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プロローグ

よくある異世界転移ものです。MMORPGの世界にはよくネカマと呼ばれるゲーマーがいますよね、主人公は図らずして女性キャラになったことで力を得て

元の体?(世界)に戻るために旅をします。



 

「うん、大丈夫だよ母さん。」


 空港の待合い室の側にある電話スペースから母親に電話をしているのは、ショートカットの黒髪に黒いハイネックのシャツに赤いフリースのベストに黒いジーンズとショートブーツはダークブラウンといった出で立ちで、すぐ側にはオレンジに白いストライプ入りのLサイズ(70リットルクラス)のスーツケースが置いてあった。


「もうすぐ搭乗が始まる・・綾ちゃんのとこいくだけだし。心配ないって。」

「えっ最近行方不明の事件が多いから?。」

「ああV・O・M・S (仮想現実オンラインゲーム精神障害症候群)がらみのことだね、大丈夫だよ今はやってないからさ。」


V・O・M・S (仮想現実オンラインゲーム精神障害症候群)は、昨年に起きた全世界規模の大事件だった。

その前年から世界各地で散発的に起きていたインターネット接続中の死亡事故の因果関係が証明されたのである。


それまでにもインターネットを使って遊ぶゲームで、現実社会で殺人事件とかは起きていたが今回の物は、ネットゲーム中に現実社会から切り離されてしまう=意識が戻らなくなり肉体が衰弱死してしまうのだ。

特定のあるゲームVMMORPGと呼ばれる没入型のものに多く見られたことからV・O・M・S (仮想現実オンラインゲーム精神障害症候群)呼称される。

この特徴はゲームに接続中になんらかの方法で精神そのものが、そのゲーム世界にとりこまれると当初考えられていた。

疑似体験型と呼ばれるこれらのゲームではディスプレイではなく、特別なヘッドセットを用い、マウスやキーボードではなく神経と擬似的に接続して遊ぶものである。


最初の犠牲者は廃ゲーマーと呼ばれる人々だったが、その後徐々に増えていき、ついに司法の乗り出すことになったが、その頃には運営会社に人の姿はなくサーバーやそれを管理するコンピューターのみが世界各地に点在し、無人で稼働しているのみだった。しかも関係者のほとんどすべての人が行方不明であったり、最初から存在しないという異常事態に加えて資金の出処も不明だった。


一部関係者とおぼしき人々もいたが、すべてゲームの世界に埋没しており現実世界に連れ戻すことはできなかった。

事件はこれで終わることもなく、次はゲームに関係ない人々が消失し始めた。

もしくは同時進行で消えていたかもしれないが、そこまでは追求できなかった。

同時多発で起きていたのかもしれない。

さらに2016年頃に起きた仮想現実体験型テーマパーク「リアルワールド」での大量行方不明事件もこれに関連してるのではと噂されていた。 

彼の母親が心配しているのはそこである。


「うん、じゃあねぇ父さんによろしく~。」


 電話をベストのポケットに入れて肩から下げたバックをかけ直しスーツケースを引っ張って搭乗ゲートに向かう。


「マイナーなんだよなぁ~チェコって、綾ちゃん何が良いんだろう?。」


 綾ちゃんというは、母親の妹で正確には叔母にあたるのだが母とは父親が違うので、

10歳の年の差がある。綾が9歳の時に自分が生まれた同じ家で育ったので、だから叔母というより姉弟のような関係なのだ。

今から利用するのは格安なパック旅行だけれど、オプションプランが多いので、それに参加しなければ自由な時間がとれることになる、申し込みする際にも旅行者の人に姉に会うことを告げて了解も取ってある。叔母が留学する際に両親とともに訪れたことのある国でもあり街でもあるのし、片言だが言葉もある程度通じるので、両親に仕入れも兼ねて出かけることに承諾と予算をもらったのだ。


今時仕入れに出向く必要はなく、インターネットを使えばいいんだが、まぁネットには載ってないものもあるし、同じものでは飽きられてしまう。写真では質感とかがわかりにくいこともあって普段は叔母=綾ちゃんが手にとって見てくれていたのだが、

仕入れ・・・そう僕の家は輸入雑貨を置いている喫茶店を経営しているのだ。初めは普通の喫茶店だったのだが、大手のチェーン店が近くに出来た頃に何か特徴を出そうとして模索してた頃、末の妹が高校の修学旅行で買ってきた海外の土産を置いたらたまたま売れて、それじゃあと飾り付けとかもそれなりにしていくと常連さんの口コミもあり、いまじゃあ地元では結構有名になってしまった。


東欧の民芸品ってマイナーだったからね。

そうこうしてるとその末の妹が留学してその国の大学の研究室に入ってしまった。

それをきっかけに綾ちゃんは仕入れ担当となり、うちの店に品物を送りつけて生活費にあてるという生活が始まり、うちの親はその商品を売るコーナーを作り~いまじゃあ東欧雑貨のお店と化してしまっている。


綾ちゃんの研究はちょっと変わっててとても日本じゃ受け入れてもらえないらしい。

それは、星の運行に関することで、普通私たちが理解できてるのは、地球が太陽の周りを回っているところまでで、実は太陽系も銀河系の中を約2億5千年位で一周してるなんて、僕も綾ちゃんに聞くまで知らなかったんだけれど。


ちなみに2億5千年位前に何があったかというと、地球の歴史上最大の大量絶滅があったらしい。海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅したそうだ、これって凄いことだよね。


更に約4億4400万年前にも大量絶滅が発生し、当時生息していた全ての生物種の85%が絶滅したという。

地球が太陽の周りを巡ることで季節が変わるように、太陽系そのものも銀河系の中を巡ることで環境が変化するのじゃないかなと仮定して[銀河季節論]を提唱して教授に注目されて、

大学の研究室に残ることになりそれを証明する過程で、更に銀河系もそれが所属する大銀河団の中を周回してるとしてのだから、それも関連してるんじゃないのかとその周期を計算してる中で、最近の異常気象やなんかもそれが関係あるんじゃないかと唱えてるんだそう。ただ、実証が難しいから認められてないんだって、まぁスケールがでかすぎるもんねぇ。


成田からのフライトで現地に到着したのが朝の8時・・・朝食は機内食で済ませて、空港に着いたらそのままツアーのバスに強制拉致されて、午前中の観光先を回り土産物屋を徘徊し、お昼は自腹(笑)で食べてからバスに揺られて、ホテルにチェックイン。同室の大学生は気さくな人で女の子の多いサークルの引率で参加してるとのこと、そういえば車内でも黄色い声が多かったかもしれない。


午後からはオプションの観光ツアーということで、ホテルのロビーに1時に集合ということで一応支度をして集合する。オプションのツアーに参加しないのは僕だけのようだけれど、自由行動の時間だし事前に連絡も行ってるようで、添乗員さんも帰宅の時間だけ確認してバスに他の人達を案内していった。

一応僕もみんなと同じようにホテルを出て、バスを見送ってからフロントで聞いたバスターミナルまで

歩き始めた。石造りの町並みの中を旅なれた風を装いながら・・・


バスターミナルまでの道すがらとある街角でショーウィンドウに映る自分の姿にみとれつつ、なにげにウィンドウの中のジオラマを見る。どこかの街を再現したかのような情景にどこか懐かしさを感じて。

その時ふいにショーウィンドウに空を横切る何かが写り込み、思わず振り返ると軽くめまいがしてー

世界が変わってしまった。



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