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王国騎士団長カイゼル

第17章 イグロス王国騎士団長カイゼル


ガルディオ王からの試験の内容はどのようなものなのだろう。

ハルがそう思っていると、王が言った。


「そなたにはこの騎士団長カイゼル・ブランフォードと戦ってもらう」


背が高く少し細身の男が出てきた。

その男は甲冑を纏っていて、いかにも騎士というオーラだった。


場は先ほどの転生者をカミングアウトしたときよりざわついた。

それほどまでに強いのだろう。ハルは油断などしていなかった。


いくら自分が最強だとしてもほかにも同じような転生者や選ばれし者がいるのではないかと。


「この騎士団長カイゼルは、600年前に現れた転生者の末裔である。」

ハルの予想は的中した。ハルの中でいろいろな思考が回る。


「ーーこの人もステータスはMAXなのか?それとも特別な何かが長けているのか?

エクストラスキルはいくつ使えるのか?」


そんな思考が回りながらも城の中にある、闘技場へと足を運び剣を構えた。


騎士団長から煽られる

「600年ぶりの転生者だかなんだか知らないが、

私は600年前に転生され厄災龍を倒し国の復興をされた転生者様そう、

私の先祖様以外の転生者の力は信じていない!」


「だからお前にはここで死んでもらおう!」


カイゼルは元転生者の末裔という立場だからか、ハルのことをよく思っていない。

「覚悟!!!」


そう言い放ったとたんハルの視界からカイゼルが消える。

地面には凹みが生まれていた。思考が乱れ、焦る。


ここで負けてしまってはミアともうこの先過ごせないかもしれない。

そんな考え事をしているとカイゼルからの攻撃が来る。


「上!?」

死角を取られたハル、ギリギリでカイゼルの剣を防ぐ。


剣がぶつかる音が闘技場に響き、剣を受けたハルの地面に亀裂が入る。

「お、重い....まじかよソードスキルなしでこの重さかよ...」


カイゼルはスキルではなく、単純に個の力でハルに挑んでいる。

スキルなど使ったところで自分の実力証明にならないと思っているからだ。


(ーーやっぱりな、多分この決闘はこの人が望んだんだ。)

剣を受けたハルが直感的にそう思った。


「ほう..これを防ぐか。なぜ私がスキルも何も無しにこんなに剣が重く速いか気になるだろう?

私には天使の加護があるからだよ」


(天使の加護??なんだそれは、聞いたことない。お守りみたいなものなのか?)


ここでアテナからの言葉がハルの頭の中に割って入る

『天使の加護分類:イネイト・スキルに分類されます。』


(イネイト・スキル?なんだそれ...くそっ一旦距離取らないと...)


ハルは剣がぶつかり合う中しっかりカイゼルの剣を弾き距離を取った。


(それで?イネイト・スキルってなんだよ)

『はい。イネイト・スキルとは生まれ持ったスキルのことです。

階級差としては、上位スキルの上、神位スキルの下に分類されます』


『天使の加護効果としては身体能力のアップ、攻撃力、防御力、魔力量のアップ

などが見込まれ制限時間の無いスキルになっています』


アテナはハルに新しく出てきたスキルの説明をした。ハルは無言で戦いを再開した。

剣と剣がぶつかり合い、重い音が響く。


「くっ..これがイグロス王国騎士団長...なんて速さと強さなんだッッ!

