そして残ったものは…。
「貴族じゃない【ナイト】一族が出席なんて、王族達が黙ってないでしょ?」
「すまないなサイナ。それにアヤカが…。」
「まぁ呼ばれなかった位で気にすんな!! サイナの分まで楽しんでおくからよ!!」
分かってる。ナータ達の言う通りだ。
王族の身分関係はとても混沌として、貴族のパーティで身分不相応な者を招いたら下手をすれば顰蹙を買う事にもなる。ボクにパーティの事も黙ってたのもボクを傷付けない為だったのも分かってる。
………………………………けれど。
……………そこから先の事は、殆ど覚えていない。
――――ああやっぱりね。
その程度のものだったんだ。
ボクはまた、奪われてしまった。
もうみんな変わり果ててしまった。
今ではもうヨハン先生は[一つ前]の“先生モドキ”と同じ存在でしかなかった。
妹の奴隷となり果てていた“先生モドキ”に。
「私」を信じずに罵っていた“先生モドキ”に。
もう子犬みたいなランドルフはもういない。
今では欲情に鼻の下が酷く緩んだ気持ち悪い笑みを浮かばせて、
尻尾を千切らんばかりに振っている狗になっていたなんて。
必死にご主人様を喜ばせようとする狗になっていたなんて。
必死にご主人様の気を惹こうとする狗になっていたなんて。
…『私達、ずっと親友でいようね!!』そう言ったのはナータ。
結局は立場の良いアヤカに乗り換えるなんて、同じ女として尊敬すら感じるよ。
もうこのオルボーア学園に大切なものはなくなった。
今のボクに残っているのは……………………………、ただ一つ。




