表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オルドリクスの魔神器  作者: 上総海椰
28/33

7-2 八相層壁

岩場の陰から二人の人影がその戦いを見守っていた。

ヴァキュラとエドランデだ。

エドランデは体にいくつも攻撃を受けた跡がある。

それでも致命傷に至らなかったのは『魔功』による肉体強化とその類まれな感知能力によるところが大きい。

次元を割いての攻撃の際、その二つの能力によりエドランデは命からがら近くにいたヴァキュラを連れてその場から離脱したのだ。

「ヴァキュラ殿、ジーリア殿は…」

「ジーリアはだめじゃろうな。あれだけの魔力を放出した後じゃ、最悪死んでおるやもしれん」

そう言うヴァキュラも体の一部が消えている。

カリアのような防御主体の魔力ではないために防御に関しての脆さを露呈することになった。

「…私も」

エドランデは身を乗り出し、戦いに赴こうとする。

「はやるな。奴にはこのわしのとっておきをくれてやる。…ただ仕込みに少々時間がかかるのでの」

ヴァキュラの手には黒い塊が浮いている。

それは黒い質量体。ヴァキュラの奥義だという。

「…」

エドランデは目をラムードの方角へ向けた。

巨大な光がぶつかり合っている。

距離が離れていてもわかる。魔術王の神槍と『オルドリクス』力の綱引き。

魔術王の脇にいるのは魔剣を手にした一人の人間。

その手にした魔剣ソリュードが蔦を作り上げ『オルドリクス』の動きを封じているのだ。

そこには自分たちよりもはるかに弱い、ひ弱で脆弱な肉体を持つ人間が勇敢にも戦っていた。

『オルドリクス』の怖ろしいのは魔力を吸収するという点だ。

並みの密度の魔力の塊では即座に吸収されてしまうだろう。

その点ヴァロのもつ魔剣と言うのは吸収されないという

仲間が戦っているのを目の前に、カタキを目の前に、それを見守ることしかできない。

噛みしめる唇からは血が流れている。

それは戦士であるエドランデにとってそれは死より重い屈辱だった。

エドランデはヴァキュラの下でその時が来るのをただ待っていた。



ヴィズルと『オルドリクス』の力の均衡は崩れ始める。

『オルドリクス』が競り勝ち始めたのだ。

最大級の一撃を放ったために『神槍』の出力は明らかに衰え、

対して大気にわずかに漂う魔力を『オルドリクス』は吸収し、力に変えていっている。

ヴィズルの状況は明らかに分が悪いと言わざる得ない。

回復に回している余力がないのだろう。全身血まみれで満身創痍である。

だがヴィズルの覇気はいささかも衰えていない

立っていられるのは国主としての義務か、執念か。

「おい、ラウ。これ以上蔦をふやせないのか?」

ヴァロは魔剣の管理者に声をかける。

この均衡を崩すには力がいる。

『無茶言うな、こっちは現状を維持するだけで精一杯だっての』

ヴァロの声に魔剣の管理者が悲鳴を上げる。そもそも魔剣の力は無限ではない。

『オルドリクス』の足元に絡みついているものを維持するだけでも相当な力を消費するのだ。

再び構成するとなればそれよりも莫大な力がかかるだろう。

『オルドリクス』は標的をラムードに光を向ける。ラムードに矛先を向ける。

「!!!!!」

ヴィズルは声にならない声を上げる。

いきなりの出来事にヴィズルは一瞬攻撃を遅らせる。

『オルドリクス』の一撃は真っ直ぐにラムードに向かっていった。

もしその攻撃が通れば、地上はおろか地下までも甚大な損傷を受けることにつながりかねない。


ラムードの門の前に立つのは一人の魔法使い。

フィアである。

背後には巨大な魔法式が展開されている。

その魔法式が光を放つ、するとフィアの前に巨大な魔法壁が現れた。

それはラムードの城壁ごと包み込み、『オルドリクス』の光線を四散させる。

「フィア殿か…」

ヴィズルは胸をなでおろし、すぐさま『オルドリクス』に一撃を加える。

表面上にはダメージは見られないものの、魔術王の攻撃を正面からの直撃受け、『オルドリクス』は体勢を崩す。

城壁の上に立つフィアの背後には無数の巨大な魔法式が展開されている。

巨大にして緻密、精巧にして大胆ともいえるその魔法式。

それは魔術王の一撃にも匹敵する攻撃からラムードを護っていた。

それをコントロールしているのは他ならない一人の少女である。

『八相層壁』ドーラはそれをそう呼んだ。



ラムードの上空に輝く球体がある。

光ではない、小さな文字の羅列がそこには描かれていた。

ドーラの周囲には魔法式が圧縮され展開されている。

「まだ七割と言ったところカナ。完成とは程遠いけど、まあ及第点カ」

ドーラはそれを上空から見下ろしていた。

額からは玉のような汗が流れている。

ドーラにして最強の防御壁と言わしめるその魔法は八相の分厚い壁とともにラムードの城壁を包み込んでいた。

「こちらも終わらせないとネ」


クーナはそれを立体映像で見ていた。信じられないと言った面持ちである。

それは既に彼女の理解の範疇を超えていた。

すでに彼女たちが魔法と呼べる領域ではない。

それほどの規模の魔法を使える者は現在一人しかいない。

もっともクーナもその魔法を聞いただけで実際に目にしたことはないが、

文献で呼んだ者の表現に最も近い。

「大魔女…」

クーナは無意識にその言葉をつぶやいた。

「本当にいつもいつも…」

言葉とは裏腹にどこかその横顔は吹っ切れたようにも見えた。

ようやくオルドリクスの魔神器編も大詰め。

フィアはここでいよいよ他の聖堂回境師よりも一歩抜きんでた存在になります。(一人を除いて)

『爵位持ち』の魔族と戦えるという時点で結構やばいっす。

エドランデ辺り攻略できる聖堂回境師ほとんどいないんじゃないw


ここで次の魔王戦争編のことについてちょっとだけ。

これが終われば魔王戦争編に突入します。

敵になるのは第五魔王ポルファノア。

ミッドナイトクラウンの最後に出てきたあいつです。

因縁ある奴結構いるし、追放されたあの聖堂回境師も出てきます。

ちなみに雷洸姫、あの魔剣使いも再登場します。

それでもっていよいよあの黒い奴の力も見られますよ。

今までの総決算みたいな部になるかと。

ああ、書けるのがたのしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