エンターティメント
* * *
お金を受け取ったシムは、扉の前に立つと一旦閉めた。
そして、襟元からペンダントを出した。
ペンダントにはきらきら光る鍵の形のモチーフのアクセサリーがくっついていた。
シムの茶色の瞳は赤に変わる。
シムは、扉の前でペンダントをかざす。
「大地の精霊よー!」
シムが突如大きな声を出すから、タツキはビビった。
「異世界への扉を開けー」
鍵が光る。
シムの片手は扉に添えられている。
そして、ゲートの扉が開かれる。
ユーテムは、おおっと感動の声を上げた。
扉の向こうには木々が見えている。この扉を抜ければ森はすぐそこのようだ。
「すごい! 感動した!」
ユーテムは両手でシムの手を握り、肩をばんばん叩いた。
「竜人は見れたし、ゲートを開くのが見れた! 今日はすごい日だ」
感動冷めやらぬ様子のユーテムは扉の向こうへ消えた。
ユーテムが行ってしまうのを見届けた二人。
「……え?」
タツキは引いていた。
「何したの?」
「……観光客にウケるかなーと思って。色んな人が来てほしいから」
シムは、してやったりといった顔だ。
「その鍵でゲートが開くの?」
シムは首を横に振る。
「本当は僕の魔力と腕力で開けた」
「えぇっ!」
なんだか詐欺っぽい。
「このペンダントは飾り。魔力に反応して光るように作った」
シムは鍵のモチーフのペンダントを服の中にしまった。
「せっかくはるばる来たんだし、エンターティメント的な要素も見たいじゃない?」
「へー、え? え!」
タツキは首を傾げていた。
なんだか、本職の詐欺師っぽい理屈だと思った。
「ルウ族のお金なんか受け取ってどうすんの?」
タツキはまっとうな質問をした。
「いつか、両替できるかもしれないし……、ただって訳にも行かないから」
そんなもんかなー、タツキは首をひねった。
「ただ、ゲートを開けるのってそれなりに大変で……」
シムの体がぐらついた。
「魔力と体力の消費が、一番エネルギー消費するんだ」
タツキはシムに肩を貸す。
「大丈夫、歩けるよ」




