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ゲームをしてたらいつの間にか隣で美少女がむくれてた。

作者: 湊カケル

導入っぽくなってしまった……

「……っ!! あ~早すぎる~」


 時計を見ればまだ朝の7時50分。

 あまりに早く学校に着きすぎてしまった。

 1時間目の授業が始まるのが8時半だからまだ始業までには大分時間がある。


 「はぁ……あいつの悪戯にも困ったもんだ」


 昨日の夜、いやもう今日の朝だな、今日の朝3時まで一緒にゲームやってたのになんでそのうえで俺の目覚ましを30分早めとくんだよ。

 こっちはギリギリまで寝たいっていうのに!!お肌の健康に悪いじゃねぇか、まぁきにしたことないけど!

 なんであいつもあいつであんなに肌すべすべしてるんだよ俺と同じ生活で!!

 てか!!

 

 「自分は大学生で昼から授業だから二度寝とか、俺を起こしておきながらありえんだろっ!!!」


 ほとんど人がいない校舎に俺の声が空虚に響く。

 なんかめちゃ恥ずかしい。


 はぁ、なんだ大学生、夢があってうらやましいことだなぁ、おい!

 …………ふぅ、落ち着くんだ……こ、これはちゃんと復讐して差し上げねばならぬな。

 因果応報と言う言葉を教えてやる!!


 「まずは鬼電だ」


 件の人物は3回目の電話でようやく出た。


 『……何、どしたの? こんな朝早くに』


 かなり不機嫌そうな声が聞こえる。

 電話の向こうであくびでもかみ殺すしているのだろう。

 だが俺の用事は鬼電するだけじゃない。

 最高の嫌がらせをするためだ。


 「……や、やややばいぞっ【あやねぇ】?! あの伝説のロり天使と呼ばれるザーさんボイス、今日の朝限定で確立6.00%に上がってるらしいよ!」

 

 「…………」


 一瞬の沈黙。


 『…………えっ!? ほ、ほんと!? いい、い今すぐインするから切!』


 焦りすぎてあやねぇは言い切る前に電話を切った。

 よしそれじゃ俺もゆっくりとログインするとするか。


 「あはははッ………あっ、すみません」


 通話アプリを消してFPSゲームのアプリを開く。

 アプリ名は[ One hundred Players Alexander Gate mobile]

 略してOPAG(オッパジ)

 全世界5億人がプレイしているといわれるメガヒットタイトルで基本は100人が同じ戦場に降ろされて最後の一人になるまで銃を使って戦うバトロワもの。

 ゲーム内で使える服や銃のスキン、仲間に指示を出すボイスなどゲーム外の要素でも楽しめるようになっている。

 ちなみにこのボイスとは、豪華な声優さんの声が実装されていてそれ目当てに沼にはまってしまう例もあるとか、ちなみにこれあやねえの実体験。

 さっき俺があやねぇに教えたザーさんボイスというのはなかなかに確率が渋く、通常時は確率0.01%しかなく、だが実用性は高いと評判でボイスが欲しい人にとてっは眉唾物。

 そしてこの朝に確率が上がってるとなればそれはログインせねばならぬ、ちなみにもちろん嘘。現状は渋いまま。


 「さてと……よしっ!! やっぱあやねぇはログインしてるな」


 ちゃんと二度寝しないで宣言通り入ったらしい。


 俺の策略通り。

 口元がまたも三日月形になってしまう。


 おっと、行けない行けない、ここはあくまでも学校、自重せねば。


 俺はそそくさと図書室へと向かいながらノイズキャンセリング付きのイヤホンをセッティング。

 図書室が無人なのを確認したのと同時にOPAGであやねぇからチームに招待される。

 相手はもちろんあやねぇ。


 あ、あやねぇとは俺の真向かいに住んでいる3つ年上の幼馴染であり俺の古くからのゲーム仲間でもあり、そしてパートナー。


 「さてと戦争(嫌がらせ)をおっぱじめるとするか」


 『…………ねぇたくみぃ、あなた~、私に何か言うことがあるんじゃなーい?』


 優しく聞く人が聞けば妖艶にも聞こえる声で、だがゲームの奥ではあやねぇが顔に青筋を立てているのが容易に想像できる。

 あははははっ!!!

