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第57話 最悪で嫌いな事

「いいか等々力(とどろき)、ただでさえ昨日よりも戦力ダウンしてんだ、くれぐれも慎重に行動しろよ?」


 学生研修2日目。

 厳島ダンジョンのロビーで、千國(せんごく)が釘を刺してくる。


「分かってるよ、昨日師匠にこってり絞られたし、胡貴(こたか)にも散々言われたからな」


 結局、昨日壊れた魔導ガントレットは持ってきた道具だけでは直せないらしく、今朝胡貴にも散々注意されたばかりだ。


「本当にわかってるよな源志(げんし)早瀬(はやせ)さんも念の為もう一度言っておくが、魔導ガジェットは辛うじて使えるレベルに直しただけで、酷使すれば直ぐにダメになっちまうからな」


「ええ、これが無いと自衛も出来ないから。これ以上の足でまといにはならないように頑張るわ」


 足手まといだなんて誰も思ってないけどな。

 早瀬さんは戦闘以外でしっかり頑張ってくれているから。


「等々力、テメェももう少し早瀬を見習って謙虚な心ってのを学んだらどうだ?」


 謙虚さか、俺ってそんなに足りてないか?


「考えておくよ。さて、それじゃあ今日も探索頑張りますか」


「ギャウキャウ」



 ▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽▲ ▽ ▲ ▽



「前方から中型2体、皆警戒して!」


 早瀬さんの一言で戦闘態勢をとる、2階層に出てくるモンスターは雷獣、その名の通り雷を纏った獣で大きさによりその強さは変化する。


「等々力、右は任せる」


 千國は走り出すと鬼化して雷獣へ殴りかかる。

 拳が当たると共に雷獣の纏う雷が四方へ弾ける。


「ギャウ……」


 その雷を嫌うように(そら)が後退してしまう。

 どうやら雷獣は苦手なようで、心做しか毛が逆だっている。


 いやこれ、逆だってるってより静電気でモコモコになってんのか。


「等々力!」


 おっと、空の可愛さに見とれてる訳にも行かないな。


「分かってるよ」


 とはいえ雷獣に初っ端から物理攻撃ができるのは千國くらいだ。

 もし俺が真似しようものなら雷の鎧に焼かれてしまう。


 ナイフで雷を切れたらいいんだが、そんなとんでも技は残念ながら会得していない。


「こっちだ獣野郎」


 その辺の石を拾って雷獣へ投げつける。


 しかしその石は雷獣に当たる前に一瞬にして砕け散る。


 それでも気は引ける、後は上手く誘導してやればいい。


 雷獣が放つ鋭い鉤爪をひらりとかわした瞬間、雷の鎧に何かが当たり弾け飛ぶ。


 流石早瀬さん、完璧なタイミングだ。


 無防備になった雷獣の額にナイフを思いっきり突き立てると、光の粒子になって消えていく。


「ナイスアシスト早瀬さん」


 俺の動きに合わせて雷獣の鎧を撃ち抜くとか、やっぱり早瀬さんは凄いよな。


「等々力くんが上手く射線に誘導してくれたからだよ」


 それでも俺の避ける方向を見極めて撃っているんだから、スキルがあるとはいえ充分すごいと思うけどな。


「しかし、1階層降りただけでかなり進みづらくなったな」


「そこのクソ猫が戦力にならねぇのが原因の一つだがな」


「千國テメェ、空のことクソ猫って呼ぶのやめろよな、こんなに可愛い娘に何て言い草だよ、なぁ空」


 空を撫でてやろうと手を伸ばすが、飛び退いて避けられる。


「ギャウギャウ!」


 え?俺今、空に避けられた?


「あっ、等々力くん、空ちゃんは静電気が嫌みたいだよ」


 ああ、なるほど、それで避けたのか。


「ぶっはっはっ!おい早瀬、今の等々力の顔見たかよ、クソ猫に避けられた時死にそうな顔してたぞ」


「もう!千國くん!」


 しかし実際空が戦力として数えられなくなるのは予想外だった。


 罠の感知はできている見たいだけど、それも心做しか精度が悪くなっている。


 1階層よりさらに罠が増えて、どうしても進行は遅くなってしまう。


「とりあえず早めに3階層に進みたいな、階層が変われば出現モンスターも変わる」


「ちょっと良いか?」


「どうした胡貴、また何か考えでもあるのか?」


「いや、そういう訳じゃないが」


 どうもバツの悪そうな顔をしている。

 胡貴の様子を観察していると、引率の先生をチラリと見た。


 もしかして。


「雷獣の魔石が欲しいのか?」


 俺は小声で胡貴に話しかける。


「出来れば、大型個体のレベル1の奴が」


 胡貴もそれに合わせて小声で話してくる。


「おい、引率のやつにバレねぇように今回は使わねぇんじゃなかったのか?」


 千國の言う通り、今回の研修中は基本的に一視同仁スキルは使わないと皆には話してある。


「それは分かってるんだが、雷獣の魔石があれば今構想してる事が出来そうなんだよ」


 さて、どうしたものか。


 大型の雷獣はかなりの強敵というか、言わばフロアボスだ。


 スキルを使うのは良い、それ自体はこっそりやれば発動した事自体はバレないだろう。


 だが露骨に弱くなったら何かしら勘ぐられるかもしれない。


 となるとやれて1回、それで確実に魔石を落とすとなると。


「面倒ではあるけど方法はある」


「正気かテメェ、1度くらいならバレないかもしねぇが、ボス級個体の魔石がそれで落ちる確率なんざほとんどねぇぞ」


「ああ、だからラストアタックは早瀬さんに頼む」


「あ?どういう事だよ」


 千國が首を傾げる。

 まぁそうだよな、こんな身近にいるなんて普通思わねぇよな。


「私の幸運値は90なの、ボス個体でも多分魔石は落ちると思う」


「はあああ!!?」


 ぐおおぉぉ!耳があああ!


「千國テメェ、急に大声出すなよな」


「悪ぃ、だがこれが大声出さずにいられるか?無理だろ」


 千國の意見も分からんでもない、最大値ってのはそれ程に珍しいからな。


「まぁとにかく作戦を伝えるぞ」

読んで頂きありがとうございます。


静電気モコモコ空ちゃんは可愛い。

それはそれとして静電気って嫌ですよね、本当に。

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