魔天使ガヴァエル
ここで物語が少し動き始めます
第15章:魔天使ガヴァエル
「俺の名前はゼオンよろしくな、ハル。気軽にゼオンって呼んでくれていいぜ。」
そう言って手を出して握手を求めてきた。
その手に悪意は感じられなかったし、警戒しすぎるのも申し訳ないと思いながら握手を交わした。
「ああ、よろしく。ところでなんで俺のソードスキルが見たいんだ?」
「そうだな、入学試験のときにお前が使ったスキル」
「あれ転生者にしか使えないスキル、『マギアブレード』だろ?」
ハルは驚き、思わず声を上げた。
「な、なんでそれを!?」
ゼオンはハルを落ち着かせながら説明した。
「まあまあ落ち着けよ、話してやるから。」
「俺が13のときだ。冒険者を目指して小さいころから家の関係で剣を振っていた。ある日いつも通り剣を振っていたらに親父から指導を受けた」
「あまり人に指導なんてしない親父から指導を受けたんだ」
「親父はこの国では意外と顔が広くて、重要な情報も握ってる。で俺が夜寝てる時に聞こえた話」
ハルは身を乗り出して聞いた。
「なんの話だ?」
「『魔天使ガヴァエルが復活する。ガヴァエルの目的はエクストラスキル《マギアブレード》の奪取』
――親父の友人たちの会話だ。あのときからずっと覚えてる」
「そしてなぜ、親父が俺に指導をしたのか。
それは俺を疲れさせて早く寝かせ、息子でもある俺にも聞かれたくなかったんだろう」
ゼオンはハルの目を見つめ、言葉を続けた。
「入学試験であのオーラを見た瞬間、俺はすぐ分かったんだ。
あれはただのソードスキルじゃないじゃない、間違いなくエクストラスキルだってな」
「でもさ……なんでガヴァエルはマギアブレードを狙うの?」
ミアは眉をひそめて問いかけた。
ゼオンは少し間を置き、声を低くして答える。
「マギアブレードは、ただの剣技でも魔法でもない。どんな魔物や魔族に絶対的な効力を持つだろ?」
ゼオンはハルに問いかけた
「うん……そうだけど」
「だからだ。ガヴァエルの目的は単純だ」
「あれを手に入れれば、すべての魔物や魔族を従わせられるし自分の最大の脅威がなくなる」
「そしてそれを奪えば自分がこの世で最強の存在になるってことだ」
ハルは驚きの色を隠せなかった。
「従わせる……って、つまり支配するってこと?」
ゼオンはうなずく。
「その通り。もしガヴァエルがそれを手に入れたら、
この国だけじゃ済まない。世界規模での脅威になるんだ」
ハルはさっき学園長室で話したことを思い出した。
「まさか...」
そうつぶやくハルをジッと見つめるイリスとミアとゼオン。
するとゼオンが言う。
「なんだよ、どうしたんだよ」
ハルはさっき聞かれたことを言った。
「さっき学園長室で、言われたんだけど、今5年に一度の災害級の魔物の活性化クリムゾン・ストームが起こるって。」
「!?」
言葉を失ったまま、ゼオンは息を吞んだ。
イリスは本を持つ手に力が入り、ミアは無意識にハルの袖を掴んでいた。
「クリムゾン・ストームって前いつ起きた!」
慌てた声でゼオンが言う。
「いや、私が呼んだ文献で覚えてる限りでは15年前...」
焦った声でイリスが言う。
「5年に一度の頻度で起こるのにここまで起きてない理由....」
不安そうにミアが言う。
「まさかガヴァエルはもう復活していて、準備を進めている....?」
ハルは全員が思っていることをポロっと口にした。
全員がハルに目を向ける。
ゼオンが少し間を置き首を横に振り、真剣な表情で言った。
「いや……違う。ガヴァエルの復活はまだだ。あいつには『復活の儀式』が必要になる」
ハルが首を傾げた。
「儀式……って、何をするんだ?」
イリスが震える声を抑えて答える。
「儀式には稀少なアイテムが必要なの。『ベラエルの涙』と『カルミエルの血』...
これが揃わなきゃ復活は不可能よ」
ミアが顔をこわばらせる。
「そんな希少なもの、普通じゃ手に入らないわよね...」
ゼオンはうなずく。
「その通りだ。でも気を抜くな、もし生き残りの魔族――ガヴァエルの民――がそれを手に入れたら...
あいつはすぐに復活可能になる。だが、時間はまだ十分にあると言ってもい。焦る時間じゃない」
ハルは拳を握り締め言った。
「よし...わかった俺ができることはやるよ。」
その夜ハルは、アテナを呼び出して魔天使ガヴァエルのことについて聞いていた。
「『アテナ』いるか?1つ聞きたいことがある。
魔天使ガヴァエルのことについてだ。知っていることを話してくれないか」
『はい。魔天使ガヴァエルについての情報です。』
『魔天使ガヴァエルは元は天使を統べる大天使でした。悪魔と天使の戦争(堕天戦争)によって
ガヴァエルの恋人であったベラエルと弟のカルミエルの死か自分の死かの選択を迫られ、
魔王に自分の魂を売ったことで魔天使に堕ちました。』
ハルはアテナから魔天使ガヴァエルがどのように生まれたのかそしてどのような過去があったのかを聞いた。
「なるほどなぁ、なんでガヴァエルはそんなにエクストラスキルのマギアブレードがほしいんだろう。
あ、ちなみにベラエルとカルミエルはどうなったの?」
『はい。ベラエルは堕天戦争で生き残り、悪魔王軍を退け勝利。
弟のカルミエルはガヴァエルを開放するため魔王に戦いを挑みましたが敗北。
亡き者となりました』
「結局弟のカルミエルは死んでしまったのか...」
ハルは戦わなければいけない相手に対し壮絶な過去があること知ったため、
胸の奥に言いようのない重さを感じていた。
「これでガヴァエル関連の情報は以上?」
ハルはもっと知りたそうにアテナに聞いた。
『いいえ。もうひとつはガヴァエルは堕天戦争に勝利するため"召喚者"を兵器として戦わせました。』
意味深な答えにハルの思考が一瞬止まる。
「え?召喚者?なんだそれ、転生者とは違うのか?」
『ここから先の情報はいかなる文献にも記されていません』
『よって、これ以上の回答は不可能です』
淡々と告げられたその言葉にハルは下を向き、ベッドに身を投げた。
「はぁ重要なところわかんないんじゃあどうしようもないじゃんか!もう」
そう愚痴をこぼしていると、部屋の扉が開く。
ーーガチャ。
「ハル~明日のことで相談なんだけどー....なにしてんの?」
ミアだ。ハルが、情けない姿でベッドに埋もれている姿を見て若干顔が引きつっていた。
「ああ王様への謁見だろ?ちゃんと覚えてるよ」
そう言って、ハルは顔だけミアに向けた。
「そう?ならいいんだけど」
そう言い残しミアは部屋を出て行った
(はあ、王様への謁見か....)
静かになった部屋でハルは天井を見つめる。




