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田舎デート 三

 なんだかんだで、最近変わったなって思う。自分の気持も相手の気持も。帝さん、今日はおかしいし……。

「帝、なんかこれおかしくないですか?」

 馬を引き連れているのは帝さん。最終的に私は騎乗することになった。乗りたくなかったのに。

「おかしくない。おかしくないから」

 なんていうかこう怒っているのかな……私、気に触ること……言ったよね。年上に対してあんなこと今まで言ったことなかったよ。だいたい、付き合うってと言ってくれたのはいつも向こうのほうで。名前なんて何も言わずに普通に固定だったし。わからないよ。

「あの、名前で呼ぶのイヤでしたか?」

「ちがう! 違うよ!」

 わかんない。何がいけないの。この人だって今までの人たちと一緒で体だけってことでしょ。本来の私には何の興味もないんだろ。

「お腹すきませんか? 今日はお弁当とか用意してないんですけど……」

「俺が作ってきた。もう少し待って。一緒に食べたいスポットが有るんだ」

 驚いた。帝さん、料理できたんですね。一人暮らしってわけじゃないし一人っ子だって聞いていたからそこら辺は甘やかされてきたのかなって思ってたのに……。なんていうか、私だけいつも空回りしているよ。

「……道瑠ちゃ、道瑠のようにうまく出来なかったけど。初めてだからそれなりだけど」

 初めて? え? それって、私にたいして初めてってこと。そんな男の人、みたこと無いな。

「料理のできる男性はモテますからね!」

 笑顔を作って彼を安心させる。なんだか、本当に好きな人が出来たみたいだな。私じゃないのはわかっているけど。どうせ私はただの味見なんだろうな。初めてならその本気になった彼女に感想を聞けばいいのに。

「そうなのか」

 なんだか、話が続きません。ここまで話しが続かなかったこと無いのかな。

 ずっと話さずに木造二階建ての建物に辿り着いた。

「ここって、なんですか?」

「俺が通っていた小学校。今はもう通う奴が居ないから廃校だけど」

 どうしてそんな所に……。わからないな。

「自身はないけど一生懸命作ったんだよ」

 カバンからタッパーを取り出した。不透明で中は見えない。蓋を開けてみると彩りはまぁまぁ、飾り気は一切ないがなんというかこう、一生懸命作ったって感じがする。なんだか、小学校の頃、兄のために一生懸命作った自分のお弁当を思い出した。

 本当に本気なんだなって思う。初めて作ったっていうのが。

「見た目はまぁまぁなんだけど、とりあえず食べてみて」

 なんか、変な言い方だな。とりあえず食べてみないとわからないよな。とりあえず、唐揚げを一口、口に含んだ。

 なんというか、口の中に広がるはずの味が一切無く油分の香りしかしない。下味がうまく付けられていないんだよね。粉っぽいからな。それも少しは抑えられるような気がするな。

「味どう?」

「はっきり言っていい?」

「マズイだろ、それ」

 まずいって思うもの彼女に食べさせますか。あんたは。さて、これからどうするべきか。

「今後、デートでお弁当が必要なときは事前に言ってください。私が用意しておきますので」

 これなら、自分で作ったほうがいいよな。うん。

「そうだよな。それでお願いなんだけど」

 このタイミングでお願いってなんだろう? 料理を教えてほしいだったら自分で頑張ってて言うしか無いけどね。私が教えることができるのは勉強だけだから。その中でも家庭科は苦手な科目だから教えられない。

「何?」

「本気で好きになったから改めて交際をお願いします」

「え、あ、はい……」

 あれ、なんかおかしいのだけれど……。今まで付き合っていたよね。どういうこと? 自分でなんだか承諾してはいけない方にフラグを建ててしまったようなきがするんだけど……。と、とりあえず明日から考えよう。お兄ちゃんに会いたい……。

 帝さんはなんだか今までみたこと無いくらいに顔を赤くさせちゃっているし……。どうしたらいいのよ!

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