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第81話 最重要機密事項

「とりあえず気絶させましたけど、目を覚ましたらテレポートで逃げられますよね、どうするんですか?」


 レベルさえ下げれてしまえば、結果は見えているようなもので、風間(かざま)さんが一方的に蹂躙するだけの簡単な作業と化した。


「今回の作戦ではそういう可能性も考慮されている。沢城 亜樹(さわしろ あき)、ガルムの中でもできる限り早急に無力化したかった奴の1人だ」


 風間さんは徐に背負っていたリュクから手錠を取りだし、沢城と呼ばれたドレス女にそれをつけている。


「それは?」


「ギルドが所持している特異犯罪者用の手錠だ。スキル封印の力が施されている」


「それって、警察とかで使われてるものですよね、何でギルドが所持しているんですか?」


 俺の質問に風間さんは心底呆れた表情を浮かべる。


「冒険者の管理は基本的にはギルドの仕事だ、元々これを作る技術を持っているからギルドはあそこまで大きくなったと言っていいくらいだ。現代社会の秩序の為にも警察機関のみが所持していることになっているが、今回のガルム掃討作戦では必須アイテムだからな、警察機関にも事前に許可はとってある」


 なるほど、ギルドにそんな経緯が、って、ん?

 今ガルム掃討作戦って言いました?


「因みにスキル封印の手錠をギルドが所持していることは、秩序之番人(コスモスウォーデン)や一部の関係者しか知らない情報だ。外部に漏らしたらどうなるかわかるな?」


 あー、これは外部に漏らしたら消されるやつだ。

 って、それもヤバいが、今はそんな事どうでもいい。


「それは分かってますけど、そんな事より風間さん、今ガルム掃討作戦って言いましたよね。つまりこのダンジョンって、ガルムの本拠地ってことですか?」


「なんだ貴様、知っていて着いてきた訳では無いのか」


 くそ、薄々分かって勘づいてはいたけど、随分と面倒なことに巻き込まれたもんだ。


「まぁ良い、貴様の力については杏香(きょうか)さんに聞いて把握している。存分にその力を発揮し、愚物なりに役立って見せろ」


 風間さんって何でこう、人の神経を逆撫でするような物言いをするのだろうか、別にいいけどさ。

 と言うか、風間さんも師匠の知り合いなのか。

 完全に師匠の手のひらの上で踊らされてる感じだな。


「話はこの位にして先を急ぐぞ。さっさと漆原(うるしはら)服部(はっとり)と合流しなければいけないからな」


 そうだ、(そら)輝夜(かぐや)がついてくれているが、それでも心配だ。風間さんの言う通り早く合流しないと。


 と、その前に。


「おい、何をしている」


 俺はカバンから回復薬を取り出し、壁にもたれかかったアホにふりかける。


「ブハッ!てめぇこの野郎、普通に渡しやがれ」


「別に良いだろ、飲んでもかけてもそう効果は変わんねぇよ。それより、今の話聞いてたな?目的は同じだ、お前も手伝え、千國(せんごく)


 漆原さんを助けに行く為だ、スキルはどんどん使っていくつもりだが、千國が居ればレベル1の雑魚なんて物の数でもなくなる。


「ちっ、今回だけだからな」


「お前のそういう所、俺は好きだぜ」


「テメェに好かれるくらいならダンジョンでくたばった方が幾分かマシかもな」


 いや、なんかこう、何で男性陣からの俺の評価ってこんなに低いんだろう。

 なんかそんな呪いでもかかってるのか?


「遊んでないでさっさと行くぞ」


「因みにどこに向かえばいいのかは分かってるんですか?」


「貴様のような凡骨と違ってその辺はしっかりリサーチ済みだ」


 ……俺この人たち苦手だ。



 ▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽



「一視同仁!」

「フルスイング!」

音擊(サウンドショック)


 風間さんが言うには俺たちが今いるのは16階層、深層と呼ばれる下層よりさらに強いモンスター達がうじゃうじゃいる場所だ。


 そしてガルムの親玉がいるのは20階層、漆原さんや服部さんはおそらくその間の階層に飛ばされいるらしい。


 因みに千國は転移トラップで15階層に飛ばされ、そこにいたヤツらをぶっ飛ばした後、16階層でアイツらにやられたらしい。


 つまり本当であればさらに分断されていた可能性があったという訳だ。


 それにしても考えていた通り、深層であっても敵のレベルさえ下げれば千國の独壇場だ。


 風間さんの指示の元、最短ルートで下の階へと向かっていく。


「東冒大に鬼化のできる編入生がいると聞いていたが、君がそうか。凄まじい戦闘能力だな、是非うちのクランに入らないか?」


 わお、まさかのクランマスター直々のお誘いを受けてるよ。

 千國のポテンシャルを考えれば当然ではあるんだろうけど。


「お誘いはありがたいが、俺にも通さねぇとならねぇ義理ってもんがある。それに、あんたが思うほど俺は強かねぇよ」


「断って良いのかよ千國、折角のトップクランからの誘いだぞ?」


「テメェは黙ってろ」

「貴様は黙っていろ」


 どうやらこの2人は息もピッタリのようだ、ちくしょ、早く空と合流して慰めてもらうんだ。


「このまま下の階に降りるぞ、警戒を怠るなよ」


 下の階への階段をみつけ、そのまま勢いよく駆け下りる。


そこに広がる光景に、思わず声が出る。


「嘘だろ?どうなってんだ……?」


 17階層、そこに広がる光景はまさに地獄そのものだった。


 綺麗なはずの竹林は焼け焦げ、無数の人間が呻き声を上げ倒れている。


 その中央、炎の中で佇むそれは……


「輝……夜?」


読んで頂きありがとうございました。


千國と風間さん、合いそうにないのに意外なシンパシー。

そんな事より、輝夜さんは大丈夫なのか?

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