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abnormal dialy   作者: アルマジロ
spring
15/22

-junior high school- spring 13

 4月19日、夕刻。

 2人の人物が、荒縄で御神木(ごしんぼく)に縛り付けられていた。

「あ、目ぇ覚めた?」

「……なんで俺まで巻き添え喰らってんだ…?」

「さぁね……共犯扱いされたのかも。なんか、いろいろ悪い、ホント」

「縄抜けとか、できねぇ?」

「俺平成生まれ」


 ったく!!

 ざけんなよあいつ!!

 僕がどれだけ心配したと思ってんだ!!

 いや…思ってさえいないか。少しでも同情してたら、あんな茶番考えつくはずがねぇ!!

 あぁ……イライラする!!

「みっくーん……どうしたの? さっきから憤怒のオーラがみっくんの周囲に蔓延してるよー?」

「姉さん!! これから一週間、僕のことを“みっくん”とは呼ぶなって家族全員に伝えて!!」

「へっ? ちょ、……まず……冗談抜きで反抗期だよ」

「伝えろって言ってるんだ!! 姉さん!!」

「ひっ……うー、分かったよー。み……マイブラザー」

 みっくんじゃなかったらマイブラザーになるらしい。

 母は僕のことをマイサンと呼ぶのだろうか。それだけはやめて欲しい。

 ていうか名前で呼べよ。

「あーもう……何なんだよ!! 僕か!? 僕が悪いのか!! 僕が大原にあんなこと言ったのがそもそもの間違いだったのか!! いい加減にしろよ!! 他人を何だと思ってやがんだ!!」

 ありったけの思いを、腹のそこに溜まりに溜まった鬱憤を、怒鳴り散らすことで発散する。

 ムカつく。

 ムカつくムカつくムカつく!!!

 目に映るもの全てが忌々しい。何もかも破壊できたら、どれだけいいものか。


『今から大原に、国家権力を動かしてほしいんだ』

 始まりはこの一言。

 僕が言った、この一言だっった。

 ……らしい。

『だからってねぇ……人死に関連で嘘つくなんて人間としてどうかと思うよ僕としては』

『ひどい言い分だな……。教室でも言ったけど、みっくんを騙すにはあんくらいの演出がなくちゃいけなかったんだよ。並大抵の猿芝居で騙せるような相手じゃないだろあんた。そのために2人も雇ったんだぜ? 高くつくぜー役者2人は』

 御神木に縛り付けられても、どことなく軽薄な口調は相変わらずだ。

『金取る気はねぇよ……』

『分っかんねーよそんなの? 寛っちはよくても蓮音の方が損害賠償請求してくるかもしれない』

『それは俺が説得しとくから』

『で?』

 縄の両端をきつく結び付ける。荒縄なので、手のひらがこすれて痛い。

 この縄は松嶺大付属中の体育倉庫から拝借したものだ。大原がトンズラしようと企んでいたので捕獲用に使わせてもらった。

 場所を移して、隣町の竹割(たけわり)神社――――滅多に人が寄り付かない廃れた神社に、僕は大原と高田を連行した。この場合高田にはそれほどの罪はないが……道連れだ。

 ここで僕は尋問することにした。

『“国家権力を動かす”ことが、どのような配線回路によって蓮音香奈殺人事件(偽)とつながったのかな?』

『ん?』

 僕の問いに、大原は「今更何を」みたいな表情をする。

『まさか、知らないのか? 午後から、教室に警察とかメッチャ来てたじゃんか』

『あー……それって、英語の授業中?』

『そうだけど』

『サボってた』

『……』

『サボタージュ』

『……言っちゃお』

『荒瀬もサボってた』

『…………』

『で、警察がなんだって?』

『だから……』

 面倒な説明は省きたかったようだが、生憎その場に居合わせていなかったので、説明事項が増えたらしい。

 …いや、それくらいの手間、やぶさかじゃないだろ。

 もしかしてこいつ、あらかじめ内容固めておいたことしか話せないのか?

