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第50話 最速トラップRTA

 見事な出オチを噛ましてくれた魔導アームさんは丁寧にしまい直して先に進むことにした。


 因みにその魔導アームの入った荷物は、胡貴(こたか)に持たせていると遅いからという理由で、仕方なく俺が持つことになったのだが、さっきの腕2本が入ってるだけにしては重すぎる。


 胡貴の奴どんだけ荷物持ってきてんだよ。


 歩くペースが遅くなるという事は無いまでも、正直なかなかに歩きづらい。


 特に厳島ダンジョンの床は少し粗めの石畳でたまに蹴躓きそうになる。


「おっと」


 実際転けそうになり壁に手をついて体を支える。


「大丈夫?等々力(とどろき)くん」


「心配無いよ早瀬(はやせ)さん、ちょっと躓いただけ」


 カチッ


 そんな俺を嘲笑うかのように手元で嫌な音が響く。


「だから〜」


 手をついている壁が扉のように回転し、俺はその中へ転がっていく。


 たまたま手をついた場所がトラップのスイッチって、まじで運が無い。


 扉は一瞬で閉じてしまい、どうにか開かないかと調べてみたが駄目みたいだ。


「おーい!早瀬さん、胡貴、聞こえるか?」


「「聞こえるよ(ぞ)!」」


 どうやら声は届くらしい、となるとそこまで厚い扉じゃないのか?


「こっちからは開きそうにないんだ、そっちからはどうだ?」


「さっきから試してるけど、こっちからも駄目みたい」


 どうしたものか、幸い道は続いているから1人で探索できないわけじゃないが、そうなると流石に胡貴の荷物を持ったままだと厳しい。


「おい!扉から離れてろ」


 この声は千國(せんごく)か、もしかしなくても扉を壊す気か?


 いやでもこっちは一本道で避ける場所が無いんだが。


「行くぞ!」


 いや待て早いよ!


 うるさいくらいに破壊音が響く。


「おい待て!まだ離れてねぇよ!」


 俺の悲痛の叫びは残念ながら破壊音でかき消される。


 ああもう!すまん胡貴、ちょっと使うぞ!


 とりあえず少しでも距離を取ると、胡貴から預かった荷物を盾にするようにしゃがみ込んだ。


 その途端に一際大きな音が響く。


 さらに荷物越しに物凄い衝撃と音が伝わってきたかと思うと、跳ね上がるように飛んでいく扉を俺は見た。


 え?もしこの荷物持ってなかったら俺あの扉に轢かれてたってことですか?


「無事か源志(げんし)!」


「ギャアギャア!」


 土煙の中から(そら)が勢いよ走って突っ込んでくる。


「ぼふっ!お、おう、大丈夫だ」


 突然俺が居なくなってパニクってたのか。


 とりあえず落ち着けとばかりに空の頭を撫でておく。


「全く、あの様な罠に引っかかるなど、やはり貴様がランカーとは信じられませんね」


 それはそう。


「まずは1回か」


 ちょっ、師匠、今の不穏なカウントは何ですか?

 怖くて聞けない。


 取り敢えず罠には全力で気をつけよう。


「こんなところに隠し通路があったとはな」


 千國が興味深そうに通路の先を見て言う。


「どうする、元の道に戻るか?」


「はっ、愚問だな」


 愚問だったか、まぁそうだよな、千國だもんな。


 俺は荷物を背負い直して隠し通路の先を見る、ちょっと名残惜しいな。


「何してんだテメェら、さっさと戻るぞ」


「「「え?」」」


 俺と早瀬さん以外の3人が千國の言葉に驚く。

 付き添いの教師までもそうなのだからちょっと面白い。


 同じ高校である俺と早瀬さんは知っている。

 そもそもうちの高校はトップレベルの偏差値を誇る進学校。


 千國は素で頭が良い、めちゃくちゃ良い、見た目があれだし騙されやすいが、不貞腐れでもしていなければ真面目な選択をする奴だ。


「んだテメェら、だったらそっちに進むか?ア?」


 ああもう、ほら、お前らが変に声上げたせいで不貞腐れそうじゃねぇか。


「いや、千國の言う通り戻ろ」「ギャッ」


 空が急に短く鳴いて俺の足を掴む。


「どうした空?急に足掴まれたら危ないだろ?」


「ギャッ」


 足を戻すと今度はすぐ目の前に立ち塞がる。


 何だろう?奥に行けって言ってるのか?


 まさかな。


「ほら、空危ないだろ?後で遊んでやるから今は我慢してくれ」


 空を抱き上げて諭しながら1歩前へ進む。


 カチッ


「あっ」

「ギャッ」


 あー、もしかして罠があるって教えてくれたのか?


 何か地響きのような音が聞こえてくる。


「等々力テメェ!」


「いや本当にすまん」


「2回目だな」


 だから何ですかその不穏なカウント。


 何て言っているとさっき千國がこじ開けた壁の反対側がポッカリと開き、その奥から巨大な鉄球が転がって来るのが見える。


「奥に走れ!!」


 気づいた瞬間俺はそう叫ぶと一目散に走り始める。


「クソ等々力、テメェまじで後で絞める」


「そこはほら、さっき殺されかけたのでオアイコってことで!」


「ア?なんのことだテメェ」


「2人とも!話は良いから!どうするのこれ!!」


 珍しく早瀬さんが焦ってる、ちょっと可笑しい。


「等々力くん!真面目に!」


 おっと、顔に出てたか?


「すまんお前ら、俺、もう、無理」


「吉原くん!頑張って!」


「ああもうクソ」


 罠を発動させてしまった手前、俺に責任がある。


 少し戻ると気合いを入れて胡貴を肩に担いで走る。


「千國悪い!何とかならねぇか!」


「チッ、仕方ねぇな!」


 千國が鬼化して立ち止まる。


「いけぇぇぇ千國!止めろぉぉ!」


「うおりゃー!!」


 ゴリゴリと音を立てながら鉄球が止まる。


 ことは無く千國がはね飛ばされる。


「千國ぅぅう!!!」


 俺より少し前に飛んだ千國をもう片方の肩に担いで俺は一生懸命走る。


 いやもうマジでヤバい。


「等々力くん!前!前!行き止まり!」


 マジかよ!万事休すってか!?


「ギャアギャア!」


 空が勢いをましてかけ出すと行き止まりの壁を蹴って横に姿を消す。


「突き当たり!右にまがれる!滑り込め!!」



 物凄い振動とともに鉄球が壁にめり込む。


 何とか全員間に合って無事だが、鉄球が邪魔でもう戻れそうにない。


「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ、なぜ、私が、こんなに、走らなければ……はぁ、はぁ、等々力源志、貴様!この事はしっかり報告させてもらうぞ!」


 いやもう本当に、すいません。

読んで頂きありがとうございます。


相変わらず源志くんは運が無い、と言うか、ただの注意不足何ですけどね!

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