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BLACK D●T  作者: 笹舟
●降って、地、固まる?
30/87

いざ、出発

 

 その土曜日はよく晴れていた。

 

 指定された時間に遅れないよう『BLACK D●T』に向かうと、古場さんが入り口の傘立てを整頓していた。

 その古場さんを見て思わず絶句し、そんな私に古場さんが笑う。


「清潔で爽やか、だろう?」


 晴れた日に『BLACK D●T』を訪れたのはこれが初めてで、つまり私は、湿気によって髪のボリュームが増した古場さん以外を今まで見たことが無くて。

「……古場さんって、そんなに髪少なかったんですか」

「脱毛症みたいに言わないでもらえませんか」

 苦笑する古場さんの髪は、震える肩に合わせてさらさら揺れた。

「ほんとに湿気に弱いんですね」

 未だ驚きが続いている私に、「困ったことに遺伝でな」と古場さんが大きく頷いた。


 数分も経たないうちに店の前に青い車が停まった。

 聞いたところによるとその車は古場さんの持ち物で、商品を取りに行くときなどは、専らバイクが移動手段の陽介さんも使っているらしい。

 運転席に座った陽介さんが助手席の窓を開ける。近づいて、古場さんが忠告した。


「気をつけてな。渋滞は避けろよ、笠見さんの帰りが遅くならないように」

「おぅ。昼過ぎに、真島が店の手伝いに来てくれるってよ。あとは頼む」

 

 陽介さんの手招きに、私は古場さんに「行ってきます」と言い、助手席に乗り込んだ。


「おはようございます、今日はよろしくお願いします」

「ん、おはよ。そういや颯子ちゃんの私服見るのは初めてだけど、そっちも可愛いな!」


 ……だから、もう。

 そういうことをサラッと言うの、恥ずかしくないんだろうか。

「どうも。いつもは学校帰りですからね」

 それが無理なく似合ってるのが、本当の怖いところなんだけど。

 

 私がシートベルトを締めたのを確認して、陽介さんは車を発進させる。

 店の前の古場さんに手を振ってから、私は前に向き直った。


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