そして転生者の末裔というおまけつき...つ、強い...」


ハルが一方的に剣を受ける。剣のぶつかり合う音と同時に地面の亀裂や歪みがどんどん増えていく。

「そんなものか!?転生者よ!やはり私の先祖様が真の転生者で勇者なのかもなぁ!!」

ハルが飛ばされる。


「ーー俺は最強だと言われ、自分でも薄々俺は最強なんだと思っていた。だけど違う。経験値だ俺は戦いの経験値が少なすぎる」

「全部ステータス頼りの戦いになってるんだ。学習しろ、俺が最強なら学習してもっと自分のレベルが上がるはずだ!!」


『ソードスキルを使用しますか?』

アテナが助言しに頭の中に語りかけてくる


「邪魔するな!スキルは使わない。個人の力でなんとかする!一旦ここは中位魔法で....」

手を上に出し、魔法を放つ


「アイスブレード!!」


太く大きい氷の塊がとてつもなく速い速度でカイゼルに向かう。


「ほう、中位魔法の無詠唱かさすがだ。この速度で魔法を出されてはこっちとして不利だな」


全てよけながらハルの放ったアイスブレードは地面に突き刺さり

大きな音を立て冷ややかな冷気と土煙が舞う。


「この土煙を使わせてもらうよ転生者さん」


カイゼルが土煙に紛れ魔法無効化スキルを使おうとした次の瞬間、

舞っている土煙からハルが飛び出してくる。


「はああああ!!」


ハルが叫びながら剣を振りかざし突っ込んできた。

「!?速すぎる..どうやって....?そうか!魔法を放つと同時に私に走り込んだんだ」

「あのアイスブレードは牽制に見せかけた陽動....私にもともと当てるつもりなどなかったのか....」


カイゼルは納得した。やはり自分は転生者には勝てないのだと。

カイゼルの首にハルの剣が刺しかかった瞬間地面が震えるほどの大きな音が鳴り土煙がさらに舞う。


「ハル!!!!!」

ミアが叫び土煙が晴れると謎の人物が立っていた。


「!?誰だ?」

ハルは目を見開いた、そこに立っていたのは名前も顔も知らない男だった。


その男はハルの剣を受け止めながら言った

「その辺にしてやってくれねぇですか転生者様、この騎士団長に死なれちゃ俺たち困るんですぜ」


カイゼルも驚いた表情で見つめその男の名を言った

「ガルーシャ!!」


ミアも駆け寄ってきて、その男の名を言った

「ガルーシャお兄様!戻られたのですね!」


ハルはこの男の登場に困惑し呆気に取られていた。


「そこまで!!!」

ガルディオ王が大きな声で言った。


「ガルーシャが介入した時点でもはや勝敗を語る意味は無い」

「ハルよミアをよろしく頼むぞ、また困ったことがあればわしのところへ来い。なんでも待遇して見せよう」


「あ、ああわかった。ありがとう」

ハルは謎の男の正体が知りたくてしょうがなかった。王への返事もテキトーになってしまうくらいに。


「ところであなたは?」

ハルが謎の男に迫り聞いた。すると意外な答えが返ってきた。


「おう!俺の名はガルーシャだ。そこにいるミアの兄貴で、王国特務騎士団・筆頭剣士って肩書になってる」


その男ガルーシャは頭をかきながら、苦笑いする

「ま、肩書きだけだ。人をまとめるのが致命的に苦手でね。指揮権とかは全部カイゼルに投げてる」

そう言って、騎士団長の方へと親指を向けた


「だからこの人には死んでもらっちゃ困るんですぜ」

(こんなにも強者のオーラを放っているのに騎士団長より階級が下?)


ハルはこの男が騎士団長よりもはるかに強いとすぐに分かった。この男槍を持っているが、腰に剣も据えている。


「--多分武器の扱いは誰にも劣ることはないのだろう。俺の剣を簡単に受け止めていたし。まぁ敵じゃなければなんだっていいけど。」

ハルは少しばかり安心した。


「ところでガルーシャよ、いつ戻って来たのだ?」

騎士団長が聞いた。


「んあ?昨日の夜だな、あんたらの戦いの音で目が覚めて様子を見に来たらこれだよったく....」


「そうか。それでわかったことは何がある?報告を頼むガルーシャ」

ガルディオ王がガルーシャに聞いた


「ああ、わかったことは3つある。まず1つ目は大規模なクリムゾン・ストームが近々起きるってこと、

2つ目はそのクリムゾン・ストーㇺを起こそうとしているのが魔導剣士ゼルガ・アークレイドだということ、

そして3つ目はあの魔天使ガヴァエルが復活するということだ。」


その場に沈黙が続く。ガルディオ王はその沈黙を切り裂くかのように言った。


「ガヴァエルと、魔導剣士ゼルガはつながっているだろうな。」


さっきまでの沈黙がまるでなかったかのように騒ぎ始める。


「クリムゾン・ストームが起きるのは近いかもしれないが、

魔天使ガヴァエルの復活はまだまだ先だと思うぞ」


ガルーシャは自分が調べてきたことだからか、自信をもって皆に言いその場を静かにさせた。


「そうじゃな、とりあえずクリムゾン・ストームに備えるとしよう。

皆の者来るときのために英気を養っておけ!!」


先ほどまで娘に泣きながら再会を喜んでいた王とは見違えた。やはり王様は王様なのだと、

しっかりと部下に指示を出しその部下も動く。しっかりやるところはやる人なのだとハルは思っていた。


「ハル殿、この話は知っていたか?」


ハルに視線が向けられる

「はい、知ってました。イグロス学園長から聞きました。」


するとガルディオ王の表情が変わる

「なんじゃと!?あのくそじじいめ!まーたわしに内緒で最初に情報を握りおったな?」


「学園長とはどういった関係で?」

ハルが慌てて聞く


「あいつはわしと一緒にイグロス学園を卒業した同級生じゃ!!」


「あ、そうなんですね..あははは...」

(そういえば、学園長が王に話を通しておくとかなんとか言ってたな....)


(まったくこの国は平和なんだか、危機が迫っているのかわからないな)

ハルは内心ほっとしつつも、頭の中で情報を整理する。責任感が少しずつ重くのしかかるが、

王やガルーシャの冷静さに触れ、心がわずかに和らいだ。


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