遅刻魔!
遅い。本当に遅い。というか、前日に隣町の遊園地に行くと言い出して待ち合わせ場所も家ではなく現地という。彼氏らしいことは何もない。家が隣なんだから迎えに来てもらってもいいじゃないと思いながらも待ち合わせ場所について一時間。いや、待ち合わせ時間は三十分前なんだけどね。
通常通りとはそのとおりなんだけど。でも、なんだか癪に障るな。私だって仮にも彼女なんだと彼はおもっているんだから。
そうだな。それじゃ、ここで彼を惹きつけるゲームでもしようか。簡単に手に入る物なんていらないだろうからね。これは本当に遊び。
「すいません! 写真とってくれませんか?」
近くを通りかかった、おそらくこれから遊園地の中に入っていく人だと思う女性二人組に話しかける。女性たちは快く引き受けてくれた。
写真を撮ると「これからデートですか?」などと聞かれたので「そうですよ」と返した。二人は「頑張ってください」とだけ言って園内に入っていった。
写真をメールで彼に送る。文面には次のとおりに送った。
『私を捕まえられたら彼女になってあげますよ。
今日はこんな格好をしています』
そして、今さっき取ってもらった写真を送る。
髪は完全におろして一部だけ三つ編みにしている。ピアスは星からウサギに変えてあり、服はふしぎの国のアリスをイメージしたかのようなもの。カバンはショルダーバッグ、それを斜めがけにしている。何よりもカバンは時計の模様が印刷されている。
さて。それじゃ、先に中に入ろうかな。入場券を買い、園内に入る。帝さんはあと何分で追いかけてくるのでしょうか。逃げきれるように頑張ろう!




