再戦
第32章 再戦
ある日の朝、ハルの自宅にカイゼルがやって来た。
その様子は明らかに尋常ではなく、ただ事ではない焦りが滲んでいた。
「ハル殿!ハル殿!」
カイゼルが大きな声でドアを叩く。メイドのリリィがドアを開けるとカイゼルは汗流をし息を荒げた彼の手には一封の手紙が握られていた。
「どうしたんですか?とりあえずどうぞ」
ハルは落ち着かせるために家に上げ、お茶を出した。
「それでなんの用件で?」
ハルはカイゼルに単刀直入に言ってほしかったから、過程などは飛ばして結論だけを聞いた
カイゼルは荒げた息を落ち着かせて言った。
「これです見てください。今日城に届いた手紙です」
「これを見た城の者は全員凍り付きました....」
それは黒い封筒のような手紙入れに、紫の封蝋がしてあった。その封蝋には魔力が感じられ、
ハルはそれを感じたことがある。そうゼルガだ。
これはゼルガから城に届いた手紙だった。
(この魔力、ゼルガか。『アテナ』この魔力付与されてからどのくらい経つ?罠は張ってるか?)
ハルは、その手紙にも注意を払いアテナに解析を頼んだ。
『トラップなどは見当たりません、魔力の波を解析した結果、12時間は経っています』
(なら危険はないか...開けるか)
ハルはそっと封蝋を取り、手紙を取り出した。
そこに書いてあったのは、ゼルガの居場所だった。
『俺は森を抜けた廃城にいる。そして、転生者一人で来ることだ。誰かを連れてきた瞬間に王都を潰す』
「森を抜けた廃城って....騎士団の元第二拠点だった場所です。
あそこは王都から行くのに、時間がかかるからって使わなくなったのをいいことに....」
ハルはその手紙を見て一人で行くことを決心した。
「行ってきます。カイゼルさんたちは何かあった時のために、王都の守りを固めてください」
「ハル殿、本当に行かれるのですか」
「大丈夫、倒してくるから」
ミアもカイゼルと同じように、不安で仕方ない顔をしていた
「ハル...」
「大丈夫だよミアすぐに帰ってくる」
ハルはそう言って立ち上がり、転移魔法使い森の外の廃城へ転移した
「転移魔法で来たか....化け物め」
ハルはゼルガの前に立った。
その目は迷いのない、ただ真っ直ぐゼルガだけを見つめていた。
「ゼルガ....俺はもうお前に屈しない」
ゼルガはハルが進化したことに気づいていなかった。
もちろんハルは容姿が変わったわけじゃない内部的に、変わっているからだ。
「行くぞ」
「来い、転生者」
ハルはゼルガに対して進化した時に授かった《熾天創生》(ジェネシス)を使った
「《熾天創生》創造、天聖剣ヴァルキリオン・アポカリプス」
ハルはベラエルの記憶から引き出してきた剣を創造した。
ゼルガはここで初めてハルが進化をしたことに気づいた。
「貴様...まさか進化したのか!...」
「天聖剣....この俺がずっと探し求めていた物...お前を殺し奪ってやる!」
ゼルガは乱心し、ハルに飛び込んできた。
「ゼルガ、お前はもう人間じゃないんだよ」
ハルはあんなにどう戦えばいいかわからなかった相手の剣を簡単にさばいていた。
もう力を完全に自分のものにしていた。
ゼルガの大量の斬撃をすべて剣でさばいている。
さばいた斬撃が廃城の壁をぐしゃぐしゃにした。
「わかるだろ、ガルーシャさんやカイゼルさんにお前は見捨てられたんだ」
ゼルガはさらに乱心する
「黙れ黙れ!黙れええええ!お前に何が分かる!俺はガルーシャより、強い力をもらったんだ!今の俺ならっ....」
ハルはさえぎって言った言葉にゼルガは黙った。
「下級悪魔にだろ?ダサいよなお前、下級悪魔にすら勝てず自分が負けそうになったら命乞いして、
そのためになら悪魔にだって成り下がるか....」
「っつ....」
ゼルガから憤怒の魔力が溢れ出た。
「貴様は...本当に殺してやる....俺はエクストラスキルを手に入れた、このエクストラスキルには誰にも叶わない!」
ゼルガは怒りに身を任せて覚醒しようとしていた。
「『アテナ』ゼルガは何をしている」
『はい、ゼルガ・アークレイドは覚醒をしようとしています。覚醒したら、上級悪魔級の魔物となるでしょう』
「なるほど、でエクストラスキルがあるって言ってたけど、何出すんだ?」
『はい、ゼルガ・アークレイドは覚醒後を使用する確率80%』
『それに対抗するソードスキルを《熾天創生》で作成することができます作成しますか?』
「作成」
ハルは覚醒したゼルガに対抗するために、熾天創生で新たなスキルを生み出し
一撃で決めようとしていた。
目が赤紫に光り、黒い魔力の霧が体から立ち上る。
壊れた城の瓦礫が震え、風が荒れ狂う。
その姿は、もはや人間のものではなかった。
「これが俺の覚醒か..力があふれてくる...死ね!転生者!」
「エクストラソードスキル《レヴナント・スラッシュ》!」
アテナの狙い通り、ゼルガはレヴナント・スラッシュを使用してきた。
「やるじゃんアテナ、本当に使ってきたわ」
ゼルガが剣を構えレヴナント・スラッシュの斬撃放そうとした瞬間、アテナが対抗するソードスキルを完成させた。
『究極神位ソードスキル《アーク・レヴェレーション》ハル様の脳内にインプットします。生成を始めてください』
「《熾天創生》創造 究極神位ソードスキル《アーク・レヴェレーション》」
ハルは唱えると持っている天聖剣にソードスキルを付与されていった。勝負は一瞬だった。
ゼルガが一歩踏み出した瞬間にハルはもうゼルガの後ろに立っていて、剣を上げていた。
ゼルガは切られたことに気づかず、ハルを探した。
「くそ!どこ行きやがった!転生者!」
「....は?」
切られたことに気づいたゼルガ、それまでにかかった時間は約3秒。
それほどまでに究極神位ソードスキルと天聖剣の能力は熾天創生によって底上げされていた。
「くっそ...がぁ...」
「ガヴァエルは俺が天使に戻す。そしてこの国を救う。俺は転生者だ」
ハルはそう言いゼルガとの戦いを終えた。
ゼルガの胸元にアイテムが落ちていた。ハルはそれを拾い、アテナに鑑定をさせた。
『解析中....解析不能、もう一度解析しますか?』
「ん?進化したアテナでも解析できないの?」
「もう一度解析して」
『解析中....解析不能、もう一度解析しますか?』
アテナが解析できないアイテム、この世界のアイテムならすべてできるアテナが
解析できないのはおかしいと思いハルは持ち帰り自分で解析をしようとした。




