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消滅

第24章 クリムゾン・ストーム編:消滅


空が赤くなり、避難する人たちが増える中、ハルたちは状況を確認するために屋上に向かっていた。


「おいおい、外門に集合って言ってたのにこんなとこいて大丈夫か?」


ゼオンが不安そうに周りを見渡していた。


ハルは非使用魔法試験のことを思い出し、呟いた。


「くっそ...この時のために学園長は生徒に違う魔法の授業してたんじゃないのかよ....」

「まぁ当たり前か、いきなり魔物の波と戦える生徒がどこにいるっていうんだ」


もう空は真紅に染まり、避難する人たちの怒号。

いつものイグロス王国の晴れ晴れとした

光景は見ることができなかった。


(おい『アテナ』魔物が来る方向は?大まかでいい、何体くらいいる?)

(王都までに到着する時間は!)


『はい解析中です......出ました。東に300、北に200、南に150、そして西に2000です』

『約2時間後です、中にはAランクの魔物も存在しています』


ハルは思いっきり声に出してしまった。

「はあ!?2000!?」


全員が驚いてハルの方を向いていたがミアが先に聞いた。

「2000ってなに...?」


ハルはその数の多さにもう隠しようがなかった。

(くそ...時間がない、正直に言うか)

「魔物の数だ、東に300北に200南に150そして西に2000」


「くっそなんだよこれ!」

ゼオンが声を荒げ、焦りながら外を見ていた。


ハルが先陣を切って駆け出す。

「とりあえず外門向かうぞ!」


学園の外に出て外門に着いたときには王国騎士団がずらりと並んでいたが、落ち着かない様子だった。

そこには団長カイゼルと、筆頭剣士のガルーシャもいた。


ミアは真っ先にガルーシャの元へ駆けた

「お兄様!」


ガルーシャは驚きながらミアの方を向いた

「ミア!?何してるこんなところで!早く逃げろ!」


ミアはガルーシャの腕を振りほどき胸に手を当てて言った。

「私はハルとみんなと戦うの、もう何もできないのは嫌!」


ガルーシャはミアのその言葉に圧倒されて飲み込むしかなかった。


カイゼルがこちらに気づき走って向かってきた。

「ハル殿!」


とても息が荒かった。

「はぁ....よかった来てくれて、」


ハルはなぜこんなに慌てているのかを聞いた、

「どうしたんですかこの状況」


「あぁクリムゾン・ストームが発生して魔物が来る方向と数がわからなくて、

出向こうにも出向けない状態が続いてな。避難民の誘導もあって攻撃準備が整うのが約1時間半後だ」


(1時間半後!?そのころにはもう魔物の数がこっちから見えて、しかも全方向からなんて対応できるわけない!)


