転生者と召喚者と天使ⅱ
第28章 転生者と召喚者と天使ⅱ
ハルは次にⅱの本を開いた。さっきのページの続きから始まっていて堕天戦争の概要が書いてあった。
『そして堕天戦争が始まり、最初は天使軍が戦力でも数でも勝っていた。だがおかしなことに俺の生み出した、
《マギアブレード》が悪魔たちに対して効力が弱くなっていた』
『その原因として、俺は人間から天使という上位種族に生まれ変わったことで人間の時に生み出したスキルは
人間が使わないと効力が発揮しないということが分かった』
『そうスキルの生みの親が同じでも、その時の種族で生み出したスキルはその生み出した種族でしか使えなかったのだ。
そのせいで悪魔軍は勢いを増し、ガヴァエルは魔王軍に捕らえられてしまった』
『俺とカルミエルはガヴァエルを助けるために魔王軍の拠点に乗り込んだ。だがそこで聞き、そして見た光景は絶望そのものだった。
ガヴァエルは俺とガヴァエルの弟であるカルミエルの死、または自分が魔天使に堕ちて俺たちを助けるか。
という選択を強いられていた』
『カルミエルはその魔王の言葉に取り乱し魔王に斬りかかったが、カルミエルはそこで魔王に羽をちぎられ、体を潰され殺された。
ガヴァエルは悶絶していた。俺はそこで足が震えて動けなかった』
『もちろん、ガヴァエルは自分を犠牲にして魔王から血を飲まされ苦しみながら魔天使に堕ちていった。俺はその場に崩れ落ち泣き叫んだ。自分の無力さを痛感した。だが、ガヴァエルが堕ちる前。最後の言葉が「――ずっと待ってるからね」だった』
ハルはその言葉に聞き覚えがある。
「え?その言葉...どういうことだ?」
ハルはその聞き覚えのある言葉に引っ掛かりながら、本を読み進めた。
『魔天使の落ちた後、元々天使であった頃の力と魔天使になりさらに力を増したガヴァエルはその場で
魔王の腹を引きちぎり殺した。そして新たな魔王に即位し堕天戦争は魔王が死んだということで、そこで戦争は終わった』
『だが、ガヴァエルは魔王ではなく天使という種族と愛し合っていた俺と、弟に未練があったのだろう。
いまだに魔「天使」と名乗っている。ガヴァエルは自分自身に「条件付き封印魔法」を施し自分自身を封印。
その復活条件として、ベラエルの涙とカルミエルの血を封印解除の条件として設定した』
『そのことは、ガヴァエルが戦争の前に俺と、弟のカルミエルに前もって知らせていた。
なにかあったら、自分に封印魔法を施す。そして条件は俺の涙とカルミエルの血。それを事前に教えてくれていた』
ⅱのページはそこで終わっていた。
ハルは聞き覚えのある言葉に、胸の鼓動が早まっていた。
それは緊張などではない。自分の正体が次に記されているかもしれないという期待だった。




