第17話 役職
# 役職
*ロール* 【名詞】
## 意味
1. ダンジョンを探索する者が獲得する、冒険や戦闘における専門的な役割のことわん。これに就くことで、特定のスキルやステータス補正を得ることができ、その者の立ち回り方を大きく左右する、重要な要素になるわん。役職は、特定のスキルが発現することで自然と定まることが多いとされているわん。
2. 一般的には、組織内での地位や職務を指す言葉でもあるわん。
## 解説
役職は、特定のスキルが発現することで覚醒する現象だわん。特定のスキルを持つことで役職として定まるのか、それとも役職が複数のスキルをもたらすのかは、まだ結論が出ていない未解明な部分だわん。一度役職に就けば、その役職に応じた特性が発現するけど、別の役職に転向することも可能だわん。ただし、役職によっては、互いに排他的なものや、より上位の役職へ進むための道標となるものもあるから、自分の適性に合わせて慎重に選ぶ必要があるわん。ボクのおすすめは、色々な役職を試してみることわん!
## 類義語
- ジョブ
- クラス
- 職能
## 閲覧者コメント
* 「見習い」から始まって、ついに「剣士」になれた時は感動したわん!これでようやく前線で活躍できるわんね! -- 陽気な駆け出しの探索者 シバタロウ
* 私は「鑑定士」の役職のおかげで、謎の鉱石も高く売れるようになったわん。ダンジョン探索はしなくても、十分稼げるわん。 -- 冷静な商業ギルド所属の商人 ミケ
* 「無職」も一つの役職って考える学者もいるけど、ボクはやっぱり何か得意なものを見つけるのが大事だと思うわん! -- 好奇心旺盛なダンジョン研究家 匿名希望
## 追記メモ
- 特定の役職を持つ探索者だけが使える特殊ダンジョンがあるらしいわん?未確認情報だけど、とても気になるわん!
- ボクの「辞典編纂者」って役職も、きっと誰かの役に立ってるはずだわん!えへへ。
◆ ◇ ◆
「それで、打ち合わせってのは?」
研究棟の一室で広げられたおやつを頬張るわんこを見ながら打ち合わせを開始する。
「彼津野第三迷宮なんだけど、下層、六階層への階段が発見されたそうなの。ただ、上層の再構築も確認されているので調査のため一週間程はダンジョンが閉鎖されちゃうみたいで……」
「なるほど、つまりは初心者向けの別のダンジョンを探さないといけないわけか」
彼津野第三迷宮はその名の通り市内で三番目に確認されたダンジョンだが、他のダンジョンは初心者向けではない所も多い。
「あ、いや、それなんだけど私達のパーティーが下層の発見、踏破扱いにはなるらしく、第三迷宮の調査への参加許可を出せるらしいの――」
俺の今の実力では新しく発見された下層は難しいかもしれないが、上層の調査なら問題ないとは立夏さんの見立てだ。
だが、それでも俺達が調査に参加するにあたっては問題があるらしい。
「――それで、私達が二階層でトラップに嵌まったじゃない? どうやら上層からトラップが配置されるようになったらしいの。そうなると私達だけでの探索が厳しいのよね」
「わん太はトラップを発見できたりしない?」
『むりわん。むりむりわん。ボクはナビゲーターだけどダンジョン辞典のナビゲーターわん』
『うにゃぁ』
わん太もぬこ様も首を横に振っている。
「可愛い……、じゃなくて、一応斥候系の知り合いに声を掛けてはみたの。えーと、まあ、気は進まなかったんだけど受けてもらえれば実力はある人だから。気は進まなかったんだけど……」
立夏さん、「気は進まない」を二回言ったよ。
「……で、ゴメンなんだけどその人、今から来るって」
若干死んだ目になった立夏さんがそう言った瞬間、部屋の扉が開け放たれた。
「リツリツいるー?! お姉ちゃんがリツリツの彼氏をチェックしに来たにゃー!」
騒がしく開かれた扉の先には、この学校で知らぬ者はいないといっても過言ではない少女の姿があった。
まっすぐ伸びた黒髪の上で三角の猫耳がピクピクと興味深げにこちらを伺っている。
「え、不忍先輩?!」
「そう、知っているかもしれないけど不忍偲、探索科の二年生で不本意ながら私の従姉妹なの。これでも優秀な斥候職で通っているわ」
立夏さんが溜め息をつきながら突如現れた先輩を若干投げやりに紹介した。
「ちょっとちょっと、いつもクール系だけど今日は特にお姉ちゃんに辛辣じゃない? さては彼氏を取られると警戒してるにゃ。まあ、最近リツリツが浮かれてるって噂だしにゃぁ」
「な、な、にゃんですかその噂は! あ、まさか姉さんが噂の元凶だったりしませんよね」
立夏さんの言葉をスルーして不忍先輩は部屋に入り扉を閉める。
「それで、君が深西森羅君かにゃ。そうそう『ダンジョン辞典』のアプリは良いよね、ウチもサブスクに入ったにゃ」
「なっ……」
さらりとダンジョン辞典に触れる不忍先輩に思わず立夏さんを見ると無言で首を横に振っている。
「にゃ、やっぱりシンラっちがダンジョン辞典の主で良いみたいだにゃ。あ、リツリツが喋ったわけじゃないにゃ。ウチ、というか、不忍の家が情報収集に長けているのにゃ」
不忍先輩は得意気に胸を張る。
「ダンジョン辞典の主が依頼主なら受けるしかないにゃ。それでは改めまして、探索科二年不忍偲、役職は『NINJA』、人呼んで【忍ばない】『NINJA』とはウチの事にゃ!」




