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BLACK D●T  作者: 笹舟
●と私。
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●と私

 BLACK D●T


 マンガやドラマで、登場人物が雨に打たれて佇むシーンが出てくると、それがどんなに面白い話でも、途端にマイナスな気持ちが浮かんでくる。正直「馬鹿じゃないの」とさえ思ってしまう。私がそれらの話に登場するとしたら、戦いに敗れてどれだけ悔しさが募っていようとも、突然恋人に別れを告げられてどれだけ呆然としていようとも、雨が降り出したらすぐに屋根のあるところまで走るだろう。絶対に。


 私は雨が嫌いだ。大、をつけてもいい。

 雨についてのトラウマがある、なんて事情は無く、ただ純粋に雨を嫌っている。

 朝起きた時に窓に雨が当たる音が聞こえてくると、まず軽く怒りが湧く。登校しなくてはいけない平日は特に、だ。そして靴や制服が濡れることを考えて憂鬱になり、ただでさえ低めだと友人から称されているテンションが下がる。

 服や靴だけじゃない、雨になると手に持つ鞄だって濡れてしまう。その鞄の中に本が入っている時なんて、最悪の極みだ。考えただけで嫌になる。私は自他共に認める読書家であり、ついでにいうなら学校では図書委員をしている。


 大体、心から雨が大好きだという人はそうそう居ないと思う。

 中学生の時のクラスメイトの中に「私、雨が好きなの」とか言っていた女子が居た。けれどその子だって、帰り際に雨が降り出した時には「うわ……」と顔を歪めていた。その次に口にした言葉は「親に迎えに来てって頼もうかなぁ」だ。

 それ以来、雨が好きなどと公言している人を見かけると「それってキャラ作りじゃないの?」と心の中で思うようになった。

 本当に雨が好きだという人だってそりゃあ居るかもしれないし、その人には私の考えは失礼だろう。でも、あの時にあのクラスメイトが満面の笑みを浮かべたりなんてしていても、それはそれでドン引きしていたと思う。距離的にも精神的にも確実に。

 私の中では、雨が好きと言っているのはゴキブリが好きと言っているのと同じぐらいだと思っている。極端な例かもしれないけれど、つまりはそれだけ考えが理解し難いということだ。恵みの雨だろうが何だろうが、嫌いなものは嫌いなのである。


 ここまで宣言してきた通り、私は雨がとても嫌い。

 それだというのに、私の地元では雨がよく降る。

 だから私は、私の地元も嫌っている。見事な三段論法だ。


 雨と地元を嫌っている、テンション低めの女子高生。

 そんな私が、『雨が降る地元の商店街で』、という、あまり芳しくないシチュエーションで出会った店がある。出会ったというか、出会わされたというか、出会わせてもらったというかはとても微妙な境だけど。……それに何の因果だろうか、その店と出会うきっかけをつくった人物は、名前に『雨』という字を冠している人だったりもする。

 ―――さて。

 これは、その人とその店に出会ってからの私の話である。

 雨と地元を嫌っているテンション低めの女子高生、つまり笠見颯子である私の話。

 その私が、それからどうなったか。どうもならなかったのか。

 月並みで三流、ありがちな言い回しだけど、

 

 ――それは読んでのお楽しみ、

 ということで。


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