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第68話 最上位の存在

「なっ!?ちょっ!なんだ!?」


吉原(よしわら)くんの持っていたカバンから何かが飛び出し、それに驚いて声を上げている。


飛び出した何かは、今にも等々力(とどろき)くんに襲いかかろうとする龍の前に躍り出ると、その鼻っ柱に一撃を食らわした。


「あれって確か、魔導アーム?」


龍を殴りつけたそれは吉原くんと等々力くんが遊んでいた、腕型のロボットだ。


「は?なんで魔導アームが勝手に動いてんだ?」


単体で動くのかと感心していたが、吉原くんの反応を見る限りそうでは無いようだ。


一体何が起きているんだろう?


唖然と見ている間も魔導アームは、龍の質量で押し潰すような攻撃も上手くいなして攻撃を逸らしている。


『私が守る、私が助けます』


また声が響いたかと思うと、何も触って居ないはずの魔導ドローンが、ひとりでに宙に浮き上がり、勢い良く龍の方へ飛んでいく。


『全パーツとのリンクを構築…………構築成功。全パーツ強制起動』


一際大きな駆動音が鳴ったかと思うと、吉原くんのカバンもひとりでに浮き上がり、龍の方へと集まっていく。


「何が起きてんだ?」


吉原くんに分からないのであれば、私にわかるわけがない。


鞄だと思っていた物は形を変え、まるで人間の胴体の様なものに変わったかと思うと、そこにさらに足が生え、魔導アームも合体した。


そして魔導ドローンがその中心に格納されると、最後に頭のようなパーツが飛び出てくる。


「……ヒューマノイド?」


そこに現れたのは、人の形を模したロボットだった。


「これより個体名<等々力くん>を保護対象と認定、保護対象への脅威を排除します」


ヒューマノイドの胸のあたりから私の声に良く似た機械音声が響く。


その事に驚いている暇もなく、ヒューマノイドは龍に向かって蹴りを放つと、龍の頭が上空へ跳ね上がだった。


「マジかよ、なんで動いてんだ?何度やっても魔導ドローンと魔導アーム以外の接続が上手くいかなかったってのに、何か特殊な条件が揃った?だとしたらそれは何だ」


なんか吉原くんも驚き過ぎてなのか、ブツブツと何かをいいながらヒューマノイドを見つめている。


それにしても強い。

誰も歯が立たなかった龍を蹴り上げ、明らかにダメージを負わしている。


しかし流石に龍と言うべきか、忌々しそうにヒューマノイドを睨みつけ、直ぐに体勢を立て直している。


そしてヒューマノイドが近寄ろうとするのを見計らい、尻尾でそれを薙ぎ払う。


その攻撃を分かっていたとばかりにヒューマノイドは体勢を低くして回避しながら近づき、龍の腹へと蹴りを一撃叩き込む。


「凄い、これならもしかして」


これならもしかして勝てるかもしれない。


そう思ったのも束の間、龍が大きな口を開けたかと思うと、そこに水が集まっていく。


「保護対象への攻撃と判断、防御態勢に移行」


龍が等々力くんへと水のブレスを放つと、ヒューマノイドは一切の躊躇なくその間へと割り込んだ。


ブレスが止み、霧が晴れると、ヒューマノイドは一撃でボロボロになっていた。


至る所から火花が散り、少し動くだけで軋む様な音が鳴る。


「各種パーツに異常を検知、出力低下、腕部パーツとの接続を一時切断、その他パーツへリソースを移乗」


魔導アームが力なく床に落ちる。


ほんの少しだけ希望の光が見えたかと思ったが、ただ一息でそれは打ち砕かれた。


けれど


「お願い、頑張って!どうか等々力くんを助けて!」


「アクセプト」


それはまるで最初からそうするつもりだとでも言うように返事がかえってくる。


「脚部パーツ出力最大、空間座標設定完了」


間髪入れずに龍がまたブレスを溜め始める。


先程までの攻撃から遠距離攻撃は無いと判断したのか、上空で悠々とブレスを溜めている。


「そこは攻撃可能範囲です」


次の瞬間、ヒューマノイドが目の前から掻き消える。


流星脚(メテオドロップ)


龍頭上から声がしたかと思うと、強烈な蹴りが炸裂し、龍は顎から地面へと叩きつけられる。


衝撃で水が舞い上がり、龍の額には傷がついた。


『このからくり風情が、調子に乗って!』


怒りの感情が乗せられた言葉が脳内を走る。

龍はガバリと起き上がると、空中にいるヒューマノイドへと首をのばし、その胴体を噛み砕かんと大口を開ける。


『そこまでじゃ』


ぞわりと背筋が凍りつく。

その声?が響いた途端、龍の動きがピタリと止まる。


空間がぐにゃりと湾曲し、そこに何かが現れる。

いや、現れるという表現は適切なのか分からない。

そこに存在している気はするが、認識することができない。


だがそこには確実に何かが起きている。


『……お母様、これはなんと言いますか』


『良い、これ以上見苦しく囀るでないわ』


その言葉と共に、龍は元の女性の姿に戻ってゆき、それの目の前でこうべを垂れる。


『お市よ、久々に会うたから揶揄ってやろうと言う気持ちは分からんでもない、故に影を飛ばすことは黙認した、ここは元々其方らの場所ではあるゆえな。だが心を乱し剰え龍へと化けるのは、流石に看過できぬな』


『申し訳ありません、お母様』


お市と呼ばれた女性は、深く深く頭を下げている。

やはり織姫と名乗ったように聞こえたのは聞き違いだったのだろう。


『もう良い、仕置はあとじゃ、この場から去れ』

『でもお母様……っ』


口答えをしようとした瞬間、一瞬それの存在感が増す。

正直あまりの迫力に意識が遠のきそうになる。


渋々というようにお市と呼ばれた女性の姿が消えると、それの感覚も消え去る。


しばらく沈黙が流れる。


「何とか……生き延びたって事で、良いのかな?」


事実を噛み締めるように言葉を発する。

どうやら危機的状況は脱したようだった。


「と言うかこの状況、どうしよう」

読んで頂きありがとうございます。


完全勝利!とまでは行きませんでしたが、

何とか危機は去ったようでなにより、

いや、皆よく頑張った。


これにて第4章は完結です!

次週はエピローグついでに水着回を予定してます。

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