「いいですか、把握できてる時点での魔物の数と位置を言います」

「東に300北に200南に150西に2000」


「2時間後には王都に到着しますもう時間が無いんです!」


ハルは避難民の怒号より大きな声でカイゼルに伝えた。

この緊迫した状態のなかでの戦闘。

それはミアたちにとっても、誰にとってもとても不安しかなかった。


カイゼルが下を向き額に手を当て事実を受け入れた。

「くっ..後2時間で約2000強もの魔物がここに来るっていうのか...!?」


ハルは最初から自分で何とかしようと考えてたがこれは想定外だった。

「いいですか、俺が西の2000の魔物をやります。そしてクリムゾン・ストームを

いじってる大物を俺が倒します」


「カイゼルさんたちは分担しながら東から南までをお願いします!」

「避難民の誘導には数名でお願いします」


ハルはカイゼルに指示を出した。

ハルの実力をその身で受けたうちの1人。誰よりもその実力を知っている

カイゼルはハルの指示に従った。


「ああわかった。ハル殿どうかお気をつけて」

「カイゼルさんもね!」


2人は別れた。ハルは西にカイゼル達は東から南にかけてまでを守ることになった


西門に着いたハル達は魔物を迎え撃つため作戦を考えていた。


「うーん作戦って言っても俺が取りこぼした魔物をやってほしい、

いろいろな魔物がいるクリムゾン・ストームは弱いやつも多くいるだろう」

「そいつらを積極的にやってほしい、なるべく取りこぼさないようにはする」


ハルが前で戦い取りこぼした魔物を後ろで控えてる

ミア達が狩るという作戦だった。

それでも全員、やる気が満ちていた。


そしてその時はやってきた。

遠くから巨体な影や魔獣、巨大な地響きが近づいてきた。


「来た...」

不安そうな声でミアが言う。

ミアの手は震えていた。


(『アテナ』この数をすぐに蹴散らすにはどうすればいい?)

ハルは2000という数字を一瞬で0にすることだけを考えていた。

カイゼル達の様子が気になる、すぐに終わらせて応援に行くことを考えた。


そしてアテナがハルに回答を出した。

『2000の魔物を一瞬で消滅させるには、エクストラスキル《マギアブレード》の使用を勧めます』


『マギアブレードにハル様の魔力を乗せ、斬りかかってください』


ハルは目を閉じ、深く息を吸った。

(どのくらいの魔力乗せればいいんだ?多分全開に乗せたら、ここ全部が更地になってしまう)


「みんなもう少しだけ下がっててくれ」


その声は低く、声だけでも威圧感で押しつぶされそうなくらい

強いオーラを感じた。


ミアが一歩前に出てハルに声をかける。

ミアはわかっていた、ハルがどんな人なのか。


「ハル...もしかして....」


「大丈夫だ、すぐに終わらせる」


ゼオンとイリスもその瞬間わかった。

ハルが何をするのか。


ハルの右手に、魔力が集まり始める。

空気が歪み、地面の小さな小石が音もなく浮かび上がった。


真紅に染まった空が、さらに濃く、重く脈打つ。


「....来るぞ、ハルの今まで見たことのない動きが」


ゼオンがごくりと喉を鳴らし声を震わせた。

イリスは無言で杖を握りしめ、ミアは両手を胸の前で強く握り合わせた。


ハルの前にさらに大きな一本の剣の形が作られていく。

その紫色に光るオーラは王都中を照らした。

真紅に染まる空以上にその存在感を示した。


「あれは...ハル殿....か?」

移動中のカイゼルはそれにくぎ付けだった。


「エクストラスキル――」


ハルが足を一歩前に出す。



《マギアブレード》



その名を告げた瞬間、剣がさらに唸り存在感が爆発した。


「な、なんなんだよこのオーラは....見てるだけで息がっ...」


ゼオンたちは目を細めながらハルを見ていた。


目はまっすぐ魔物たちに、ハルは腰を低くした。


「堕ちろ」


次の瞬間。


ハルの身体が、その場から消えた。


轟音。

いや、それすらも遅れてやってきた。


先に起きたのは静寂だった。

ミア達は確実にハルのことを瞬きもしないで見ていた。


なのに西門の前、一直線に走る空間から

魔物の姿が消えていた。


地面が裂け、空が切り取られ、

白紫の色をした霧。魔力の残滓がゆっくりと舞い落ちる。


遅れて、爆風と爆音、衝撃が王都を揺らした。


「....は?」


ゼオンの口から、間抜けた声が漏れる。

イリスは言葉を失い、ただ目を見開いていた。


ミアは――

魔力の残滓がゆっくりと舞い落ちるその中心に立つハルの背中を見つめていた。


ハルは魔力の微調整とは言え、少しだけ息が上がっていた。

マギアブレードとはそれほどの力を持つものなのだろう。


(はぁ..魔力乗せるだけで少し息が上がった...

