恋愛相談 二
駅近くのショッピングモールで普通に洋服の買い物をすませたと思ったんだけどすず先輩、貴方はなんで洋服を一つでも買わずに手芸屋に現在います。
「ところで、ミルちゃんは彼氏いるの?」
突然すぎる。何の脈絡もなく始まる会話すぎる。
「な、なんでですか?」
相談しようとしたタイミングで悪いよ。一体どういうタイミングなの!
「いやー、最近手芸に凝っていてね。今度、ウエディングドレスを作ってみようかなって思って」
誰の? サイズとか測って作るんだよね?
「ウエディングドレスって気が早いですよ!」
まったく、私まだ学生ですよ。結婚するにしても普通に働き出してからですよ。
「あれ? それじゃ、彼氏はいるのか? 誰? 知ってる人?」
うぅ。スゴイパワフルですね。こういう人だって知っていたけど、さすがにそんな一気に言われても……ってあれ? 同じ答えの質問じゃなかったかな? あれ?
「ねぇねぇ、私も知っている人!? 教えてよ! 私と貴方の仲じゃない!」
どういう仲なんですか。まぁ、たしかに仲良くじていましたけど。
「うーん。実は二ノ宮帝さんと言う人と付き合っているんですよね」
「別れろ、それ」
笑顔で答えられました。なんで、この人は即答したんでしょうか? あぁ、もしかして、知り合いでした? でも、なんで。知っているんだろう。
「アイツと付き合ったところで幸せになれるわけ無いんだから。別れろよ」
分かれ路の一点張りっっていう感じか。まぁ、そうだよね。改めて考えると私の友人がこの人と付き合ってるって名前を言われたら別れることをおすすめするよね。
「でもなんで、あんなのと付き合っているの? ミルちゃんならもっといい男、ひっきりなしに付き合えそうなのに」
何それ? 私が悪女っていいたいのかな? いや、私はそんなに悪女って言うほど悪いこととかしてないからな。
「すず先輩、もしかして二ノ宮さんのこと好きなんですか?」
よし、これしか無い。まぁ、ありえない話だけど。あんな男に惚れるとかマジで! もし、彼女さんだったら彼の本性を教えて別れさせて、私と一緒に帝さんに絶望的な別れをあげよう! そうしましょう。
「ない、ない。だって私はアイツのこと刺したんだよ。憎しみあっても愛す価値はない」
さらっとすごい事いいましたね、すず先輩。でも、いつ頃の話なんだろう。
「事件にもならないくらいの些細なコトだったわけじゃないよ。でも、あの人は一切事件にする気は無かったから良かったけどね」
「え、それってもともと会ったものではなく、別に!?」
すず先輩が刺したって言うけど、帝さん、それが初めてじゃないような気がするんだよね。私ははっきりとは覚えていないんだけど。
でも、なんだか覚えていないよ。
「私が初めてだよ。ただ、それだけじゃないの。私は他の人も巻き込んじゃって。その後にミルちゃんと会ったんだよ」
「そう……なんですか?」
すず先輩は笑顔で「うん」と大きく頷いた。でも、なんだか違和感……私、何か大切なことを忘れているの。
「ルミちゃん、まだ時間大丈夫なら行きたいところがあるんだ」
時間には余裕があるので頷いた。ところで携帯が鳴った。
メールの着信だったのですず先輩に断ってメールを開く。メールの送信者名は『二ノ宮帝』と表示されていた。