「推理」ジャンルの名称を、「ミステリー・サスペンス」ジャンルに変えられないものだろうか。
皆様今晩は! シサマという者です。
介護職であり、かつ40代の男性という立場の私は、GWだからと言ってそうそう連休は取れません。
しかしながら、飛び石の休日を利用して連載の更新(←18000文字)と2本の短編を発表し、創作活動的には充実したGWを送る事が出来ました。
そんな私が更にエッセイまで書きたくなった理由は何なのか?
それは、このGW中に投稿した短編小説のジャンル分けに苦心したという経験なのですね。
私の最新短編小説、『地球最後の人類は射殺されていた。』には、太陽系で最も生命体のいる可能性が高いと言われている、土星の衛星エンケラドスからやって来た宇宙人が登場します。
彼等は高い知能と文明を持ち、自然災害と核兵器の暴発によって滅亡への道を歩んでいた地球人と入れ替わる形で、地球に定住しようとしていました。
そんな中、エンケラドス星の調査隊員のひとりは、サモア諸島の無人島で野生の生活を営む年老いた地球最後の人類と接触し、彼等から地球人滅亡の過程を聞かされ、最後の願い事を託される事になるのです。
……この作品には宇宙人が登場しますし、その宇宙人はあくまで私の空想上の存在でした。
宇宙人はオカルトじみた地球人の「UFO信仰」を否定したり、エンケラドス星とは異なる温暖な気候や海水に反応したりする描写もある点を考慮して、最終的なジャンルは「SF(空想科学)」に決定します。
とは言うものの、文明が荒廃した世界でサバイバルする地球人の存在を考えると、パニック要素も少なからずありますよね。
しかし、既にパニック状態は過ぎ去り、滅亡を受け入れる諦観に満ちた地球人の描写に、「パニック」ジャンルとしてのテーマは見出せません。
また、宇宙人は地球人に見た目を寄せた上で、更に記憶喪失のふりをして地球人に接触しています。
シリアスな結末に至るそのやり取りは、ヒューマンドラマと表現しても何らおかしくはないのですが、空想上の存在である宇宙人を出しておきながら、「ヒューマンドラマ」ジャンルは如何なものか……。
更に、地球人滅亡への過程やラストの展開にはホラー的な不穏さがありますが、「ホラー」ジャンルとして発表するほど、恐怖やショック描写に重きを置いていません。
つまり、この作品に最適なジャンルが見つからないのです。
作者である私自身が考えるこの作品のポイントは、「謎は謎のまま、重要な部分は読者の判断と想像力に委ねられている」という点でした。
宇宙人が登場している事で、最終的に「SF」ジャンルに落ち着く事が無難ではあると思いますが、物語の核心に「謎」を残した作風に対して、私は「ミステリー」というジャンル分けをしたいのです。
この「小説家になろう」サイトでは、所謂ミステリー・サスペンスに分類されるジャンルは「推理」しかありません。
これはつまり、ライトノベルの範疇では、刑事や探偵などの推理による事件の解決という作品が求められていて、謎を放り投げる様な感覚的な作品や、殺人や暴力、脅迫などを扱いながらショックに重きを置いていない作品は、作者も読者も少ないという判断なのでしょう。
しかしながら、「推理」を中核に据える作品であれば、タイトルに「〇〇事件簿」、「〇〇探偵」などのキーワードが分かりやすく盛り込まれる事も多いですし、文芸的に想像力を刺激するタイトルの作品は、作者の立場からも単純な「推理もの」扱いは好まないと思うんですよね。
「ミステリー・サスペンス」ジャンルが確立されれば、各ジャンルに居場所のない作品の受け皿が増えますし、明確なテンプレの定義がバラける事によって、ランキングや書籍化を重視していない作者の実験的な作品も増えると思います。
少なくとも、私は「ミステリー・サスペンス」というジャンル分けが出来る事を望んでいますが、皆様はどうお考えでしょうか?