第48話 最下位共の集い
「何故私がゴミの面倒を見なければならないんだ」
現地集合との事で案内が飛んできた場所へ胡貴と共に飛行機に電車、バスにフェリーと乗って遥々やってきたわけだが。
そこで待っていたのは隠す気もないほどイライラしたスーツ姿の男だった。
講義を受けたことがないから殆ど面識は無いが、確か講師の1人だったと思う。
「おい源志、誰だこの痛いオッサン」
「引率の教員?じゃないかな」
学生研修に教員が着いてくるという話は聞いた覚えが無いが、いるのだからそうなのだろう。
「オッサッ、仮にも教員に向かってなんだその言い種、これだからゴミの相手は嫌なんだ」
オッサンと呼ばれたのがそんなにこたえたのか、眼鏡をカタカタさせながら震えている。
「あれ?等々力くん?それに吉原くんも、2人とも同じ班だったんだね」
聞きなれた声に振り返ると、そこに居たのはワンピース姿の早瀬さんだった。
「あっ、早瀬さん。俺は無駄に悪目立ちしてるから早瀬さんが一緒とか心強い」
「あはは、私も2人が一緒で安心したよ」
いつも通り優しい笑顔を向けてくれるが、どうも元気が無いように感じる、やっぱり何かあったんだろうか。
「うげっ」
集合時間まであるので嫌味な教員を無視して3人で談笑していると、またも覚えのある声が聞こえてくる。
「学生研修は4人パーティと聞いてたが、最後の一人がお前とはな、千國」
何とも言えない表情を浮かべている千國へ声を掛ける。
「何で俺がお前なんかと」
「そう言うなよ、拳で語り合った仲だろ?」
まさか断られた2人と研修でパーティを組むことになるとは思いもしなかった、これは嬉しい誤算だ。
「おっほん、集まった様だな、全く時間ギリギリになるまで集まれないとは、流石ゴミ共だ」
「ア?」
教員の煽りに反応して千國が睨むと、教員は満足そうに鼻で笑う。
いちいち癪に障るから無視していたんだが、反応されて嬉しがるとか構ってちゃんかよ。
「良いか?お前らは栄えある東京冒険者大学に入学しておきながら、成績が振るわない落ちこぼれ共だ。しかし寛容な我々はそんなお前たちにチャンスを与える為、学生研修の場を借りて特別に補習をしてやろうという訳だ。感謝しろよお前ら」
うん?
落ちこぼれ?
「待ってください先生。この3人が落ちこぼれ?何かの間違いでしょ」
方や魔導機工学のスペシャリスト、方や希少スキルのマッピング持ち、方や最強クラスのスキル鬼化持ち。
誰1人落ちこぼれと呼ばれる奴はいないように思える。
「はっ!何を言い出すかと思えば、私はしっかりと資料を貰っているから把握していますよ?吉原とかいう生徒は一度も講義に出ずダンジョンにも潜っていない、千國という生徒は強スキルを笠にやりたい放題。」
「まぁ、間違っちゃねぇな」
「俺は俺のやりたいようにやるだけだ、強スキルがあろうが無かろうが関係ねぇ」
うわ、認めちゃったよこの2人。
まぁでも、とりあえずこの教員が紙の上でしか生きていないという事はよく分かった。
「それから、そちらの早瀬さんでしたか、未だに攻略できたダンジョンは一つもなく、冒険者にも関わらず戦闘スキルを1つも覚えていない。多少頭は良いようですが、何のことは無い冒険者としては3流もいい所ですね。」
「おい!」
余りの言い草に声を荒らげてしまう。
聞き捨てならない、早瀬さんの凄さを知らないのか?
「良いの等々力くん、本当の事だから。」
「早瀬さん……」
なるほど、早瀬さんが自信を無くしている理由はこれか。
それならこの研修中に何とかなるかもしれないな。
「等々力?あぁ、貴様がそうか。噂はよく耳にしますよ。不正をはたらいてランキングを上げ、金を稼ぐクズだそうじゃないですか。全く貴様のような奴が1番タチが悪い、最近では我が校の誇る優秀な生徒である漆原さんにもちょっかいを出しているようですが、身の程を弁え」
「等々力くんは不正なんかしません!」
最初に叫んだのは早瀬さんだった。
「こいつは実力で俺に勝った奴だ、バカにすんじゃねぇ!」
「源志がどれだけ努力してるかも知らねぇでピーチクパーチクほざきやがって」
びっくりした。
何でこいつら自分の時よりキレてんだ?
「ちょっ、冷静に冷静に、この程度の評価は日常茶飯事だから気にしてねぇよ」
まだ怒りたりないと喚く3人を何とか宥めながら、何となく認められていることにむず痒くなる。
「ふんっ、お前らゴミはそうやって傷の舐め合いでもしているのがお似合いですよ。話が逸れてしまいましたが、今回はそんな落ちこぼれの貴方達を救ってあげようと言う訳です。研修の課題となるこの厳島ダンジョンを完全攻略することで、前期の単位をあげようと言うのですから。」
は?
研修期間のら1週間で、ダンジョンを1つクリアすれば前期の単位をくれる?
まじで?
そんなに簡単でいいのか?
「困惑しているようですね。無理もない、ゴミに1週間でダンジョン攻略などとてもじゃないが無理でしょうからね。ただそこは学生研修、特別に1週間でダンジョンが攻略できるように講師を呼んであります。」
なんだそれ、講師の人までつけるとか、ゴミゴミ言う割に至れり尽くせりすぎて逆に困惑してるよ。
「ギャウ!」
困惑し過ぎて愛しの愛娘の声がするよ。
全く、俺も随分な親バカになっ
「うぼふちょらっ!」
背中に物凄い衝撃を喰らって地面を転がる。
「ギャ!」
「??!?……空!どうしてこんなところに」
痛みで現実だと分かる。
思考は追いつかないが、まさかとは思うがそういう事なのか?
「今回の学生研修を受け持つことになった冒険者の天明杏華だ、約1名知った顔もいるがビシバシ扱いてやるから覚悟しろ!」
読んで頂きありがとうございます。
第4章開幕です!
若干1名アウェイな勘違いバカが居ますが気にぜず行きましょう!