しかし、すごいな実際に魔物に当てると

当たった瞬間一体ずつ振動が直で来るから剣が少し重い)



ハルはマギアブレードの力を再認識した。


その力のおかげで西から迫っていた2000の魔物の波は、

その一撃で、すべてが消滅していた。


ハルが魔物の居た位置から少しずつ歩いてくる。


ミア、イリス、ゼオンの3人が唖然としている中ハルは息切れしながら余裕を見せていた。

「終わったよ~」


その一言にゼオンたちは苦笑いするしかなかった。


「カイゼルさんたちが気になる、行こう」

ハルは魔物を倒して満足してしまった。まだ親玉が残っているのにも気づかず。


ハル達がカイゼルの元に向かおうとしたときに空から謎の声が聞こえてきた。


「やるじゃないか。ミカミ・ハル」



第25章 クリムゾン・ストーム編:魔導剣士ゼルガ・アークレイド


上から聞こえた声にハルだけが振り向いた。

その者の声は聴いているだけで気を失いそうだった。

ミア達はそれを本能的に理解していた。


「誰だ!」


ハルが視線を上に向けると、白い髪に紫色をした目、全身に黒をまとい、背中には大剣を背負っている。


男は笑いながら名前を言った。

「我が名はゼルガ・アークレイド。魔導剣士にして魔天使ガヴァエルの配下の者だ」


(魔天使ガヴァエル...謎の多い存在の配下が何でこんなところに?)

ハルの心を読んでいるかのように、ゼルガが言った。


「何故俺がここにいるのか気になるだろう?」

「俺がこのクリムゾン・ストームを動かしていた」


やはりガルーシャの読みは当たっていた。

しかし、ゼルガがガヴァエルの手下とは言っていなかった。


「お前はガヴァエルの配下じゃなかったはずだ。どういう経緯で、ガヴァエルの配下に下った?」

ハルはガルーシャの調査とは違いがあったことを確かめるためにゼルガに聞いた。


「ふむ、やはりそうなっていたか。だが、貴様に言う必要などない」

「だが、『転生者』貴様自分が何者か知りたいだろう?」


ゼルガはハルに対して転生者のことを聞いてきた。ハルはこれに乗らないはずもなく

「お前はどこまで知っている!」


「くくく...やはりな、お前は自分のことを何もわかっていない。その力がどのようなものかをな」


(こいつ、本当に何者なんだ。こっちとは話をする気はないみたいだし...攻撃してみるか?)


ハルはゼルガをここでどのように対処するかを考えていた。真向勝負のつもりだ。

無視することなんて絶対にできない。

ハルはここで仕留めきれなくても良いと思い、ゼルガに攻撃を仕掛けた。


ハルがゼルガの居る空中まで斬りかかった。その速さは言うまでもない。

だが、ゼルガはそれを余裕で受けた。


「ほう」

ゼルガは意味深に一言言ってハルをいなした


「くっ...」

ハルは地面まで飛ばされたが着地と同時にもう一度ゼルガに飛び込んだ。

ゼルガの大剣はクリムゾン・ストームで受けた重さよりも何十倍にもハルの剣は重かった。


ゼルガの大剣は両手で持つような大きさなのに、片手で持っているそれでいて、ハルの速度にも追いついてくる。


(くっそ...なんだこいつ剣が重いし、攻撃がまるで入ってない...マギアブレードは魔物と魔族にしか効かない....詰みか?)


「どうした?転生者とは言うがそこまで強くはないのか?期待外れだったか」


「待てよ、慌てるなって。お前の強さを試してたんだよ、俺の遊び相手になるかどうか、ってな」

ハルはゼルガを挑発して、攻撃を誘っていた。だが、

ハルには少し焦りが見えていた。


(こいつは強い...速度で叶わない分、何か別の手で攻撃を当てないと...)


「そうか...俺を試すか、俺も舐められたものだな」


ゼルガは今まで宙に浮いていた体を地面に下ろし地に足をゆっくりと着けた

「今日のところは見逃してやる。だが、自分のその力を理解しておくべきだ」


「次はお前を全力で殺しに行く、ガヴァエルの復活を待たずともな」

「残りの魔物はまあいい俺の目的はお前だったしな」


そう言い残しゼルガは一瞬にして姿を消した。

(本当に何だったんだ、あいつは....)


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