さようなら。 私を捨てた『元・恩師』と『元・友人達』よ。
●サイナ。
主人公。一人称は「ボク」。
容姿:肩より上までの癖毛にスレンダーな体格[猫を彷彿させる顔と容姿]。
転生による補正はナシ(神様に会ってないから)。
前世のトラウマが残っており、諦めやすい性格だが,家族の事には話が別。
また奪われ、彼女が取った行動は………。
最初の記憶。
ボクがこの世界に生まれ落ちて間も無い頃の記憶。
「無事に産まれてきて本当に良かった。」
「これから貴女は私達がずっと護っていくわ。サイナ」
ボクが転生して最初に得たもの。
ボクが何よりも欲しかったもの。
ボクが産まれてきた事を祝福してくれて、ボクを無償に愛してくれる…、
『最愛の家族』。
『おぎゃぁああああああぁああぁぁあぁああ!!』
大泣きした。
「あらあらどうちたんでちゅかサイナ~?。」
「ミルクが欲しいのか?それともオムツか?」
身体が優しく持ち上がる感覚。
産まれたばかりで眼がまだ見えなくても分かる程におたおたと慌てた声。
違うよ。違うんだよ。
嬉しいんだよ。嬉しいから泣いてるんだよ。
この人達が「お父さん」と「お母さん」である事に。
やっと「お父さん」と「お母さん」に出会えた事に。
『う、あああ。うぁーあううう』
「おーよしよし。泣かないのー。」
「お父さんがたかいたかーいしてあげるぞー」
有難う。本当に有難う。
そう言いたくても赤ん坊だから言えない。
それが一番悔しかった。
だから。
心の中で誓う事にした。
「私」は…一つ前の自分を棄ててあなた達の子供である「ボク」として生きる事に。
ボクもあなた達を護るよと。
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これがボク…、サイナ=ウィル=ヴィレッジ=ナイトの始まり。
…そうだ。ボクにはまだ『最愛の家族』が残ってる。
これしかなくなったボクには、これだけは絶対に護らなくちゃならないんだ。
だから。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………さよなら。
…………それから年明けて春。オルボーア学園の卒業式。
「卒業生代表・サイナ=ウィル=ヴィレッジ=ナイト。答辞の言葉を。」
『はい。』
サイナ=ウィル=ヴィレッジ=ナイト、在籍僅か一年でオルボーア学園を首席で卒業。
その後は父の領地を引継ぎ、オルボーアとは独立。
そして一年。
南大陸の西の方角に位置する国・オルボーアは。




