国王と学園長の悪ふざけ
第21章 国王と学園長の悪ふざけ
テストも終わり、ようやく落ち着いてきたハルとミア。
学園生活にも少し余裕が出てきたところで、ハルはふと思い立った。
「なぁミア。そろそろ...その...同棲、してもいいんじゃないかなって思うんだけど、どう?」
一瞬。ほんの一瞬の間。
ミアが机を両手でバンッと押して立ち上がった。
「する!! 落ち着いてきたし、するべきよね!?
よし、決まり! 今から引っ越しするわよ!!」
ミアの“即決即行動”が火を吹いた。
(で、出た~~ミアさんの即決即行動.....これはもうスキル枠に登録していいのでは?)
「わ、わかったよ!!
ちょっと待って!準備するから!」
ハルは急いで自分の荷物をまとめた。
宿舎生活なので荷物は少ない。数分で準備は終わった。
宿舎を出て歩くことしばらく――
「この道で合ってるのよね?」
「うん、学園長が渡してくれた地図だと――」
そう言い合いながら歩いていると、
視界の先にとんでもなくデカい屋敷 が現れた。
しかも全 面 金 ピ カ 。
「えええええええええええ!?なんだこれ!!!二人暮らしする家じゃないでしょ!?いや、城じゃん!?」
あまりの衝撃に、ハルの声が裏返った。
すると屋敷の横に立つメイド服の女性が、恭しく頭を下げた。
「こちらはイグロス王国国王、ガルディオ様.....
そしてイグロス学園学園長、ヴァルガス様が、気合を入れてリフォームなさったお家でございます。」
(なぁにやってんだあのじじいどもおおおおお!!)
屋敷は美しい....というより、
金。とにかく金。悪趣味と言えるほど金。
普通の建物50軒分ほどくらい目立つ。
ミアはというと
「へぇ.....思ってたより、ずっと良い家ね....!」
めちゃくちゃ楽しそうだった。
(いや、楽しそう....じゃなくて...!これ絶対ただの家の規模じゃないだろ!?金ピカは犯罪だろ....!)
ハルのツッコミが脳内で止まらなかった。
メイドが大きな扉を静かに押し開けた瞬間、
目の前に広がった光景に、ハルは言葉を失った。
「.....広っっっ!!??」
そこには大広間。
光沢のある白い大理石の床、壁には巨大な絵画。
天井にはやたら豪華なシャンデリアが輝いている。
ミアはもうテンションMAXだった。
「すごいわね....!
お父様と学園長ったら、本気出しすぎじゃない....?」
(本気出しすぎじゃなくて暴走のレベルなんですが...?)
メイドが丁寧に頭を下げる。
「では、館内をご案内いたします。
まずこちらがハル様とミア様の寝室でございます。」
「「寝室!?一緒なの!?」」
ハルとミアの声がハモった。
案内された部屋の扉が開くと、そこは
またもや広すぎる部屋。
天蓋付きベッドが一つ。
しかもキングサイズどころか、王族仕様の超巨大ベッド。
ミアは真っ赤になって固まっていた。
「へ、へぇ....あの、このベッド....その....1個なのね...」
「いやいやいやいや!!これは絶対、王と学園長の陰謀だろ!!?」
慌てるハルを見て、メイドが首をかしげる。
「ガルディオ様とヴァルガス様より、『若い二人だし、広いベッドでいいだろう!』『青春を楽しめ!!』
とのお達しです。」
ミアは顔を覆い、耳まで真っ赤にしている。
「も、もう....お父様ったら最低....!」
しかし、その指のすき間から見える目はどこか嬉しそうだった。
(やば...ミアさんちょっと嬉しそうじゃん....!?
これどうすればいいんだ俺.....!?)
メイドが淡々と説明を続ける。
「ちなみに、ハル様とミア様のために
温度自動調整風呂
魔力循環式キッチン
睡眠の質を上げる結界ベッドなど、
最新の魔導設備が導入されております。」
「説明のスケールが化け物なんよ!!」
ミアはもう完全に頬がゆるゆるになっていた。
「ハルと...一緒に住むんだ...
ふふ、なんか夢みたい...」
ぽつりと漏れたミアのその言葉に、
ハルは一瞬だけドキッとした。
「そ、そうだな。俺も....なんか、嬉しいよ」
二人の視線がふと重なった。
なんとも言えない空気が流れる。
その瞬間。
「では、お部屋の方、ご案内は以上になります」
メイドの声が空気を割った。
ミアは慌てて視線をそらし、ハルも咳払いをする。




