表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/88

第62話 最高に嫌な予感

「チッ、まじで効いてる気がしねぇ」


 千國(せんごく)が愚痴を零す。


 どれくらい時間が経っただろうか。

 並外れたプレッシャーの中で攻撃を続けているせいで、時間の感覚がよく分からない。

 体感では1時間くらいに感じているが、もしかしたら1分も経っていないなんてこともあるかもしれない。


 こちらからは何度も攻撃を仕掛けているが、織姫側から攻撃をしてくる事は1度もない。

 それが逆に不気味で、不安だけが募っていく。


「……ギャウ」


 空から不機嫌そうな声が聞こえてくる。

 俺はそちらの方を見ると、何故か(そら)は器用に後ろ足で立ち上がっていた。


 空も猫みたいに立てるのか!可愛いかよ!とか思いそうになるが、目線が下がった事であることに気づく。


 地面に薄らではあるが水が溜まっている。

 それを嫌がって空は立ち上がったのか。


 水の流れを目で追って、俺は少しづつ顔を上げていく。


等々力(とどろき)くん!」


 早瀬さんの声にハッと気がつく。

 いつの間にか目の前まで織姫の手が迫っていた。


「ッ!」


 咄嗟にバックステップをしながら上体を反らして回避する。

 身体が柔らかくなっているおかげで、思った以上に身体が反らせて辛うじて触れられずに済んだ。


 もしこの織姫が川姫の上位存在だった場合、ほんの少しでも触れられたらヤバかったかもしれない。


 それにしても、俺が避けた時に織姫が物凄く不満気な表情をしたように見えたのは気の所為だろうか。


 奇襲に失敗したからか?


 というか、よく考えたらいつの間に目の前に移動されたんだ?


「気をつけろ等々力!ボーッとしてんじゃねぇぞ」


 千國に注意され気合いを入れ直す。

 確かに空を見て気がそれてしまっていた。

 たが、それだけであそこまで接近を許すだろうか。


「等々力くん、千國くん、何か変。さっき遠くから見てた私には、織姫が突然等々力くんの前に現れたように見えたの。それに足元が少しずつ浸水してる、水の出処は織姫みたい」


 突然現れたように見えた?

 何かしら転移系のスキルでも持っているのか?

 それとも気配を消せる?

 兎に角、そういう系統のスキルがある事を意識しておこう。


 それからさっき俺も気づいたが、床の浸水、これは織姫の傷から水が流れ出ているようだ。


 足を取られるほどになる前には何とかしたいところだ。


 あまり時間をかけ過ぎると、このフロアが完全に浸水するなんて言う最悪のシナリオも有り得るのか?


「空!千國!どうやらあまり時間はかけられないみたいだ、少し危険だが一気に倒しきろう」


「んなこた言われなくても分かってんだよ!で、実際どうすんだ?」


 闇雲に攻撃すれば良いって訳でもないか、何か弱点みたいなものがあれば。


「皆、織姫の腹部、丁度おへその辺りに魔力が集中してる、多分そこなら攻撃が通じるはず」


 早瀬さんからそんな指示が飛んでくる。


「弱点が分かりゃこっちのもんだろ!」


 すぐに千國が走り出し、織姫の腹に向かって金棒を叩き込む。


 その攻撃を初めて織姫がひらりと躱した。


「避けやがったな?てことはやっぱりそこが弱点って訳だ」


 これまでの鬱憤を晴らすように、千國が連撃を放つ。


 空と俺もそれに合われて織姫の逃げ道を経っていく。


「#∞Щ*₪ *##$@」


「はっ!何言ってんのか分かんねぇんだよ!」


 確実に攻撃が当てられる位置に誘導し、千國がフルスイングで金棒を振り切る。


 しかし、その攻撃は何故か織姫に当たることは無かった。


 突如として織姫が姿が揺らいで霞がかると、その場から霧散してしまう。


「消えた!」


「どこ行きやがったあの野郎!」


 まずい、千國はフルスイングで体勢が崩れている。

 今攻撃されたら避けられない。


「ギャウ!」

「等々力くん!後ろ!」


 早瀬さんの声に反応し振り向くと、織姫が俺を捕まえようと手を広げていた。


 咄嗟に避けようと前に足を出すが、いつの間にか足首まで水が来ていて躓きそうになる。


 駄目だ、避けれない!


「ギャウ!」


 走り込んできた空が俺に体当たりをしてその場から弾き飛ばしてくれる。


 勢いに任せていたせいで、一緒になって地面を転がり2人ともずぶ濡れになってしまう。


 だが、それでも何とか攻撃?は避けれた。


「助かった空」


「ギャウギャウ」


 返事をした後、濡れた体を嫌がってブルブルと水を飛ばしている。


 あんなに水を嫌そうにしてたのに、それでも俺を助けてくれたのか。


 それにしても、無防備な千國じゃなくて俺に攻撃を仕掛けてくるのは一体なんなんだ。


 さっきも俺に触れようとしてきていたし、狙いは俺?


 何かヘイトを買うようなことしたかな。


「何にしても、あの回避方法は厄介だな」


 この間も千國は手を休めずに攻撃を仕掛けているが、織姫は上手く躱し続け一向に当たる気がしない。


 ただでさえ回避力が高いのに、その上霧のように消えて攻撃を避けてくる。


 こんなのどう倒せって言うんだよ。


「ん?水の流れが変わった?」


 何とかならないかと織姫を観察していると、さっきまでただ織姫から流れ落ちるだけの水が、まるで一定方向に向かって集まるように流れていく。


 それだけじゃない、足元の水もそこへ向かって少しづつ集まっているようだ。


「千國!後ろ、なんかヤバい!一度下がれ!」


 俺の声に反応し舌打ちをしながらも千國はその場から離れる。


 それと同時に水の勢いは増していき、一箇所に渦を巻いて集まり、何かを形作っていく。


「嘘でしょ?」


 あまりの出来事に早瀬の口から声が漏れる。

読んで頂きありがとうございます!


雲行きが怪しくなって来ました。

それにしても織姫?は何か遊んでるんですかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