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BLACK D●T  作者: 笹舟
六月十日 くもり 時々 ●。
7/87

向かっている理由は

 

 私は社交的な性格ではない。

 

 というか、事なかれ主義だ。だから友人は別として、自分から人に関わっていくようなことはあまりやりたくない。朝感じたとおり、先輩で、今まで話す機会も無くて、何の接点も無かった相手、私の真逆であるフレンドリーな中谷会長に対応するのには、困る。

 

 それでも私が中谷会長に大人しくついていったのは、諦めがあったからだ。

 結局、帰るまでに雨が降ってきてしまったし、この強雨の中を傘無しで歩く気にはならないし、中谷会長の気が済むならいいか。と。


 そもそも全ての物事にバタフライ効果が働いているというのなら、

 

 今こうして雨宿りに向かっているのは、帰り際に中谷会長に声をかけられたからで。

 帰り際に中谷会長に声をかけられたのは、朝出会っていたからで。

 朝出会ったのは、私が本を乾かしていたからで。

 本を乾かしていたのは、バス内で読んでいた本を落としたからで。

 バス内で本を読んでいたのは、家を出るまでそれを読んでいたからで。

 家を出るまでそれを読んでいたのは、時間があったからで。

 時間があったのは、バスに乗ることを決めたからで。

 バスに乗ることを決めたのは、雨が降る道を歩きたくなかったからで。

 雨が降る道を歩きたくなかったのは、私が雨を嫌っているからで。

 

 現在のこの状況の起因、それは私の雨嫌い。

 もうこれは私の本能と呼べるものとまでになっている。諦めるしかない。

 

 この『雨宿り』の先が、良い方、悪い方、どう連なっていくのか分からない。だけど何故か漠然と、中谷会長との繋がりはこの先も切れることが無い気が、既にこの時からしていた。


 その時には、とっても、嬉しくなかった。


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