詩 彼女がぬい活
私はカバンにたくさんのぬいぐるみをつけている。
「今、推している人達なの」
少し恥ずかしそうに、でも堂々と胸を張って言う。
やましいことなんか、何もないのだ。
「今、推しなの?」
「そう。服とかも自分で作っているの」
「服!! 凄いじゃん」
彼は驚いたようで、ぬいぐるみに触れてくる。
あんまり触ると、ぼろが出そうなんだけどな、と思ってしまう。
「ちなみに、俺はいないの?」
「それは…」
彼女がもじもじしながら言う。
「もちろん推しだけど、その、皆に注目されてとられたら困るから」
小声だけど、彼に伝わったようだった。
もう、何を言わせるのよ!!
顔が真っ赤に染まっていく。
「推し、やってみる?」
「え、俺? 俺はいいかな」
それよりも彼が後ろに回ったかと思うと、いきなり後ろから抱きついてきた。
「きゃあ!!」
びっくりして声をあげたが、彼の重みを受け、うっとりする。
程よい強さの腕と、抱きとめるだけの身体。
まるで彼がカバンではなく、私自身にくっついて推しになったかのような状態。
恥ずかしいけれど、心地良い関係。
「その…気持ちいい?」
「当たり前だろう」
彼が私の頭に顎を乗せてきて、言葉を発する。
ダイレクトに脳に響き、緊張するけれど、安心してくる。
すると2人の熱を冷ますように、小雨が降ってくる。
すぐ止むパターンだが、天が雨という宝石を降らせてくれたみたいな快感。
ずっと一緒にいようね。