『国家権力を動かしたんだよ』

『えらく話が飛ぶな』

『……。みっくんは、俺に“国家権力を動かしてほしい”って言ったよな?』

『うん』

『国家権力って、警察のことを意味してるん、だろ?』

『……そう解釈したんだ。…………あ。……あー。あぁあぁ、そういうこと』

『な、なんか勝手に理解されちゃったんだけど……え、何? 説明必要?』

『第三者のために言っとけ』

『んーと……。俺の目的は、警察が動くような事件を起こして、警察の注意を、……』

『?』

『そういやみっくん、なんで国家権力を動かしてほしいんだっけ?』

『言ってなかったか?』

『聞かされてないよ』

『禁則事項だ。α(アルファ)とでもしといてくれ』

『じゃあ、えと……。警察の注意を、その、α? からそらすことにあったんだ』

『ふむふむ』

『でも、だからといって実際に殺人やら何やらを犯すわけにはもちろんいかない。だから嘘をついた』

『ふむふむ。最低だな』

『……ッ…!!(怒) 蓮音を被害者にしたのは、俺のうっかりっていうか…不可抗力だったんだよ』

『なんかよく出てくるなその言葉…。不可抗力って?』

『その前に、俺の計画を話しとくよ。俺の計画を成功させるには、役者が必要だった。最低2人、できれば3人。1人は“被害者が殺害された現場に居合わせてしまった人物”。これをAとしよう。Aには殺人が起こったことを一番最初に知ってしまう人物、第一発見者と言う役回り。続いてもう1人は“Aの役割+Aをさりげなくサポートする人物”。これをBとしようか。BにはAが殺害現場に居合わせた直後の、殺された状態の被害者を見たっていう設定で、さらにAの演技が円滑に進むように手助けする役回り。A1人だけが証人だと信憑性に欠けるし、時間差を上手く利用することによってリアルさを演出できるからな。最後に“できれば”のもう1人――――Cには、そのまんま“殺されてしまう人物”つまり被害者の役回りを考えてた。こっちは、まぁぶっちゃけ、いなくても上手くやればごまかしが効くんだ。最悪、鶴嶋みたいに滅多に登校してこない人物にやってもらえばいいわけだから。そして筋書きは…。

①Aが少し遅れて登校してくる。

②Aがクラスの皆にCが殺されていたことを告げる。

③騒然とする教室。

④Bが登校してくる。

⑤Bが殺害されたCを目撃したことを告げる。

⑥AとBが先生に、警察に連絡するよう勧める。

⑦警察が来る。

⑧Aが事情聴取を受ける。その際にBも同席する。

⑨Aが適当にでまかせを言って、Bもそれに同調し、その場をやり過ごす。

⑩頃合いを見計らって、Bが“Cは殺されていたのではなく、ぜん息で過呼吸状態に陥っていた”と打ち明けて、全てはAとBの見間違いであったということにする。

 っていうシナリオだったんだよ。それが……』

『ふむふむ。箇条書きにしたのはいいアイディアだったな。にしても、それ、具体的に述べられてみると相当に無理があるよな』

『言ってくれんなよ……俺だって必死だったんだ。で、蓮音がCになったいきさつだけど』

『本題はそれだったな』

『俺はそのシナリオを先にみっくんに教えておこうと思って――――っていうのは、みっくんにB役をやってほしくてさ――――文章にしてプリントアウトしたものを用意してたんだ。それを落としちゃって……。蓮音に拾われて、「コレ何?」って……』

『…………ふむふむ』

『しょうがないから内容を話すと、蓮音、面白がっちゃって、「あたしにC役ゆずってくれない?」ってしつこくてさ……』

『で、蓮音がCになったわけだ』

『それだけならまだ修正が効くんだけど、なんか蓮音が仕切り始めてさ。「どうせなら出くんに秘密で、ドッキリ仕掛けちゃおうよ」って話になっちゃって』

『……あぁー』

『それからはもう、計画狂いまくり。「めんどっちい」って理由でBだって廃止にされちゃったし……それで、「出くんを騙すなら、A役は出くんの身近にいる人が適任よね」って言い出して、それで寛っちがAに選ばれたんだ』

『名演技だったよ。僕もあれには騙された』

『てか、ぶっちゃけ寛っちにタネ明かししたのは昼休みで、それまでは真面目に蓮音が殺されたって思い込んでもらってたから』

『なっ……お前、悪魔かよ…』

『全てはみっくんを騙すためだよ。終わり良ければ全て良しって、寛っちも言ってたじゃん?』

『……。で』

『それからはご存知の通り。見事みっくんは騙されてくれて、警察もまだ殺人事件が起こったと思って捜査してるし、結果としては大成功だね』

『…………ほっほぉー。そういうわけ、ね……』

 長い説明が終わった。

 高田がほとんどマリオネット扱いだったことは初耳だったけれど、それ以外は大体僕の予想通りだった。

 大成功、ね……。

 よく、そんなおめでたいことが言えたもんだ。

『ね? 結果的に、みっくんが俺に言った“国家権力を動かしてほしい”っていう条件はクリアできたことになるだろ? これでみっくんも、心置きなく、そのαって作業に専念できると思うぜ?』

『その前に、言わなくちゃいけないことがあるんじゃないのか?』

『ん?』

『懺悔』

『……ごめ、漢字ムズくて分かんないかなーみたいな』

『ざ・ん・げ!!!』

 怒鳴った。

 誰もいない竹割神社、御神木前で。

 昼下がりに。

 ……このシチュエーションで叫んだら、普通ならば殺人が起こるのが昼ドラ的運びなんだけどな…。

『まず、お前の話があまりに退屈でうたた寝してる高田に土下座して謝ること。次に、蓮音にも…まぁ、一応謝っとくこと。最後に……』

『? 他に誰かいる?』

『この僕に、盛大に謝罪すること!!!』


 僕の怒りはまだ収まっていない。

 収まっていないけれど……まぁ、まぁまぁまぁまぁ、落第寸前で及第点だ。

 ひとまず、本当にひとまず、警察をわき道にそらさせることには成功した。

 やっと、物語を進められる。

 最後の一仕事を、始めますか。

 最近、短いなぁ…。

 学校がとにかく大変で、部活もいろいろと忙しいし、更新がとても不定期になっちゃってます。しかもだんだん短くなってます。まずいなこれ。GW頑張んないとな。

 次回は多分、もう少し長くなる、と思います。

 はぁ…疲れた…。

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