴があり、そこから呻き声が聞こえる。

「あぁ、何か昔いた外来人がよく自殺したり食われたりした結果呻き声が聞こえるようになったんだっけ?」

「何でそんな冷静なんですか!? オバケですよ!オバケ!」

「お前の側にいつもいるだろうが!? 今現在も!!」

「これは私だから怖くありません!」

「じゃあオバケも怖くないだろ!?」

「怖いものは怖いんです!」

 うー、と妖夢は呻く。朔は呆れて何も言えなかった。

「はいはいこのお札で終わりだから帰りましょうねー」

「馬鹿にしてませんか!?」

 騒ぐ妖夢を無視して木にお札を貼り付けると、結界が機能している証としてお札が光る。

一人さっさと朔は歩いて、途中で妖夢が動いていないことに気付く。

「・・・まさか、腰が抜けたとか?」

「・・・・」

無言で頷く妖夢。大きくため息をして妖夢を引っ張り立たせる。

「ほれ、引っ張ってやるからちゃんと歩け」

 朔は妖夢が何か言う前に歩き出す。妖夢は何か呟いたが、朔には全く聞こえなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