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第72話 最強は伊達ではない

「今日はありがとうございました。色々とお話が聞けて良かったです」


玄関で山井(やまい)夫妻に対して頭を下げる。


「いやいや、こっちこそ話せて楽しかったよ。誰とでも喋れる話題じゃないからね」


大っぴらに話せば、情報統制をかけているギルドと衝突することになる。

そのことを考えれば気軽に誰とでも、という訳には行かないよな。


(そら)ちゃんまたね」


「ギャウ!」


空も美月(みつき)さんと随分と仲良くなったみたいで、嬉しそうに返事をしている。


「空ちゃんの事で困ったことがあれば、いつでも連絡をしてくるといいよ」


「はい、その時はよろしくお願いします」


夫妻に見送られながら、師匠の車に乗り込みその場を後にする。



「師匠、今日はありがとうございました。急に連れてこられた時は訳が分からなかったですけど、凄くためになりました」


亜人についての知識、空の為にもこれからどうして行くのが正解か考えるにはあって損は無い。


「そういつは良かった、ついでに寄った甲斐があったな」


「そうですね、ついでに寄っていただけて良かった……ついで?」


ついでって言いましたか師匠?

え?

道理で来た時と違う道を通ってるわけだ。


「師匠?俺はこれからどこに連れていかれるんですか?」


よし、聞けたぞ。

今回はちゃんと聞けましたよ。


「んなもん決まってんだろ」


車内で空と戯れていること十数分。


ダンジョンに着きました。


「だから説明は!?」


「ここを完全攻略するまで帰れないと思え」


「え?」


「私は予定があるからもう行くぞ」


「ちょっと待ってください!ここ何階層あるんですか?」


「未攻略だから知らん」


「俺授業あるんですけど」


「お前の攻略実績で進級できねぇ訳ねぇんだから気にするな。どうしても受けたいなら早く攻略することだな」


そう言って師匠は車で去っていってしまった。


え〜〜。


「突っ立ってても仕方ないか、まずは情報だな」


師匠の言うことを無視して帰ることも出来るが、攻略しろと言うからには何かがあるんだろう。


取り敢えずデバイスを開いて位置情報を確認する。


「場所は熱田ダンジョン、現在の最高到達階層は14階層で下層と言われているのか」


なるほどね、これはキツいなぁ。


「ギャウギャウ」


渋い顔をしていると空がてしてしと足をつついてくる。


「とりあえず宿を探してからだな」


空の頭を軽く撫でてやる。


後は胡貴(こたか)に連絡して輝夜(かぐや)を送って貰うか。



△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼



「すいません、本日満室となっておりまして」


ダンジョン近くのギルド運営のホテルに来てみたが、どうやら空いていないらしい。


ランカーの特権で用意されている部屋もあるはずだが、そこも埋まってるとなると、何だが嫌な予感がする。


少なくとも数名のランカーが同時期に熱田ダンジョン攻略に乗り出してるなんて、偶然とは思えない。


「あ、源志(げんし)くん!それに空ちゃんも、偶然だね、なんでこんな所にいるの?」


名前を呼ばれて振り向くと、漆原(うるしはら)さんが駆け寄って来ていた。


「あー、なんか師匠が熱田ダンジョンを攻略しろって」


駆け寄ってきた漆原さんに空が近づくと、漆原さんもそれに気づいてしゃがんで空の頭を撫でてくれる。

なんて癒される光景なんだ。


「え?お母さんが……そういう事?」


漆原さんは一瞬何か考えたのち、思い当たる節があったのか妙に納得した顔をしている。


「それでギルドのホテルに来たんだ」


「あぁ、でも空室がないみたいでさ、どこか適当なホテルでも探そうと思ってる」


空を泊めてくれるホテルが都合よく見つかるといいが。


「それなら私が借りてる部屋に泊まりなよ」


「ひょえ?」「え!?」


急に漆原さんが変なことを言うから変な声が出た。

というか横にいた受付の人は俺より驚いている。


「ランカー用の部屋って無駄に広いし、数人泊まれる仕様でしょ?今日クランの皆と来てるんだけど、皆遠慮して誰も一緒の部屋に来てくれないからベッドも空いてるよ」


そりゃ漆原さんと同じ部屋とか恐れ多すぎて女性でも遠慮するし、ましてや男なんて以ての外だろ。


「いや、それは」


「空ちゃんと一緒に泊まれるホテルも近くに無いでしょ?」


断ろうとしたが先回りされる。


「すいません等々力(とどろき)様、今別の部屋がよ」

「部屋は用意でき無いんだよね?」


受付の人が何か言おうとしたが漆原さんがにっこりと笑顔を向けて言葉を遮る。


「別の部屋が用意はいたしかねますので、漆原様のご提案を受けてはいかがでしょう」


うん、受付の人の目が断れと叫んでくる。

というか無理やり言葉変えたせいで日本語おかしくなってるよ?


「それじゃあ、空だけでも頼めるかな、俺はビジネスホテルを探すから」


「源志くんも泊まるよね?」


あれ?今俺結構自然な感じで断らなかった?


「いや、流石に問題だろ」


「空ちゃんも源志くんと一緒が良いよね」


いや漆原さん、それはずるいだろ!


「ギャウ!」


空も今日一いい返事をしないで、いや可愛いけどね?


「いやいや」


「前は泊まってくれたのに?」


くっ、空と漆原さんの上目遣いが!

心が揺らぐ

てか受付の人が漆原さんの言葉にギョッとしているよ。


「えっとだな」

「はい、じゃあ泊まるということで決定」


あの親にしてこの子ありというか、本当に師匠の娘って感じだよ、漆原さん。


「漆原、そこで何をしている。部屋で休む様に指示をしておいたはずだが?」

読んでいただきありがとうございます。


お待たせしました皆さん!

漆原さんの登場ですよ!

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