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BLACK D●T  作者: 笹舟
たまには、暴風●。
56/87

北高祭

 

 現在、九月三日・土曜日。


 北高祭二日目の、午前十時五十分。

 合唱コンクールが終わってから五分ほど経った頃。


 次にステージが使用されるのは演劇部の講演の時で、それまではあと一時間ほどある。

 全員集合していた生徒の姿も、コンクールを見に来ていた一般客の姿も、そのほとんどがコンクールが終わるのとほぼ同時に体育館から立ち去った。

「少なくなってきたね。そろそろ行く?」

「ん、行こうか。夕香、次は何処に行きたいって言ってたっけ」

 そう言いながら、私と夕香も立ち上がった。


「えーっとね、三年一組のお化け屋敷」

 

 隣に立つ夕香が広げて持つのは、昨日の朝に配布された生徒用の折りたたみパンフレットだ。

 その表紙の絵は水内さん、中のレイアウトは滝長副会長、打ち込み作業は西脇さん……ということを、私は知っている。


「あ、バスケ部のサンドイッチ屋さんもいいな」

「上手く時間使わないとね。明日は、北二にも行ってみたいし」


 私たちは顔を見合わせ、明日のことを考えながらどちらともなく笑顔になる。


 昨日は初めての、それも想像以上に派手な学校祭に面食らい、楽しむというよりも、ほとんどをきょろきょろと見回っているだけだった。それにクラス展示であるプラネタリウムの係員の担当時間もあったから、余裕を持って一日を過ごすことは出来なかったのだ。

 

 だけど北高祭二日目の今日は、昨日で雰囲気をなんとなく把握出来たし、私も夕香も係りを担当された時間が全く無かった。そのため、朝から存分に楽しむことが出来ている。

 明日は夕香が午前中に三十分間部活の方の店番があるけど、それが終われば後はフリー。

 口にした通り、北二の会場にも足をのばしてみようということになっている。


「それにしても予想以上に凄いよね、北高祭」

「北高祭を楽しみたくて受験した人も居るほどみたいだしね」


 数日前、プラネタリウムの準備をしているクラスの女子がそんな話をしていた。


「これだけ楽しいんだから、それも分かるよ」


 夕香の笑顔に、確かに、と相槌を打った。



 それに、私はたぶん、夕香と違う楽しみ方もしている。


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