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第23話 最高過ぎるパトロン

「んだよ、そんなことか。真剣な顔すっからもっとヤベェ事かと思ったわ」


 同居人はケロッとした顔をしてから心底可笑しそうに笑う。


 その様子に俺も肩透かしを食う。


 別に何か悪い事に使うと思っている訳では無いが、普段のこいつの態度を考えるともっと嫌がりそうだとは思っていた。


「お前は魔石がどんなものだと思ってる?」


 同居人はそう訪ねてくる。


「魔石は魔石だろ?モンスターから稀に落ちるエネルギーの塊みたいな」


 質問の意図は分からないが俺は取りあえず答える。


「まぁ、一般的にはそういう認識になるよな、世界にエネルギー革命をもたらした魔力エネルギーの塊。特殊な発電機を使用して魔力を熱や電気に変換して活用している」


 魔石のエネルギーは膨大で安全に使えるエネルギーとして一瞬で世界中に広まった。


 こんなのは常識の範囲だと思う。


「確かに魔石はエネルギーの塊だ、だが俺はそれだけだとは思ってねぇ。だってよ、それだけなら魔石は全て同じ筈だ、だがさっきお前が言い当てたように魔石は見て判断できる違いがある。鑑定すると大天狗の魔石とかモンスターの名前が前に着く」


 おお、言われてみればそうだ。各モンスターから落ちる魔石には形の違いだったり色の違いがある。


 その全てが同じ魔石だと言われる方が違和感がある。


「だけどそれはただ内部の魔石量による違いじゃ、いや、それなら同じ位の強さのモンスターからは同じ魔石が取れるはずか。それに態々何の魔石か鑑定できる事の説明もつかない。もしかして魔石はエネルギー以外にも、例えばモンスターの特徴か何かを引き出せたりするのか?」


 もしそうだとすれば魔石の使用用途はもっと広がる可能性がある。


「良いねお前、俺もそう思って実際試した。んで結論から言えばその通りだったんだが、引き出そうとしたそれはいわば魔石を形作るもの、触れた瞬間にエネルギーが暴走しやがった。そのおかげでラボが1つお釈迦になっちまったぜ」


 もう試してたのか、そんでもってラボが1つお釈迦ね。


 いやいや待て待て、よく考えたらこいつ凄くないか?


 学生なのにラボを持ってて、3000万とか言う大金をポンと出せるってことだろ?


 しかもラボの1つって言ったよな、複数個あるのかラボ。


 あれ?てか今気がついた。俺この同居人の名前すら知ら無いわ。


「ごめん、今更かも知れないが、お前何者なんだ?」


 同居人は一瞬物凄い渋い顔をした後、何かに納得するような顔をした。


「そう言えば、それなりに一緒に住んでっけど名乗って無かったな。お前の黒い噂が多すぎて警戒してたからよ、一方的に知ってる感じだったわ、わりぃ。俺の名前は吉原 胡貴(よしわら こたか)だ」


 吉原 胡貴。


 どっかで聞いた事があるとかそんなレベルじゃない。


「魔導機工学の第一人者じゃねぇか!お前学生というか教授の立場だろ!」


 びっくりした、普通にびっくりしたわ。


 魔導ガジェットを作ったり、冒険者証の機能向上にも大きな貢献をしたっていう超一流の研究者だ。


「お前じゃねえ、胡貴だ、名前教えただろが」


 何かまたフードを深く被りながらそんな事を言っている。


 翌々見ると頬を紅くしている。


 ナンダコイツ、カワイイカヨ。


「胡貴お前、友達居ないだろ」


「居るが?!」


 胡貴の反応が面白くてついからかってしまった。

 やんややんやと言い合ってる内に話が脱線していく。


「話を戻すぞ、どうにか魔石から力を吸い出せないかと考えていたところでレベル1の魔石の存在を知ったんだよ」


 一通り言い合いをしたせいで胡貴はゼェゼェと息を切らしながら話し出す。


 いやすまん、超楽しかった。


「レベル1の魔石なら内部のエネルギー量も少ないから制御出来るかもって事か」


 面白そうな試みだ、協力するのもやぶさかではない。


「そう言うことだ。もしこれが上手く行けば俺の夢に1歩近づくかも知れない」


 胡貴はぐっと拳を握る。


「夢?」


「俺の親父はダンジョンで死んだ。知ってると思うがダンジョンで死んだ人間は骨も残んねぇんだよ。馬鹿なヤツでさ、研究一筋の癖に実地調査がしたいって言ってそのまま帰ってこなかった。骨も残んねぇってのは案外堪えるもんだぜ?中々乗り越えられねぇんだよ。だから俺は、ダンジョンで人が死なない様にしたい。折角の安全なエネルギーを安全に取れるようにしたい。魔石の力を完全に使えるようになればそんな無茶も叶うかもしれない。だからレベル1の魔石を売ってくれ、頼む」


 被っていたフードを脱ぎ、深々と頭を下げてくる。


 俺はこんな良い奴にあんな意地の悪い質問をしたのか。


「魔石、売るだけで良いのかよ」


 申し訳ない気持ちが込み上げて来て何とかしてやりたい気になる。


「あ?ああ、売ってくれるだけでありがてぇよ」


 顔を上げた胡貴が不思議そうにこちらを見ている。


「実地試験とかは必要だろ。幸運が低いから絶対では無いけど俺が居ればその場でレベル1の魔石が入手出来る。協力してやるって言ってんだよ、お前の夢にさ」


 ちょいと照れるが手を出して握手を求める。


「等々力」


「源志で良いぜ?」


「源志、その手何だ?魔石が埋まって、てっこれレベル1の魔石じゃねぇか!」


 胡貴は俺の手を引っ張るとまじまじと観察してくる。


「いや、何かこう、今感動の流れだったろ、握手してさ」


「うるせぇ、ちょっと黙ってろ。これ同化してるのか?見たことの無い形だな、なんのモンスターの魔石だ?感覚はあるのか?魔力を流せたりすんのか?逆にエネルギーを感じたりとか!」


 同居人と仲良くなったのは良いが、これから苦労しそうだよ。

 だけど最上級冒険者を目指したい俺にとっては最高過ぎるパトロンだ。


 これからは随分と余裕を持って探索ができそうだ。

 となればまずは失敗した15階層の転移陣のアクティベートからだな。


「おい聞いてんのかよ源志、協力するって言ったんだからちゃんと答えろ!」


「わーってるよ、で?何が知りたいんだ」

読んで頂きありがとうございます。

仲良くなれそうで何よりだなぁ。


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