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プロローグ

この作品は処女作です。

暖かい目で見守ってくれれば、幸いです。




とある住宅街の道端、俺こと《与那嶺 悠人/よなみね ゆうと》は友人二人と下らない雑談をしながら帰り道へと向かっていた。


「あの校長、絶対カツラだよな?」

「ああ。絶対カツラだ。校長の奴、バレてないとでも思ってのんか」

「さぁ?」


俺達三人は先程の学校の入学式で見た、校長の頭皮ついて話していた。

あまりにも印象的であったので、入学式が終わった一時間後でも話の種にしている。


そんな話題の中、何かを思い出したようにメガネを掛けた友人、《山田 浩介/ やまだ こうすけ》にいきなり尋ねられる。


「悠人。そういえば、妹ちゃん、今日誕生日だよな?」

「…あっ、そういえば今日アイツの誕生日だったわ」

「オイオイ、お前の兄妹だろ?忘れるか?普通」


俺は浩介の質問で今日が妹の誕生日だと思い出した。

その事に隣に居たニット帽を被ったもう一人の友人、《岡村 乾/ おかむら けん》に飽きられてしまった。

二人はどうやら妹の誕生日を覚えていたらしく、プレゼントまで用意していた。


「やっべー、完全に忘れてた。妹の奴、絶対嫌味とか言ってくるんだろうなー」

「君の自答自得だろ」

「だな」


くっそたれ、こいつら誰の味方だよ。これじゃあ、家に帰ったら妹に何されるか分かったもんじゃないぞ。

……はぁ、一応、言い訳でも考えとこ。


「というか、妹のプレゼントを買う余裕が有るなら、俺の誕生日に何かのプレゼント贈れよ。昨年、なんも貰えなかったんだぞ」

「君は毎回、奢られているではないか?一ヶ月前のラーメン代も誰が払ったと思う?ん?」

「オレもたこ焼き代まだ貰ってないぞ」

「……サーセン」


結局、言いくるめられ、何も反論できず、謝ってしまった。

このままでは不味いと思い、俺は話題を変える。


「にしても、もう一ヶ月か…………」

「なにがだよ?」

「ほら、アレ、空にある《謎の穴》」

「ああ、アレね……」


俺、浩介、乾の三人は揃って、上へと見上げた。そこには―――――――空を制する、巨大な穴が有った。

その穴はオーロラ様な物を常に発しており、そしてあらゆる方向にガラスのひびの様なものが走っている。


その謎の穴は突然、一ヶ月前、何の前触れも無く世界各地の空に現れた。

数は確認されているだけで、実に五十以上。大きさも様々で半径百キロあるものから、一キロまでのサイズも有る。

それと同時に空気中に謎の元素が発見され、人々は混乱を極めた。


次々と起こる超常現象に世界中はパニックに陥り。

その結果、世界経済や治安が悪化する事態が起こった。

今では何とか落ち着いているが、一ヶ月前は世界全体がかなり酷かった。


「出てきた時は皆、大混乱だったな」

「あん時はマジで世界が終わる……!と、俺も思ったからなぁ」

「今でもネットとかじゃあ、政府の陰謀とか、宇宙人の襲来か、世界の終焉とか、いろいろな説が飛び回ってしな」

「まぁ、結局この一ヶ月何も起こらなかったが」



そして気がつけば俺ら三人は交差点まで着いていた。


「これ、妹ちゃんに渡しといて。んじゃ、また明日」

「コレもな。お前の妹に誕生日おめでとうって言っておいてくれ」

「おう、また明日な」


友人達に別れを告げながら、ラッピングペーパーに包まれた妹のプレゼントを渡され、そして別々の方向へと帰っていった。

遠くなる友人たちの背中を見て、さて、俺も家に帰ろう思った時、偶然ソレが視界に入る。


「ん?」


ソレは交差点の近くにある空地の茂みに落ちていた。

俺は好奇心で空地に入り、ソレが何なのか、確認しようと近づいた。


「なんだこれ」


目に入ったのは古代ヨーロッパ風の古本だった。

その古本はただの古本ではない。タイトルは書かれておらず、それは高級なそうな茶色の革と銀のラインが刻まれており、そして手に取り、裏側を見ると金文字で小さく字が書かれていた。

ただ、その文字の意味は解らない。というか、全くもって見た事の無い文字だった。


俺はもしかして、貴重な本ではと期待し、中身を確認する。

中身は何も書かれておらず、全ページ白紙である。全て白紙である事に気付いた俺は露骨に落胆する。

何故なら、この本の価値があまり無い可能性が上がったからだ。


「はぁー、何だよ。期待させておいて。てっきり、価値がある奴かと思ったじゃねかー」


………まぁ、そんな貴重な物、こんな場所に落ちてるわけないか。あっ、いいこと思い付いた。コレ、妹の誕生日プレゼントにしよう。

おしゃれな日記帳とでも言っとけば大丈夫だろ。これで、妹にどやされなくて済むぞー。

俺はそんな事を思いながら、本を持っていた鞄の中に入れ、今度こそ帰路に着く。


「にしても、何であんな茂みの中にあったんだ?」


俺はそんな純粋な疑問を抱いたが家に着く頃にはその疑問は消えていた。

何故なら、考えるだけ無駄だと思って諦めたからだ。














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