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君のほっぺ

*******


「し、まぁくん! そのほっぺたはどうしたんですか!」


 僕は原稿を取りにきたしぃ、じゃないまぁくんのほっぺたが青紫になっているのを見て思わず叫んだ。


「え、あぁ、殴られました」

「なんと……!」

「あ、でも倍にして返しましたから」


 大丈夫っすよ、と笑ってまぁくんは言った。でも腫れてて痛そう。僕は冷蔵庫から保冷剤を出してハンカチでくるんで、まぁくんのほっぺたに当ててあげる。


「あ、ありがとうございます」

「ううん」


 まぁくんの可愛い顔を殴るなんてどこのどいつだろう。僕はムカッとしたけど、まぁくんが倍にして返したそうだからよしとしておこう。僕はまぁくんの可愛い可愛い顔を見つめそう思った。


「で、先生原稿は?」

「………」


 まだできていない。

 そっと僕はまぁくんの顔から視線を外した。



******



 締め切りなのにまだ書き上げてない馬鹿作家の原稿を待ちつつ、俺はため息をついた。

 馬鹿作家にもらった保冷剤で冷やしている頬はまだジクジクと痛んでいた。

 昨日あいつに殴られたのだ。もちろん殴り返したけど。

 キープされてるってことが分かってから数日。ついに俺はあいつに別れをつげることにした。本当はまだ迷ってたんだけど、昨日あいつの携帯からまたあのだっさいアイドルの歌が流れてくるのを聞いて決断した。別れようって。

 あいつにそういうと、嫌だって言われた。そりゃそうだよね。食事代やらなんやらはいつも俺持ちだし。そんときだってあいつ、俺の部屋で俺のテレビ見ながら俺のプレモル飲んでたし。

 なんか急にすんごいムカついたから俺携帯見たこと言った。浮気してんだろって。そんでもあいつ別れたくないって言ったから、俺あいつへの不満言いまくった。早漏、テクなし、足が臭いやらなんやら。そしたらあいつ逆ギレしてきた。いきなり殴られて思い切り顔にはいった。すんげぇ痛かったけど、それ以上に腹が立ったから俺もあいつ殴った。上に乗ってガンガン殴った。

 そんであいつがやっと謝ったから部屋から追い出して、携帯からあいつの連絡先を消した。

 それが昨日。


「あー、疲れた」


 精神的にも肉体的にも疲れた。さっさと先生から原稿受け取って家に帰りたい。

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