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何の変哲もない異世界冒険譚  作者: ヴェル
第一章 転生
7/17

残されたもの トリカブト

この話はクッソ重いです。

胸くそが嫌いな人、苦手な人は読まないことをお勧めします。

鬱の話などが出ますが、作者に何かを批判する意図はありません。穴があっても見て見ぬふりをしていただければ幸いです。

作中の描写は、犯罪行為、違法行為を助長するものではありません。

作中の思考などは、作者の自己解釈によるものなので、

前世の話は花の名前をつけようと考えています。

花言葉から花を選んでるのでぜひ調べてみてください。

一応、花言葉は後書きに書いておきます。

 ◆◆◆◆◆一ノ瀬優斗視点◆◆◆◆◆


 りゅうが死んだ。

 突然の事だった。

 はねられて地面にたたきつけられたりゅうは、素人目に見ても助からないことが一瞬で分かった。

 曲がっちゃいけないところが折れ曲がり、息もしていない。信じない。

 野次馬が騒ぐ

 ざわざわ、ざわざわ

 聞こえてくるのはけがにあったりゅうを心配するものでも、救急車を呼ぼうとしたりする声ではない。

 最悪だとか、ヤバいとか、そんなことばかり。

 スマホを出しても、救急車は呼ばず、写真を撮って、SNSに上げようとする。

 りゅうと僕に向けられるのは憐憫と、嘲笑と、好奇心。

 五月蠅い、煩い、うるさい!

 そんななか、快斗が僕に話しかけてくる。

「現実を受け止められないだろうが、いくつか言っておく。まず、りゅうが助けた子は無事だった。もう、保護者に預けてる。救急車と警察を呼んでおいた。救急車に同伴しておいてくれ。学校への連絡はやっておく。そして、医者の話をよく聞け、お前の根拠のない話より、信頼できる()()だ。あと、野次馬どもも任しておけ。りゅうを笑うやつを許してはおけん。」

 いつも通りの冷静な対応。

 しかし、その声と口調からは怒りの念がにじみ出ている。

 救急車と警察が到着する。

 りゅうは担架に乗せられ、運ばれていく。

 何も考えれないまま、言われた通り、同伴者としてついていく。

 後でわかった話によるとりゅうの写真は誰も撮れていなかったらしい。

 スマホが壊れていたり、データが全部消えていたり、警察が遠慮気味に聞きに来たが、分からないと素直にいうと、大人しく帰っていった。でも、彼らには僕の考えなんて丸わかりだった。

 りゅうは結局死んでいた。

 誰かを助けたとはいえその死を僕は犠牲とは呼べない。

 事後処理や学校への連絡、対応。

 そこらへんは全て快斗と月花がやってくれた。

 心の傷の深さを考え、一か月登校が免除された。

 快斗曰く「スクールカウンセラーの先生と担任の先生が協力してくれて、反対意見をはねのけてくれたから、後で感謝しておけ。」

 と言っていた。

 今、僕は冷静だ。

 客観的に物事を見れているし、冷静だから。

 僕は冷たいのかもしれない。

 一番の親友が死んだのに、涙が出ない。

 両親は僕を心配してか、僕の好きな料理を出してくれる。

 部屋にずっとこもっているのに何も言わず、ただ待ってくれる。

 まともに食べてないけど。

 今はそれがありがたい。

 …夢を見る。

 電話がかかってきた。

 快斗からだ。

「明日出かけるから準備してて」

 そんな気分じゃないからと返事をしようとすると

「じゃっ忙しいから切る」

 と言って本当に切ってしまった。

 こういう時、快斗は本当に僕を連れ出す。

 諦めて、明日の準備を始める。

 食べないと動けないと考え今日の夜ご飯として出されたモノを口に入れる。

 今日はどうやらハンバーグらしい。

 口に入れる。咀嚼。

 味はわからない。

 飲み込む。

 急な吐き気に顔をゆがませる。

 誰かの声が聞こえる。

「※※が死んだのになんで君はのうのうと生きてるの?※※は何も食べていないのに君はなんで食べているの?」

 吐き出す。

 ここは自分の部屋だ。

 パソコンがある。

 声が聞こえる。

「あいつが※※を殺したんだって。」

「あいつは※※を助けなかった。殺人犯だ!!」

 そう、僕は犯罪者だ。

 殺人をおかした凶悪な殺人犯。

 殺人犯には罰を、判決、救済、死刑、しね、しぬ、しぬ、しぬ、

 見られている世界中に、殺人を犯したところを

 顔をあげる。

 目の前にたくさんの人がいて、僕を指さしてる。僕を僕をぼく、ぼく、Boく、bOク、

 ボク、ボク、ボク、ボク、ボク、ボク、刺してる、笑ってる、貶してる、見るな見るな見るな見るな!

