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第24話 最新の装備

『これより魔導ガントレットの実用試験を開始する。良いか源志(げんし)、少しでも違和感があれば実験中止だからな、まだまだ実用段階じゃないんだからな、お前がどうしてもって言うから実験するだけだからな』


 戦闘実験用ルーム内のスピーカーから胡貴(こたか)の声が響く。


「はいはい、そう何度も言わなくても分かってるよ」


 耳に胼胝ができるほど聞かされた言葉をあしらう様に応える。


 胡貴と協力関係になってまず行ったのは、俺の持っているレベル1の小鬼(しょうき)の魔石を使ったモンスターの力を引き出す実験だった。


 最初は上手く行きそうだったのだが制御が難しく暴走、幸い被害は装置の故障位で済んだが、残念ながら実験は失敗に終わった。


 そこで俺は考えた、この掌に埋まった魔石を介して魔石の力を制御してやればいいのではと。


 そうして出来たのがこの魔導ガントレットだ。


「それにしても魔導ガントレットって安直過ぎ無いか?もっとこう、例えばヤーレングレイブルとかさ」


 掌の魔石に意識を集中しながら胡貴に問いかける。


『ダンジョンのドロップアイテムには極稀に神話になぞらえた物があったりするんだよ、お前も知ってるだろ。そういう名前をつけると本物が出てきた時に悲惨だぞ』


 確かに贋作どころか勝手に名前借りるだけだからな。


 そもそもダンジョン産の物も本物かどうかは分からないが、一般的にどう捉えられるかは何となく想像できる。


『くだらねえ事言ってねぇでさっさと始めろ』


 胡貴に急かされ魔導ガントレットの起動スイッチに手をかざす。


『順番に行くぞ。第1フェーズ、魔導ガントレット起動』


「了解、魔導ガントレット起動。ブート!」


 俺の声を認識してガントレットが淡く光り起動する。


「なぁ、どうして今どき音声認識なんかにしたんだ?」


 ダンジョンで声を出すとか普通に考えて自殺行為なんだが。


『んなもんお前が状況考えずに博打で使ったり、ほいほい使ったり出来ない様にだよ決まってんだろ』


 信用ねぇな俺、いやまぁやばくなったらあるもんは使うし間違ってはいないけどな。


『次行くぞ。第2フェーズ、カバー解放』


「カバー解放。リリース!」


 機械が駆動する良い音を立ててガントレットの上面が開き魔石を嵌め込む場所が露になる。


『第3フェーズ、魔石装填。危険を感じたら直ぐに外せよ?』


「小鬼の魔石装填。装填完了、違和感は無い」


『第4フェーズ、ロード開始』


「ロード!」


 開いていたカバーが閉じると掌の魔石を通して小鬼の魔石の力がガントレットに流れ込む感じがする。


『第5フェーズへ移行。大丈夫そうならスキルを発動してくれ』


 今まで無かった感覚と言うか器官が増えた様な不思議な感覚。


 そこに流れ込んでくる異物が暴れないように掴んで抑える。


 行ける気がする。


「アクティベーション!小鬼」


 その瞬間、ガントレットの形がぐにゃりと歪む。

 それはまるで小鬼の顔を思わせるようなそんな何かへと形を変え。


 部屋中に嫌な音を発し始める。


 心がザワつく、これはまさに小鬼の鳴き声、が。


 ヤバい近くで聞きすぎて気持ち悪い。


「っ!パージ!!」


 ガントレットが異音を発しながら動き出し、魔石が無理やり排出される。


 部屋の端まで飛んで行った魔石は、そのまま光の粒子になって消えていく。


 部屋の中が静まり返る。


 ……。


 …………。


「……良し、成功だな」


 俺は沈黙に耐えかねて、煙を吹いているガントレットで握り拳を作ってガッツポーズを見せる。


『どこが成功何だよ!!バカヤロー!!』


 胡貴のスピーカー越しの叫び声が部屋を反響して俺の鼓膜を思いっきり揺らす。


 ぐえ、さっきの小鬼の鳴き声よりキツイかも。


「いやいや、一応成功だろ?小鬼の力は使い勝手が悪かっただけで、ちゃんと制御は出来たしスキルも発動したんだからさ」


『とりあえずガントレットの状態の確認だ、たく、壊してないだろうな』


 ボヤく胡貴の声の後に、小さく『シッ』って言ったのを俺は聞き逃さなかった。



 △ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼△ ▼ △ ▼



 さてと、これで準備は整った。


 右手には魔導ガントレット、腰には新調したポシェット。


 反省を活かして奪われ辛そうなものをチョイスした。


 前回の探索で通った道に関しても思い出せるだけ思い出して復習済み。


 胡貴のおかげでお金も潤沢だったので、回復薬や携帯食料もしっかり準備できた。


 転移陣のアクティベートは本人がしなければいけないので、今回は11階層からのリベンジとなる。


 ほんの少しだけ気がかりがあるとすれば、あの少女の事。


 もしまた会ったら俺はどうするべきだろう。


 その時はその時か、考えてもしょうがない。


 今は前だけ見て進むんだ、最上級冒険者になる為に。


 いつも通りダンジョンに入る為の申請をし転移陣へと向かう。


 どうもギルド職員の対応がいつもよりトゲトゲしかった気もするが、まぁ気のせいだろう。


 俺は順調に階層を進んで行った。


 臨死体験もあったからかトラップも随分と見つけられる様になった気もするが気を抜くことは無い。


 まぁここまで順調なのはレベル1の魔石が高く売れるから、気にせずモンスターのレベルを下げれる事が大きい。


 本当に胡貴様々だよ。


 そんな事を考えながらも進んでいると、少し離れたところから話し声が聞こえてくる。


 話し声からしてそこそこの人数のパーティ、4、5人位か。


 そして微かに聞こえる小さな唸り声。


「この声、まさか」


 その声の方へと歩みを進めようとして俺は思い止まる。


 行ってどうする、俺は……。


「確認するだけだ」


 自分にそう言い聞かせ、静かに走り出す。

読んで頂きありがとうございます。

やっと肉弾戦描写から抜け出せるって本当なの?


良かったら、

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