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魔王の契  作者:
5/6

予知

リヒトの兄アルドリック→アル

額→サイラス

漢→バルド

光の魔王→リヒト

掌→エリオ

喉元→ノエル

軽→カイ

耳元→エリアス



「予知は覆すことができる。だが、簡単なことではない。」


「覆せばどこかで帳尻合わせが起きる」


それは、リヒトが魔王城に来てから魔王たちが嫌という程実感していたことだった。


「でも、アベルを見捨てること出来ないだろう。」

エリアスが口火を切る。

「他に何も情報はなかったのか?」


「この城と、騎士がいたということしか…」


リヒトいわくいつもよりも酷く断片的で、それに視界がぼやけていてはっきりと見えなかったそうだ。

言えることは、"魔王城""騎士"そして"アベルの死"。

それだけだった。


しばらく沈黙が続く。そもそも、アベルがいなければ問題ないのではないか、そう思った。


「なら、アベルが城にいなければいいんじゃ…。」


魔王たちがいっせいに僕を見た。


「でも、いつ起きるかは分からないんだ。そんないつまでも遠ざけることなんて…」


「…刻印はなくてもアベルはこれまで予知を逸らすのにすごく貢献してくれてたんだ。」


「…じゃあ予知をでっちあげて、しばらく街に派遣したらどうですか?」


「それはありだね。」


サイラスが真っ先に反応する。

では、予知の内容は、街で大規模な争いが起こる、その因子を探して欲しいというものだ。

魔王たちは刻印が浮き出ているため街にいることは難しい。

刻印は能力の発動を表す。魔王たちにとっては呼吸に等しく、発動を抑えることは簡単じゃない。唯一できるのは、エリアスとカイ、そしてリヒトのみ。

隠せるのは、アルとバルド。エリオも隠せるが、純粋に思考を読み取りすぎて疲れてしまうのだそう。

だからそこで、アベルにしか出来ない任務という話になった。

そして、アベルがやっていた城の手伝いを僕がやることになった。

そのために1度教会にもどり、少しの間旅に出ると伝えることにした。


話し合いが終わり、アベルに事情を話、次の日に僕と共に街に行くことになった。

暫くはアベルには教会にいてもらおうと思う。


次の日の朝、魔王たちに見送られながら出発した。道中、アベルは嬉しそうに魔王たちが助けてくれたことや、日常の魔王たちを教えてくれた。昨日少し魔王たちと過ごしただけで彼らがいい人たちだということは分かっていたが、アベルから聞くと、より彼らが暖かいと感じた。

夕方くらいへ街へ着いた。

着く直前に、魔王の話はしないように釘をさしておいた。自分が思っていたよりアベルは大人で、心配する必要はないことがわかった。


アベルを教会へ送るついでに、懺悔室に行こうと思った。懺悔することはないが、あの日の夜、ルシアン大司教様と話をしたからこそ、少し自分の考えを話したいと思ったからだ。

彼ならきっと…。


懺悔室に入り、前と同じく話そうとする。


「天使様、ルシアン大司教様、話を聞いてくださいませんか?」


すると柔らかな笑い声が聞こえてくる


「新しい呼びかけですね。マリウスくん。

どうしましたか?」


「魔王の話です。魔王城で魔王たちに出会って、思ったんです。まだほんのちょっとしか話してないけど。彼らは僕たち人間と変わらないって…。」


「…そう、ですか。」


「だから、もうすこし期間をおいて自分なりに見極めたいと思います。」


すると、懺悔室の向こうからルシアン大司教が出ていく音がした、そして、こちら側に入ってきた。


「場所を変えましょう。」


その顔は怒っているようでも、深刻な顔でもなく、いつもと変わらない優しげな顔だった。

移動した先はルシアン大司教様の私室で、魔王城と同じように質素でありながら、上品で、ルシアン大司教がいかに高貴で静謐な方なのかを表しているようだった。


「天印教では、魔王は排除すべき存在であることはわかっていますね?」


ルシアン大司教様の優しくも柔らかい声に対してとても重いものだった。


「本来、大司教という立場である私は。マリウスくん、君に罰を与えなければ行けない、教義に反しているものです。」


「ですが…、私は、平和がいちばんだと思っている。それは、魔王も例外ではありません。」


慈愛に満ちた天使が人間の皮を被っていると思うほどに慈悲深いものだった。

神話に近い言い伝えにある、"慈愛の天使"のように。

だが、あの話には続きがある。

"慈愛の天使"は魔王にもその優しさを向けてしまい、人々に魔王に与したとされ、"堕ちた"とされている。


ルシアン大司教様は僕の手を握り、真っ直ぐ目を見て言葉をかけた。


「マリウスくん、魔王をあなたの目で見極めて欲しい。本当に危険なのか。天印教は変わるべきなのか。私が大司教であるうちに出来ることをしたい。」


「お願いできますか?」


そういうルシアン大司教様の目はとても輝いていた、引き込まれるような、なにか天命を授かったような、そんな感覚だった。


「分かりました。ありがとうございます!」


そうして僕は、その次の日の朝、魔王城へと帰還した。

最後までお読み頂きありがとうございます!


乞うご期待ください!

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