 僕は悪くない。これは誰かに操られて、そう!操られたから仕方ない!僕は悪くない!

 違う、違う違う!違うんだ※※!これは違う!ちがうんだ…

 落ち着k。

 本を読めばいい。そうすれば落ち着く。

 ホントニ?

 ヨメナイ。ナニガカイテアル?

 寝ル必要ガアル。

 ネレナイ。トウゼンボクハ…

「はあ、予想はしてたけどここまでひどいとは。」

 ボクボクボクボクボクボクボクボクボクボク…

「ハイ寝ましょうね~」

 ナニカノンダ。ボク、ノンダ。

 イシキガオチル。

 ヤラナケレバナラナイ。

 ワスレタ。

 ナンダッケ。

 アア、ソウダ…




 後を追わなきゃ。

 死な、なきゃ…




 ◆◆◆◆◆快斗視点◆◆◆◆◆


 正直予想外だった。

 だいぶ落ち込むとは思っていたし、うつ状態になるとは思っていた。

 でも、ここまでとは…

 パニック障害、拒食、行動からして、幻覚の類。

 他にあるかもしれない。

 とりあえず薬を飲ませた。

 即効性の睡眠薬と、とても特殊な薬。

 特殊な薬は僕が某財団の記憶処理薬に憧れて作ったもの。

 直近数時間、何を考えていたか、なにをしていたか忘れる。

 そんな魔法のような薬。

 当然、許可なく使用するのは違法だがバレなきゃOKの精神でどうにかする。

 しかも、この薬は後から記憶を思い出す可能性がある。

 薬に使われている物質に耐性があればあるほど記憶を思い出す可能性も、時間も早くなる。

 僕は、残された食事を見る。

 手を、ほとんどつけられていない。

 食べかけのハンバーグ。吐き捨てられた肉の塊。

 明日の昼食はなしだな。

 そう考えつつ、明日、持ってきそうなものを準備しておく。

 準備が終わると、リビングで心配そうにしている優斗の両親に

 だいぶ重症だから、きちんと見張って置くこと、食事の簡単な注意を伝える。

 当然、落ち着いてきたらきちんとした医者の所へ行くように注意もして話を終える。

 明日、どうするか考えながら帰路へ着く。

 途中で、自販機によりジュースを買って空を見上げる。

 午前二時、空の星は憎たらしい程に煌々ときらめいていた。

裏話

優斗は最初っから狂ってしまっています。

りゅうが死んだ時点で狂ってきているので、快斗が行ったことは、応急処置程度です。

あと、あのまま快斗が家に来ていなければ、優斗は首をつって自殺していました。

家族のことは?と疑問に思うかもしれませんが、狂った人にそんな思考が入る事はまれだと思っています。


余談

この話はもうちょっとぼかす予定だったんですが、急に優斗のモデルの友人を絶望のどん底に落としたいと思ったので、こんなに書きました。

生温いと思ったら連絡ください。もっと描写します。


トリカブトの花言葉

「騎士道」「栄光」「厭世家」「人嫌い」「復讐」「死」「あなたは私に死を与えた」


一つ、トリカブトが出てくる詩を紹介します。

「誇り高げに生いし草 その葉は青く 美しく 医学に知らるるトリカブト

この毒草の地下の根は 神の手ずから植えしもの 人を惑わすこと多く 墓場にまでも導きて 黄泉の臥床に送り込む」

出典 シベリアの旅 サハリン島/チェーホフ(ロシアの劇作家・小説家)


以上。伏線もりもりの回でした。

気に入っていただけたら、ブックマーク登録よろしくです。

(いたら怖いです。)

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