遊園地で迷子!? 1
アトラクションを回ると言ってもこういう所に来るの久しぶりだしな。てか、一人で歩きまわるのとか久しぶりすぎて、そろそろ、馬鹿な人達が話しかけてくるんじゃないかなって。いや、休日だし、カップルや家族連ればかりだからそれは無いとは思うんだけどね。でも、なんか嫌な予感がするんだよね。
「すいません! ちょっといいですか?」
話しかけられた。とおもったけど普通にカップルだった。男性が私にパンフレットを持って話しかける。ひとつ言っておくけど私はここの従業員でもなければここに初めてきた客だ。パンフレットを見せられてもどこに何があるかなんて分からない。
「いいですけど、私はここの従業員ではありませんよ」
それだけ言うと彼女のほうが頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。一人で、その珍しい格好をしていたものでしたので」
礼儀正しいな。この男性にはもったいないくらい礼儀正しくて可愛い彼女だな。
「いえ。ややこしい格好をしている私が悪いんですよ。ふたりとも楽しんできてください」
笑顔で二人から離れると、とりあえず、入り口でもらったパンフレッテを開く。パンフレットに書かれているいくつかのアトラクションと場所を確認してからまずは観覧車に乗ることにした。まだ彼がここに来ているかどうか確認すること、敷地内を肉眼である程度確認するためにだ。
一人で乗る観覧車。やっぱり広いな。とりあえず、帝さんはやっと入園したということがわかった……うん。帝さんと入れ違いになるんじゃないかなこれ。考えること似ているから、迷うこと無く一番初めにこれに乗るんじゃないかな。
とりあえず、今現在いる場所で一番近い屋内はどこかと探そう。逃げなきゃ。偶然だけど観覧車に乗る人少ないから。入れ違いでどうにかなる、どうにかなる。
それじゃ、次は……お化け屋敷にでも入ろうか。
お化け屋敷の前に行くと受付のお兄さんが一人かと聞いてきたけど何なんだろう。とりあえず、ここのお化け屋敷は前、どこかのテレビでみたことがあるから大丈夫。きっと大丈夫。
って、そうじゃないよ。別にホラーとかで怖がる人ではないんだよな私。お兄ちゃんが隣にいれば全力で怖がるんだけど。
とりあえず、しばらくはここで待機しておくか。通行人に邪魔にならないように脇へと避けて一歩一歩よく、周りの状況をよく把握する。道が幾つかに分かれているようだ。迷路か。迷っていたら捕まらなかったりして……うーん。お化け役とかもなんかありきたりだよね。
「ねぇ、そこのあなたって迷子?」
あれ、お化け役の方から話しかけられるって、ここって攻略が難しいお化け屋敷だったっけ?
「いえ、彼氏から逃げている最中なんです」
なんだか、これおかしいよね。まぁ。仕方ないよね。
「え、なに? 彼から暴力受けているとかじゃないよね?」
「いえ、待ち合わせに三十分以上遅刻したから逃げているんです」
それは彼氏が悪いと同意してくれたって、こんなところで話が弾んでいたら行けないか。
「それじゃ、そろそろ彼が感づいてきそうなので。これで」
そう言って、一本道を辿って行くとあっさりと出口に出た。とくに怖いところもなかったから仕方ないか。
さて、次はどのアトラクションに行こうかな。