 

 「おー、ドシタ?」


 なのであえてとぼけて聞いてみる。


 「ザーさん……」

 「………………ああ、ザーさんのこと?ああ、あれ嘘」

 

 よりむかつくように殊更明るく言ってみた。

 普段はこんな単純な嘘に引っかかるようなあやねぇではないがあの人は寝起きが悪い、めっちゃが3つぐらい軽くつくほどには。

 

 『…………ねぇ、た、く、み?』

 「どした?」

 『あんたのせいで3万入れちゃったんだけど?』


 寝起きで3万入れるとか大学生は夢がありますな。


 「はは、そりゃご苦労さん。 でもどうせ課金するよね? 動画にもなるし」

 「……それはそうだけど……でも騙した罪は重い、殺す」

 「え、聞こえないなぁ? てかあやねぇ無課金主義者じゃなかった?」

 『そうよ、無課金、無理のない課金、だから無課金主義?』

 「うわ、さすが廃課金者」

 『違うけど?』

 「あ、そっか。 あやねぇ残念系美人だから他に使うところが」

 『黙れ。 あんた、帰ったら覚えて――夜は寝られないと思いなさい?』

 「やべ、戦いに出ちゃった」

 『…………で?』

 

 別に普通のマッチならよかったんだが……


 「サーバーアジアのまんまだわ」

 『…………は? 1週間でDUOスク征服者チャレンジしてるんだけどわかってる?』

 「ははっ、もちろん覚えてる、昨日初動死しまくってて今は初動死なんてしてる余裕はないんだよな? ちなみしかもまだ条件があるんだけど」

 『……なに?』

 「後20分で俺SHR始まる」


 結構のんびりとしてたからなぁ。


 『遅刻しろ』

 「はは無理、せめてもの救いはこれが森林マップなことか」


 森林マップは1マップ大体平均で25分くらいのことが多い。


 「激戦区に降りてリユニオン方式でやれば行ける」

 『それもうほぼソロスクなんですけど?』


 ちなみにソロスクとは1vs4のことでDUOスクは2vs4で戦うことでどちらも難易度はかなり高い。

 そしてリユニオン方式とは最初は別々に違う場所へ行って敵をキルしまくり、終盤になって再合流するというテキトーに考えた名前。

 どちらもまぁ自分でいうのもなんだがある程度実力がないとできなかったりする。

 そして今の俺らのレート帯はエース。上から二番目。 征服者には更に上位1000位に入らねばならない。


 「……おー、始まったな、航路はっと……うん、これなら二人とも激戦区に行けるね」

 「…………あんたこれで初動死したら恨むからね?」

 「それは負けるやつが悪い」

 「後、私の睡眠時間誤報によってをたたき起こしたことも!!」

 「俺も朝の貴重な睡眠時間を30分も奪われたっ!」

 「何よ、たかが30分くらい」


 は? たかが30分…………だと?


 「ふざけるなよっ! 朝の30分で一体何が出来ると思うっ!?」

 「あんたがすることだからそりゃ、朝のあれを鎮めるくらいかな?」

 「そんなの10分ありゃ……って、あっ」

 「…………そーろー」

 「……ふんっ、若いからしょうがないんだよっ!」


 それに調整すればいつもは15分くらい……

 なんて考えてたら


 「……朝から何を言ってるんですかっ! ここは図書室です、静かに!」

 「……すいません」


 誰かに怒られてしまった。


 「ぷーくくくっ、怒られてやんの、あははははは」

 「……うるせぇ、ほら始まったぞ?」


 声を絞って話す。

 しかしあやねぇの煽りは終わらない。


 「聞こえないからもっとおっきな声でしゃべってもらっていいかなぁ?」

 

 絶対図書室いること分かって言ってるだろ!!

