アイとライの愛はダイ
アイとライは恋人同士
ふたりのエキセントリックな会話
甘いだけの愛は、私を辛くさせ、カライだけの愛ではすぐくたばり、
本当に人間という生き物は、贅沢に出来ていると、日々、思ってしまう。
私は彼をライと呼んでいた。
ライ。そう、lie。ウソ。
予防線だった。自分が傷つかないための。
けど、予防線を張った時点で、私たちの愛は息をひきとっていた。
だって、それじゃ、最初から疑ってかかっているから。
ライは言った。
「ライとアイのアイはダイ」
「そうね」
「死んだところからはじめない?」
「新しく愛が生まれたの?」
「まあ、そんなとこ」
私は特に同意も否定もしなかった。
流されるまま、ふたりは一緒にいた。
波に逆らう事をしなかった。
まるで、サーファーのように。
波に乗った。
真夏の太陽が、ふたりを照らした。
「ねぇ。ライ。愛の中心を射抜いて見せてよ」
「ダーツみたいに?」
「そう。一発で。最高にクールにね」
「僕のお姫様は、やけにカーブがキツイね」
「体ではなく?」
「そこは、まかせるよ」
私は、ちょっとむくれた。
「アイ。愛は空気みたいなものって言うじゃないか。どうやって空気を射抜けるって言うんだい?」
「それは、考えてよ。なぜ答えを私が考えるの?」
「解答は、すでにキミが持っているのが、当然じゃないのかい?じゃなければ試験にならない」
私は口ごもった。
頭の中を何度シェイクしても、答えは出て来ない。
「やっぱいいわ。シェーカーが故障したの」
「ふーん」
ライはつまらなそうに、口笛を吹きだした。
「ねぇ。あれ、スキビルは?」
「スキップビートの事?それは音程に自信がない」
「じゃ、サビだけ」
「僕のプライドが許さない」
「変なトコでプライド出さないでよ。出し所ってもんがあるでしょ?」
今度はライがむくれた。
「愛を確かめるにはどうするの?」
「どうするの?」
「やっぱSEX?」
「いいんじゃない?そう思うなら」
そっけないライの返事にムカッと来る。
なんだよ。かっこつけちゃって。
そのなりで、ぬいぐるみ好きなくせに!
キミの事は、キティーちゃんの次に好きだって。
バカにしてんの?この幼稚男~っっ。
あたしは心の中で毒を吐きまくった。
AKBなら、まあうなづけるけどさぁー。
「どうかした?」
「どうもしてないと思ってんの?」
「やっぱ怒ってる?」
「なんで怒ってると思う?」
「キミがキティーちゃんを一生かけても抜けないから?」
「え?一生なの?」
あたしはガクッときた。なんなの~??
もうっっ。バカッ。
「知らない!!」
あたしは、猛ダッシュでその場を去った。
なんて事なの?
人間じゃないのよ?ぬいぐるみよ?
キティーよ?
何よそれ~?ありえない!!
ライからメール。
(いつか、キティーちゃんを卒業するから)
いつか?
い・つ・か?
それ、いつよ?
50年後とか言ったら、しばくぞ?
(いつかっていつ?何年、何月、何日、何曜日の、何時、何分、何秒なの?)
(そこまでは・・・。まあ、10年を目安に・・・)
えぇ?10年?
キティーとあたしどっちとんの?
いや、これ、ライにとったら
仕事とあたし・・・になっちゃう・・・。
でも・・・。でも・・・。
(経過を見つつ決めます)
(ありがとーアイ。愛は射抜けないけど、子宮なら射抜けるから!!)
はぁ~???
もう、バカ!!ライの大バカ!!!
乙女心、まったくわかってないじゃん。
疲れるっっっ。
(ゴメン。あたし、その手の話、乗れない・・・)
(え?アイ。まだ新車だっけ?)
(だから!、!中古だけどさ!!!なんか文句あっか?)
(え?なのに?なのに?ダメなの?)
流せよ!そこ!コイツ!!!
(まあ、乙女心ってヤツよ。わかってよ。10分の1くらい)
(アイにもあったんだ!!!)
なんなの?その、なんか発見したみたいなリアクションはっっ!!超ムカつく!!!
(当たり前でしょ)
そこから、全然、返信が来ない・・・。
もうっ。バカにしやがって。
そのうちに夏が過ぎ秋から冬になった。
ライが煙草を吸っている。
「あ!またセブン?」
「セブン言うな!コンビニみたいじゃんか!」
「ゴメン。でもさー、セブンスターとセブンイレブンってなんか関連してるの?同じセブンでしょ?」
「そんなの知らん!」
ライは、そっぽを向いた。
私の吐く息とライの吐く煙。
どっちが白いんだろう。
いい勝負かな。
「探求心ないの?」
「僕は学者じゃない!」
「ふーん」
「不服か?」
「不服だけど、まあ許すよ」
「なんだよ。そのまあは」
ライは2本目の煙草に火をつけた。
頬を膨らませている。
あたしは両手で、その空気を抜いた。
「アイ。手、熱い」
「ゴメン。やけどした?」
「どうだろね。してたら体で返せよ?」
「わっ!セクハラだ!」
「恋人同士でセクハラってあんの?」
「あたしが、いま、作りました!!」
ライは、しらけた顔をして、眉間にシワをよせる。
「アイってさ、なんか、初々しいよね」
「さあー。だとしたら、なんか支障あるでしょーか?」
「ま、特にこれといって・・・」
「じゃ、いいじゃん」
「そうだね」
なんか、意味のない会話を繰り返している気がした。
けど、それが返って面白かった。
ここまで、読んで下さってありがとうございました。
これからも、精進していきますので、よろしくお願いいたします。




