表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

竜繭(りゅうまゆ)

     * * *



 タツキは、シムの用意した食事を食べていた。

 スープにパンに果物。

「機械も、竜人と同じようなもの食べるんだな」


「だって、高性能だもん」

 なぜかシムは得意げだ。


「タツキって果物好きなの?」

 シムは真っ先にタツキが果物を食べたのに気づいていた。

「うん、まあ……」


「じゃあ、僕のも上げるよ。まだ手つけてないから。本当は僕、機械だから何も食べなくてもいいんだ」

「へ、へえ?」

「なんとなく誰かと一緒に食事したくなって」

 と、シムははにかむ。


「そっかー」

 タツキはシムを見た。

「ずっと一人でここにいたの?」


「一人じゃないよ。ファッティと一緒だよ」

 すると、ファッティがそばに寄ってきた。

 ファッティは、タツキの皿にスープのおかわりをよそってくれた。


「いや。でも、これ、ファニィだよな?」

 天空岩にも似たようなロボットがいる。タツキも何体か見たことある。


「え? ファッティだよ」

 とシム。

「いやいや、ファニィなの」

 とタツキ。

「ファッティ」

「ファニィ」

「ファッティ」

「ファニィ」


 すると二人は同時に笑い出した。





     * * *


 夜――


 遠くで爆発のような音がした。


「また火山だ。よくあることだし、気にしないで」

 シムが笑顔で伝えても、タツキは怖かった。


 気のせいか地面が揺れてるような気がする。

 地震なのだが、タツキにはその現象がわかってなかった。


 恐怖心から、シムに抱き着くようにくっつく。


「僕、もう寝るから」

 と、シムがタツキを引きはがそうとすると、タツキは恐々離れた。


「機械なら眠らなくても平気なんじゃないの?」

 タツキのその言葉を聞いて、シムは申し訳なくなった。


「だよね。眠らなくてもいいタイプのアンドロイドもいるのに……」

 シムの申し訳なさそうな顔を見て、タツキも申し訳ない気持ちになった。

「竜人だって眠るでしょ? この居住区にいれば安全だから」


「今日はもう寝よう。暗いのが怖いなら電気つけたままにしよう」

 タツキは頷いた。


 シムはベッドに入った。

 前に椅子に座ったまま寝てた記憶があるが、正しくはベッドで寝るようだ。

「一緒に寝て、いい?」

「いいよ」

 その言葉を聞いて、タツキは毛布を上げ、シムの体を抱きしめる。


「えっ!? 何?」

「竜人はこうやって寝るんだよ」

 タツキの体はふわりと宙に浮く。


 シムはタツキの体にしがみつく格好になる。

 タツキの片方しかない翼が体を守るように丸くなり、バリアのような丸いものが放出される。

竜繭りゅうまゆってんだ」


 竜繭――人間でいうところの布団のようなものだろうか。

 翼のある竜人は眠る時、体から竜繭を発し眠る。



 驚いたように目を見張っていたシムだったが、やがて眠ってしまった。

 安心したような寝顔に、タツキはどこかほっとした。

 シムの寝顔を見ながら、タツキも眠ってしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