Ep07 特攻隊長槍使い ─ペルナ─
「人が、寝てるのに……ん。誰だ?アンタ。」
「ひゃう!! ご、ごめんなさい!!」
「はぁ、またアーテルさんの仕業か。」
「ふふ。正解正解。」
アーテルの動かぬ表情筋とは相反して、ゆったりと口元に持ってかれるピースサイン。
「はぁ──……。団長…。アンタって人は。」
「ペルナ。安心して、この子多分『強いよ』PVP」
──……キュピン。
『PVP』と言う言葉を聞いた瞬間、眠気まなこだった琥珀色で透き通っている長くて、綺麗なツンツンヘアーが特徴の槍使い、ペルナのアホ毛がぴこんぴこんと反応する。
「きししし。そっか、団長この子と遊ばせてくれるんだね!! めいいっぱい!! きしししし」
強いの一言で、ペルナの目の色が変わる。
いままで眠っていたベッドから跳躍し、臨戦態勢。
設定メニューバーから『デュエリンクバトル』を直ぐさま選択。
震える、こいぬ。
しかし、この震えは恐怖では無い。ワクワクしているのだ。
激しい呼吸、乱れる心音。
いままでマイペースに楽しむために、1人だったこいぬはまだ見ぬプレイヤーとの快適に心を踊らせている。
それを見守るアーテル、彼女はこの高まったシュチュエーションに満足している様だ。
何故なら理由は簡単である。
いつも無表情で気だるげな、彼女の口角がゆっくりと上がる。
そう、彼女はこいぬを見つけた時から、ここまでの展開を予想していたのだ──……。勿論、戦闘の行く末さえ──……。
「さーーーって、やろうじゃん。んーー。そう言えばアナタ名前は? 団長に聞いたと思うけど私はペルナ。琥珀槍のペルナ、この団の切込隊長ってとこかな。スピードは誰にも負けないつもりよ。」
──……。ジャキン!!!
アイテムコンフィングから武器アイテム『槍』を選択し、フィールドに現出させる。
勢いよく槍の刃がこいぬを目掛け、それを突き立てる。
ビュン!!
凄い殺気を刀身から感じる。ただならぬオーラ。
「や、槍使い!! しかも、この装備──……。槍ジョブの上限MAXレベル…!!」
「……。へ?」
「え、?……。 あっとえっと。……ど、どどどうしました?」
「いや、ッスーー。あれ? えっと、アーテルだんちょ?」
「ん? なあに? ペルナ」
高まりきった戦闘ムードが一気に急降下。ここまでバチバチでジリジリだった部外者とギルドメンバーとの会敵が一気に温和ムードへと切り替わる。
「あー、強いやついるよ〜とは言ったけどあなたのことは詳しく説明してないわ、クスクス…。もしかして、自惚れ?」
──カァァァァァッ……。
このギルドの戦闘狂と言えば、自分のことだと思ったペルナはてっきり、自分の詳細を団長であるアーテルが事細かく、自慢げにこの子へと話していると勘違いを続けていたペルナは顔を真っ赤にして恥ずかしがる。
「だんちょーーのバカァ〜!!!!!!」
その大声は森の奥へと、こだました。