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復活の日

第34章 復活の日


故郷を捨て、異世界を選んだハル。

その変わった心情に気づいたのはミアだった。


「おはよミア」


「あ、おはよ...ハル...」


何も変わらない朝。

何も変わらない声に、何も変わらないハルの表情、その中に覚えた違和感。


ミアはわかっていた、ハルと抱き合った日あの安心した顔を。

でも、ミアは深く理由を聞かなかった。

聞いても何もできることはミアにはなかったからだ。


「今日休みだよな、どっか出かけるか?」


「ミア?」


ミアは何も変わらないように話すハルが空元気で振舞っているのだと気づき、黙ってしまった。


「ああ!良いわよ!たまには出かけましょ!」

(ハルなんでそんなに無理してるの?なにかあるなら....)


ミアは理由を聞かなくてもハルのことが本当に心配している。


朝食を済ませた二人は、家を出て街へ向かった。


新しい洋服や、おいしい食べ物などを歩いて回った。

そして日が暮れ、帰ろうとしたその時。


王都中にとてつもない強力な魔力な波動が来た。


一瞬なんのことか分からなかったが、空はすぐに紫色に染まり静寂が訪れた。


そしてハルは瞬時にわかった、その魔力の波の正体が。


「ガヴァエルだ」


もちろんミアもそれを感じていた。


「な、なにこれ....」


ハルはミアを寄せ肩をギュッと握っていた。

周りの人もやはりその異常さに気が付いていた。

ざわつき始める、辺りの人々は逃げるように自分の家へ帰った。


『ハル様』


アテナが自分からハルに話しかけることなんて滅多にない。

ハルはそれほどまでにガヴァエルの存在という大きさを感じた。


(ああ、わかってる)

『違います。この波動はガヴァエルで間違いないのですが、その中に魔王の波動も交じっています』

(なんだって!?魔王はガヴァエルに殺されたんじゃなかったのか!?)

『それは事実です。ですが、何者かがガヴァエルのと復活と同時に新たな魔王を誕生させました』


アテナから話かけてきたそれは異常事態と呼ぶには軽々しいくらいの事だった。


(魔王がここで復活されちゃ、世界が滅ぶ...まずいぞこれは)

『魔王の復活はガヴァエルの復活場所とは離れているみたいです。よって今脅威となるのは魔天使ガヴァエルの方と推測します』


(なるほどね...)

ハルはアテナの言うことを信じた、それほどアテナへの信頼が高くなっていた。


「ミア、一旦家に逃げるぞ」

「待ってハルはどうするの?」


いつもハルはミアを守るような動きをするためかミアはいつでもハルのことが心配だった。

ましてや、朝のことがあるから余計に不安が重なっていた。


「大丈夫だ、俺も一緒にいく」

「わかった行くわ」


「ミア、少し揺れるぞ」


「きゃっ、ハ、ハル?」

ハルはミアを持ち上げ抱えて走った。


その速さはミアが目を開けてられないほどの速さで走った。

(は、速い....しかも全然揺れない..すごい)


家のすぐそばの広場に着くと、騎士団のカイゼル一行がいた。

「ん?カイゼルさんにガルーシャさん」


ハルはミアを下ろし、話を聞いた。


「どうしたんです、騎士団総出で」

「ハル殿、この波動分かりますか」


魔力の巨大な波を騎士団も感じクリムゾン・ストームと同じように広場に駆けて来たのだ。


「はい、ガヴァエルです。それにその中に魔王の魔力も交じってます」

「ガヴァエルの復活を狙い新たな魔王が復活したんでしょう、魔王の魔力なんてガヴァエルの魔力に隠れますからね」


「これからどうするのですか、ハル殿」


カイゼルがハルにこれからの行動を聞いた。


「俺はガヴァエルを...どうするかわかりません。ただ一つ言えることはガヴァエルの理解者は俺だけです」


それを聞いた、カイゼルとガルーシャは何も言わずただ一言だけ言った。


「そうですか、分かりました。ハル殿を信じます」

「ああ団長がそう言うんだ、俺も転生者様に任せるぜ」


ハルは安心した笑みを浮かべて、頷いた。


「ハル私も...」


そういうミアにハルは一言だけ言った。

もう、何も失いたくなかった。

故郷を捨て、その故郷には親もいて、友もいた。


それでも、自分のやるべきことを選びこの世界に残ったのに一番そばにいるミアを

失いたくなかった。


「ミア...頼む」

その表情は、変わらず笑みを浮かべながらだった。

だが、その中には不安に押しつぶされそうな笑顔だった。


「帰ったら伝えたいことがある、だから待っててくれ」

そう言い残し、広場を去ろうとした時。


「ハル!」


聞き覚えのある声がした。振り向くとそこにはゼオンと、イリスの二人が走って来ていた。


「2人とも!」

声をかけるミアの横にゼオンとイリスが息を切らし駆け寄って来た。


「あの2人...」

「何してんだよ、お前ら早く逃げろよ!」


ゼオンが切れた息を整える前に言った。

「お前がこれから行くっていうのに、逃げれるかよ...ここじゃないかって思ったぜ」


それに続いてイリスも言った。

「ハル、絶対戻ってきて」


3人いや、王都中からの期待を背負いハルは出ようとしていた。

それは重く伸し掛かるプレッシャーなどではなく、背中を押されるようなものだった。


「ああ、必ず戻ってくる」

「カイゼルさん、この3人の護衛を頼みたい」


ハルはカイゼルに護衛を頼んだ、

カイゼルからの返事は即答だった。


「ええ任せてください。この命に代えてもミアお嬢様とハル殿のご友人はお守りします」


「ありがとう」


そう言いハルは転移魔法で姿を消した。


ミアは、手を胸のまえでギュッと祈るように握りながらハルの帰りを待つのだった。

(お願いハル....)


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