We prepare for that
光陰矢の如し。僕たちは今ロケットの中に居る。出発まで残り1時間。
「…………」
さっきから彼女の顔が暗い。今は地を立つための準備中。部屋には2人だけ。
気まずさが勝り話しかけた。
「地球に戻ってきたらまた一緒に旅に出よう。」
「…どうしたの?急に。」
反応をかろうじてしてくれるがトーンが普段より低い。
「いや、なんとなく。」
「なんとなくってなんなの?」
笑ってくれた。やっぱり笑顔がよく似合う。
「そうだね。一緒にまた旅行しような。」
「うん!」
我ながら子供のようだ。後から恥ずかしさが襲ってくる。
「あ、そういえば」と言いながら彼女がポケットからお守りらしきものを取り出した。
「これあげる。」
青い石。これをくれるのか?君にとって安物ではなさそうなのに。
「いいの?これもらっても。」
「うん。いいよ。だってこの石を見て私を思い出してほしいから。」
儚さを目に浮かべながらはにかんで言ってきた。
宇宙船発射まで10分前
私たちは宇宙船に乗り込んだ。船内には私たちの他にも5人くらいいる。もうすぐで地球から飛び立つ。カウントダウンのアナウンスが響く。カウントが進むにつれて船内の振動が増してくる。
「10秒前」
とうとうこの時が来た。
「5秒前」「4」「3」「2」「1」
「go」