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BLACK D●T  作者: 笹舟
●里と有能な仲間たち。
54/87

一般生徒は心配する

 

 *


 家に着いたのは十二時前だった。


「今日は六時まで活動するつもりなんだよねぇ。昼メシ持ちだし」

 という中谷会長たちに今日の礼を言い、私は本を抱えて生徒会室を後にしたのだ。

 今日やっている作業の進行具合によっては、明日も学校でその作業を続けるらしい。


 夏休みが明けて、九月下旬には、三日間の北高祭がある。

 北高祭は、北第一高等学校と北第二高等学校が同日開催をする学園祭である。

 各クラスや各部活動が製作物の掲示や食べ物の出店をし、一般客の受け入れもしている二日目には合唱コンクールや有志によるバンド演奏もある。北一と北二の間は学校が動かすバスが走り、自分が持ち場にいるべき時間に戻れるのであれば、生徒はそれを使ってもう一つの学校に行っても構わない。

 ふたつの会場で飽きることなく楽しめる三日間は、北一、北二、双方の北高生が一年間の中で最も楽しみにしているだろう行事なのだ。


 二ヶ月ほど先のその祭の準備に、生徒会は既に取り掛かっている。


「さすがに北高祭を運営するのに五人じゃ手が回らないから、本番はいろんな委員会のひとに協力してもらうよ。だから、そのために生徒会がしっかり把握してないといけない。ちゃんと指示が出せるように、当日に何かあっても対応出来るようにね」


 そう言って、一般客呼び込みのチラシを作成する中谷会長は笑っていた。


「ま。口ではこう言いながら、いきあたりばったりが多いんだけどねぇ」



 よくやれるものだ。


 私は、学校行事にさして興味が無い。

 遠足も、体育祭も、授業が無い日もたまには息抜きになっていいなと思う程度だ。普段そこまで本気で勉強に取り組んでもないけど。

 

 だから、わざわざその行事を支える役に回った、生徒会の五人が分からない。

 

 確かに物事の裏側を体験するのは面白い。

 手伝ってみたいと思ったのは本心だ。

 だけどそれでも。

 「面倒そうだ」という気持ちの方が、私の中では勝っている。


 そして多分、生徒会の仕事について、面倒そうだからやりたくないという気持ちを持っている一年生は、多いと思う。


 ――三年になれば勉強の日々。

 中谷会長たちが三年になって抜けたら、生徒会はどうなるんだろう。

 後継者が居なくなったら生徒会って無くなってしまうのだろうか。


「今年の一年に……やろうと思う人って居るのかな」


 行事に興味の無い私でも、ちょっとだけ心配になった。


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