呼び出し
第14章: 呼び出し
急な呼び出しだ
「ーーなんか言われるな?これは」
ハルも学園長に文句を言いに学園長室に行くつもりだったので好都合だった。そのまま、学園長室に向かうと学園長から言われた。
「ハル殿急に呼び出してすまなかったね。」
ハルは呆れた声と顔でいった。
「あんたね、俺との約束を忘れたのかよ!俺のことを言わないって約束はどうしたんだよっ」
ハルは足をじたばたさせまるで子供だ。学園長は笑った。
「はっはっはっすまんすまん、どうせ学園の中にしか広まらんよ
この国では機密事項と知っていることを第三者に話すのは法に触れると皆が知っているからな。」
「ーーいやそういう問題じゃないだろ。」
ハルは心の中でそうつっこんだ。
「んで、なんですか?次の頼み事は」
ハルには次もどうせ頼み事だろうと、呼び出しをもらった時から察しがついていた。
「ほっほっ、ハル殿には何でもお見通しか。そうだな単刀直入に言おう。
この学園で魔法や剣などの指導を乞いたいのだ」
「指導...ですか俺が人に教える才能など無いと思うのですが?」
ハルは基本教わる側だった。人に教えることはほとんどしたことが無かった。
「何を言っている。そなたには特別な力があるだろう?それを生徒に教えてくれればいいのだよ。
今、全生徒が使用していなかった魔法を習得しようと頑張っている最中でな」
ハルはそのコスパの悪さの指導に疑問を持ち、質問を投げかけた。
「なぜそのような、指導の仕方を?」
すると予想外の回答が返ってきた。
「今ハーレン大森林で魔物の活性化が起きている。
いつこの王都に魔物が押し寄せるかわからない状況だ」
「これは、五年に一度起きるか起きないかの出来事――今回、それが発生しそうなのだ」
「王都は大森林から近く、さらに周辺の村人たちも安全を求めて王都に集まってくる」
「学園にも魔物が集まってきたら、戦わなくちゃならん。いつでも戦えるように、数多の攻撃手段を持っていた方がいざという時に戦えるのではないかと思ってな」
学園長はあの授業の詳細を説明した。
「一度大森林の外に出た魔物は、数を減らさない限り戻らない。
魔物は人間の生気を求め、人の多い場所に向かう」
「こうなれば、『クリムゾン・ストーム』は止められまい。」
これを聞いたハルは渋々了承した。
「わかりましたよ。俺が教えられることは教えます。
ただし上位魔法を急に使えたり、ソードスキルが飛躍的に上がったりなどはしませんからね。」
学園長はその言葉に目を輝かせ喜びながらハルに頼み力強く握手を交わした。
「そうか!そうか!ありがとうハル殿!」
握手を交わされている最中、端の方にいた先生と目が合った。
先生は言葉を発さず、じっとハルを見つめていた。
その視線はどこか鋭く、重みをもってハルに届く。
違和感と胸の奥がざわつく。
ハルは軽く息をつき、握手を終えるとゆっくりと教室へ戻った。
教室に戻るとみんな魔法陣の構築をしていた。それを見ていると、ミアが心配そうに話しかけてきた。
「ハル!おかえり!なんの話をしてたの?」
「俺がみんなの魔法陣構築を手伝ってほしいって言われたんだよ、
だから俺にできることはするから、なんでも言ってくれ」
照れくさそうに笑うハルにクラス中のみんなが教えてくれと声をあげる。
一通り魔法と魔法陣構築の基本はアテナと話した夜にすべて頭に叩き込んだから、
そこまで教えるのも苦ではなかった。
授業が終わり帰りの支度をしていると、イリスがハルに聞いてきた。
「ねえハルあなたって、属性何が使えるの?」
ただ純粋な疑問だろう、そう思ってハルは答えた。
「一応全属性使えるよ」
するとあたりの空気が変わった。もちろん質問してきたイリスの顔も引きずっている。
「あなたほんとにすごいね、全属性使える人なんて歴戦の魔術師や大魔導士でもいないわよ...」
やはり転生者というのはこの世界では規格外の存在らしい。そのことを再認識したハルは苦笑いするしかなかった。そんな中一人の男が話しかけてきた。
「じゃあお前のソードスキル俺におしえてくれよ」
そう話しかけてきたのは、ハルより少し背が大きいクラスメイトだった。