 しかも甘ったるい声で話してくるからそれが余計に腹立たしい。

 このストレスをすべて目の前の敵に叩き込む。


 廃墟ホテルの屋上にパラシュートで着地、浮遊しているときに発見していたAKMでまだパラシュート中の敵目掛けて引き金を引く。

 すぐに気絶の表示がされる。

 しかしまだいけるっ!!


 「浮遊中にもう一人頂き…………っと」


 これで敵のパーティーは残り二人。

 気絶した敵を起こされる前に終わらせる。


 「こっちは4パ―ティ、そっちは?」

 『3パ、予想より少ない』


 あやねぇは廃墟リゾートへと降りている。

 そして二人で合計7パーティーか、上々だな。


 あやねぇと話しながらもすぐに気絶した敵が降りた方向に向かって駆け出す。

 

 初動でまけないために必要なのは敵の物資がそろう前に詰めて殺すこと。

 しかも敵は蘇生もしなければいけないため、更に時間がかかる。


 敵との距離がそこまでなかったこともあって、蘇生中の敵に頭に銃弾を叩き込む。

 これで、残り一人。


 後は聞こえないな、……物資でもあさってるのか?

 近くから足音は聞こえない。


 っと思ったら、聞こえてくる銃声。

 次いで3人分のキルが俺に入ってくる。


 「うわっ、やろうと思っていた敵取られたっ!」

 『こっちはワンパ―ティ終わりっと』


 あやねぇの言葉通りキルログにはあやねぇの名前。


 「……俺からキルを取りやがってっ!絶対殺すぅ!」


 銃声がしたほうへすかさずプッシュ。

 音的にはかなり近い。

 目視で見えた敵は二人、そして球の残弾数は15.

 なら……。


 「ほいよっと」


 爆発する3秒前でグレネードを放り投げて、家屋の中で爆発させる。

 現れる俺のキルログ。

 二人まとめて倒すことに成功したらしい。


 「わざわざ身を晒す必要はないよなぁ……」

 『そうよねぇ』


 同意の言葉が聞こえた直後、3人を一気に爆散させたあやねぇのキルログが。


 「やるやん」

 『でしょ? マジ私神……ってちょまっ……』

 「ん?キムタク?」

 『ちがっ、あっ、展開は……ずる……くぅぅぅっ』


 あやねぇはギリギリの声を出しながらも敵をダウンさせていく。

 さっき倒した敵からは物資をあさり終わったので、ちょっとは廃墟ホテル奥の倉庫でやりあってるところへと介入。

 M4の6倍フルオートでダウン中の敵を2枚抜きする。


 「キルパクうまうま」

 

 ただ銃声を出したから敵にも場所は把握されてしまい、残りの敵には射線が通せなくなってしまう。


 「まぁそう来るよなぁ」


 ちらっと左上のあやねぇのHPバーをみれば赤色に染まってる、つまり体力は20%以下。

 

 「あれれぇあやねぇやばいねぇやばい?」

 「うざ、うざうざ!! 回復ないし、あとベストも剥げてヘルメットも真っ赤」


 あ~、それは端的に言って


 「おつwwwwwww」

 「 は? 早くこっち来て、これでレート下がったら明日から徹夜でレート上げ手伝ってもらうから」

 「…………は?」


 無理無理、今日も三時までやったのにどれはむりぃぃぃ。

 あやねぇからの要請がきたのでとりあえずこちらをさっさと終わらせて向かう。


 「ちょッ、お前ら邪魔ぁぁぁぁ」


 普段なら相手の状況を見たりしながら確実に倒していくが今は時間がない。

 なんとか間に合わせなければ……!!

 夜の俺が死ぬ……文字通り、エロい意味などなしでまじで!!

