[悲報]ワイギャル将、死にそう。
「Hey!(おい!)」
「え?」
「I kill you!(お前を殺す!)」
私──天川纏子は、流行りのピースサインで自撮りをしていたのだけれど、いかなる理由か、外国人のお兄さんをどうやら怒らせてしまったらしい。
──銃を持っていた。
あまりミリタリーに興味は無いし、どんな銃かは分からなかったけれど、真実アレが銃であるなら、取り敢えず命が危ないらしいのは分かった。
「……この国では銃の所持は禁じられてます」
「yeaaaaaah!」
抵抗虚しく銃弾は放たれた。
「え──ちょ!? なんでなんでなんで!?」
こ、言葉が通じないというのは、こんなに厄介なモノだったのか!
「こ──この平和な島国で! どうしてそんな事するんですか!?」
「Sharap! Die!(うるせぇ! 死ね!)」
私が喋る度、彼は号んで怒りを表明した。
──なんか喋らない方が賢明らしい。
「こうなったら!」
地面にある小石を軌道に据えつつ、私は全力疾走した。
「──し!」
身を屈めて小石を拾い、
「お──らァ!」
外国のお兄さん目掛けて、私は全力投球した。
「Oh!」
──当たった。
外国人のお兄さんはもがき苦しんでいる。
「よし」
手放された銃を回収して、逆にコッチから突きつけた。
「言え! どうしてこんな事をする! この国じゃ銃の所持は違法だし! 増してや殺しなんてもっての外だ!」
「……」
英語で言った──のだけれど、外国人のお兄さんは私を睨め上げて、しばらく黙りこくってしまった。
「言わないなら……!」
「!」
トリガーを引く真似をして見せる。
「ワカッタ! ワカッタヨ! イウ!」
ようやく喋った。
日本語喋れるんじゃないか。
「……ソノ、サッキヤッテタヤツ」
「……?」
自撮りの時のギャルピースの事かな?
「アレ、"ウラピース"イッテ、ココノクニ──オーストラリアジャ、「ブジョク」ノイミニアタルンデス」
私を襲った、現地に住む外国人──つまり、オーストラリア人はそう言った。
治安が良いから旅行にオススメと聞いていたけれど、中指みたいなハンドサインが、この平和な島国──オーストラリアにもある事を、事前に教えておいて欲しいと思った。