 M4を腰打ちで乱射。

 一人ノック、後ぱっと見目視出来るのは二人。

 

 銃を持ち替え、ショットガンへ。

 世界大会で活躍した公認チート【DBS】

 

 「オラオラオラァ」

 

 敵の弾も被弾するがこっちは当たれば一発で敵をノックするDBS、しかも14発も打てるという破格の性能。

 この武器ソロスクだとマジで強す……。


 「DBSえぐいわね、やっぱ。 最近持つ敵増えたのも納得ねぇ」


 死にそうとか言いながらキルログ見る余裕はあるんだな。


 「とりま2パ終わり、この敵さっきめちゃくちゃキルログ流してたからこれで終わりやな、ふぅ」


 闇雲に突っ込んだはいいが危なかった。 体力残り1割ちょいだし。

 さて回復回復っと。

 

 パン、パン。


 聞こえてくる単発撃ち。

 これはNPCがやる撃ち方。

 普段なら問題ないが、今は体力がない。

 故に一発でも喰らうと即気絶。


 「っ?! ふんっ?!」


 超速的なスピードで伏せ、そのまま打ち込む。

 ギリギリでなんとか倒す。

 そのまま慌てて屋内へ入り急いで回復。


 「アブねぇぇぇ……」

 「NPCに殺されてたらよかったのに、動画のネタになるし~」

 「やめぃ、俺ら最強でやってるのにそんなん草も生えんわ」

 「……最強のNPCって呼ばれそうね」


 ……こんな会話をしながらも画面上のキャラは車両を駆使してなんとかあやねぇの元を目指す。


 流れてくるあやねぇのキルログ。


 俺が着いた時にはちょうど終わってしまった。


 「結局自分で何とかするんかい!?」


 俺いらなかったのでは??

 そんな余計なことを考えている間に車は敵のパーティーに突っ込む。

 突っ込む?!


 「やべ、眠くて脳死してた!! やばいやばい蜂の巣にぃぃ!!」


 一人はロードキルしたが残りの二人からは滅多打ち。

 だがあまりうまくはない。

 これなら……


 「やってやる!! ケーマインド撃ち!!」


ケーマインド撃ち……海外のプロが大会中にやった技法で移動中の車の座席を乗り換え車が動いた状態の中で相手を倒す。

エイムはぶれるしすぐに座席に戻らないと止まってしまい滅多打ちにされるとのことで難易度が非常に高い技。 


 「うぉぉぉッ!!」


 何とか一人目をノック。

 最後の一に数発あてたところで。


 

 

 カチッ。



 「あ、やばいぃぃ「静かに!!」はい!!」


 画面を見たら俺のキャラが気絶している。

 

 ん?味方を起こさないで確殺を入れようとしている?

 はっ?!あいつ確殺マンか!!


 「あー、オワタぁ」


 でもまぁ結構キルしたしマイナスにはならないだろう。

 後はあやねぇに任せて俺は朝のHRにでも。


 パァンっ!!!!


 鳴り響くSRの銃声。

 ヘッドショットのキルログが流れる。

 次いで焚かれるスモーク。

 誰かが俺を起こしてくれている。

 まぁ味方は一人しかいないんだが……


 「ふぅ危ないトコロだったわね?」


 天使のような甘い声が聞こえる。

 だが今の俺には悪魔のようにしか聞こえなかった。


 「なんでだよっ!!」

 「たくみぃぃ、起こしてあげたのにそれはひどくなーい?」

 「SHRがやばいんだよぉォ」

 「じゃあ早く敵を倒さないとねーー」

 「あ、あやねぇも大学は?」

 「昼から―!」


 クッソ、さっきの恨みを晴らしてきてやがるな?

 絶対無駄に美人な顔をにんまりとした表情にしているに違いない。

 

 「あの……」


 時計を見ればHR開始7分前。

 後3分で終わらせれば行けるっ!!

 

 車両を走らせ銃声がした場所に突貫。

 DBSでミンチにしていく。


 「うわぁ、レート上げとは思えない動き~」

 「とか言いながら自分もちゃっかりショットガン持ってるやん」

 「SRもってもこのムーブで意味ないでしょ?」


 まぁ確かに。

 

 この突貫ムーブで残りは5人まで減らした。

 が、余りにキルログを流しすぎたせいか銃声がぴたりとやむ。


 「……始まった~、伏せ芋合戦」


 伏せ芋。

 この森林マップは草木があちらこちらに生い茂るマップ。

 故に伏せて隠れているのがなかなかに強い。

 バッグも捨ててしまえばほとんど見分けがつかない。


 こうなったらやることは一つ。


 「しらみつぶしだぁぁぁぁ!!」

 「……あのちょっと、すみません」

 「どこだ敵はぁぁぁ!!」


 時間が、時間がない!!

 俺とあやねぇ二人して別々の車両を乗り回す。

 俺はバギーであやねぇはトラック。

 左右から範囲を徐々に狭めていく。


 「あ、みーっけ、動くな動くなよ~? ……よっしゃ一人確殺!!」


 残り4人。

 

 「こっちも二人発見」


 車両キルのログ。

 ついでM4のキルログ。

 これで残りは一人。


 さぁどこだどこだ。

 ……

 …………

 ………………。


 「いなぁぁぁいィィ!!!!」」


 そして車両のガソリンもちょうど切れた。

 こっからは徒歩で探すしかない。


 「いないないいない時間やばいやばい」

 「いないねぇ?」

 「楽しんでるなあやねぇ!!!ちゃんと探せ!!!」

 「そりゃゲームは楽しまなきゃ!」

 「……正論がむかつく!!」

 「あはははっ!!」

 

 笑うあやねぇの煽りを無視していると岩陰で伏せている敵を見付けた。


 (最後は動画映え意識するかぁ)


 銃をしまい、腰に付けてあったフライパンを投擲する姿勢に入る。

 そして別方向を見ている敵目掛けて

 

 「ほりゃ!!」


 奇妙な掛け声と共に投げる。

 フライパンは揺るやかな放物線を描き敵の目前で止まる。


 「あ」


フライパンを投げられたことで相手は俺が気付いたことを悟り、射撃体勢に。

そのままフルオート。

大してこちらは無防備。


結果、蜂の巣。


 「ギャァァァァァっあやねぇ!」

 「ハイハイ分かってるって、とりゃ!!」


 俺が蜂の巣にされてる隙を狙ってフライパンをあやねぇも投擲。

 はずれ。


 俺あえなくダウン。


 「確殺はいっちゃうぅぅぅ」


 パン!


 俺の悲鳴と共に響くAWMの銃撃音。

 ついでドン勝のフォント。


 「アッブネェェェ」

 「美味しいとこ御馳走様♡」

 「二人してフライパン外したけどな」

 「私のとこだけカットしようかな」

 「なんでだよ!!」

 「レートも無事上がったし、万歳万歳。 たくみ何キルした?」

 

 えーっと……


 「17?」

 「私19、合わせて38? まぁまぁね」

 「だな」


 あー疲れたぁぁぁ!!

 思いっきり伸びをする。


 「爽快感ぱねぇぇ」

 「そうね、これで気持ちよく寝れそう、3万のことを忘れて」

 「……ぐっ?!」

 「それはそうとたくみ」

 「どした?」

 「あんた時間は?」


 時間?

 時間……?


 「あ!!!」


 時計を見れば8時24分。


 「やべぇぇ!!あやねぇ、じゃまた夜に!!」

 「あいあーい、おつおつ~」


 そんな間抜けな返事と共にあやねぇは落ちる。


 「絶対二度寝したなありゃぁ、そのまま寝坊しちまえ!!てか俺が遅刻する!!」


 そこで俺はようやく気付く。


 「……あれ? 天使さん? 」


 俺の隣でぷくーっと頬を膨らませた天使さんがいることに。


 天使玲(あまつか れい)俺と同じクラスの美少女。 席替えで隣の席になり最低限話す子。ちなみに学年一可愛いと言われ、あだ名は天使ちゃん。

 まぁそのスタイルと大人っぽさは天使と言うよりは女神だけどそこらへんはまぁどうでもいい。正直相手にすらされないだろうからな。


 「……ど、どうしたの?」

 「どうしたの、ってさっきから声かけてたんだよ~、私朝の図書委員だもん」

 「……あ、ごめん!!すぐ出てくから」


 まずいまずいまずい、天使さんを怒らせてしまう。

 そんなことになったら俺は学年から袋叩き。

 徹底的にやられてしまう。

 俺みたいなスクールカースト下位の者なんて亡き者にされる!!。


 「そ、そ、そうだったんですね。な、なな何でもしますのでどうぞお許しをぉぉ!!」


 土下座するような勢いで謝り倒す!!


 「そ、そんな勢いで謝らなくても大丈夫だよ」

 「そ、そう……ですか?」

 「というかなんで敬語?いつもは敬語じゃなくいでしょ?」


 そうだったかな?

 というかこの距離感の縮め方。

 こっからお金ちょうだいよ、とか言われるパターンでは!?


「…………それじゃあひとつお願いしてもいいかな?」


 ほら来た!!

 さ、さてどうする?

 行くか断るのか?

 ある意味美少女にスパチャするようなものだと思えばいやいや、しかしそれはどうよ?


 俺の結論は出ないままの天使さんは続きを口にしてしまう。


「…………あなたとヤラしてくれない?」


 ………………ふぇ?

 え?


「は?」


硬直する俺。

なんて反応したらいいか分からない。


や、ヤラしてくれない?

ってどゆこと!?


てかそれ言うなら男女逆では!?(困惑)


俺が反応しないことにこくりと首を傾げ次いで、次第に自分の言った意味に気づいたのかアワアワと顔を赤くする天使さん。


「…………ち、違うから。そ、その、男女の交わりとかそ、そ、そういう意味じゃなくて、そういう経験ないし、じゃ、じゃなくて!!!、げ、ゲゲゲげーむ!!」


「ゲーム?」


OPGGのこと?

てか天使さん無垢な顔して、経験ないんだ、…………へ、へぇ。


「そ、そう!さっきから注意してて反応しないからどんなのかなって気になって見てたの! そしたらお、おお面白そうだったから教えてくれないかなって思ったの!!」


「あ、あぁああなるほどね?! そ、そそそうと思ったようんうん」

「で、でどどどうかな?」


うるんだような瞳。

まぁ放課後は時間あるっちゃあるし、一緒に少しやるくらいなら問題ないか。


「……ま、まぁい、いいよ、そんな教えるのはうまくないけど」

「ほんと?! ありがとう!!」


手を握りブンブン振ってくる天使さん。

めちゃくちゃ無邪気な感じがする。


「じゃ放課後よろしくね!! あ、連絡先交換しよっか?」


おぉ、流れるような連絡先交換。

これが陽キャか……。

眩しいっ!!!


俺の友達が4人になったよ(泣)

他の友達は親二人とあやねぇ。

ただ純粋なフレンド枠でいえば親二人かもしれない。

あやねぇはまたなんていうか特別だし……


「あ、それともう一つ」


唇に一本指を立てる。

見る人が見れば惚れてしまいそうになる仕草。


「……な、なに?」

「じ・か・ん。」

「……時間?」


じかん、時間、時間んんんんんんんんんんん!!!


時計を見れば8時32分。

うんヤバイ!!


間違いなく遅刻だ。


「さ、さき行くからっ!!」


「う、うん!また後で!!」


この日から俺とあやねぇと天使さん、三人の物語が動き始めた。



いつもお読みいただきありがとうございます。


評価、ブクマ等頂きありがとうございます。


感想等も頂けたらありがたいです。


よろしければお願いします!


短編は短編でムズイ。

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