明日世界が終わるから、
ブロマンスを書きたかった。
ふわふわ設定なので、暖かい目で見ていただけますと。
明日で世界は終わるらしい。
もう、世界は今日しかない。
何を言ってるんだ?って感じだよな。
俺もそう思う。けど、本当なんだ。
なんでも、1ヶ月くらい前に、この国を…いや、この世界を作った創造神サマが教皇サマの前に降り立って告げたんだと。
教皇サマだけじゃなくて、各国に散らばってる沢山の教会にも同じ時間にお告げがあったらしい。ちょうど、お告げがあったって言われてる時間、空から教会に向かって光が降ってきて、キラキラしてるのをみた人がたくさんいる。じじばば達はお告げの光だって騒いでた。
俺はその時ちょっと寝込んでて見れなかったんだけど、神々しい光だったとか綺麗だったとか皆が口々に言うから見れなかったのは残念だなぁ。
まぁ、その時に告げられてた内容はとんでもないことだったわけだけど。
なんか、人間が魔法を使っていろいろやり過ぎて、世界を保つための力の調和が崩れてどうしようもないとかなんとか。難しいことは良くわかんないけど、昔、人間が他種族に仕掛けた戦争とか、土地にかけた魔法とかが原因らしい。戦争なんて俺が生まれる300年も前には終わってる話だけど、なんで今なんだろうな?
………考えてもどうしようもないけど。
世界が終わるってお告げの内容は、まず、国王に知らされ、貴族にもすぐ知らされたらしい。でも、俺らみたいな平民には知らされたのは昨日だ。
平民に知らせれば国中が混乱に陥るし、恨みを買ってる自覚のある貴族も多いからな。本当は世界が終るその日まで言うつもりは無かったんじゃないかな。
けど、1週間前から誰も魔法を使えなくなったんだ。
魔法は元々全員が使えるものじゃなかったけど、誰もつかえなくなるのはおかしい、そう言えば教会にお告げの光が降り注いでたのになんの発表もされてないのはどうしてか、と誰かが言ったことで、国や貴族へ迫る平民がでてきた。
もちろん、国や貴族は当初は知らぬ存ぜぬを貫いてたけど平民の方が数が多いからね、耐えきれず発表に至ったらしい。
世界が終わるなんてお告げがあったと聞いて、阿鼻叫喚って言うの?大人達の取り乱し具合はすごいものだった。
街中が大混乱。世界が終るならって貴族に殴り込みに行くやつもいれば、子供みたいに地面に身体を投げ出して泣いてるやつもいるし、世界が終るはずがないって怒ってるやつもいた。
一夜明けても街は混乱したまま。
神サマが言うことなんだから、足掻いたところでどうにもなら無いのにな。
俺はそんな人達を横目に、街を抜け出し、街を見下ろせる高台にひとりでいる。ここは遥か昔に打ち捨てられ、今では誰も足を踏み入れることのない、俺の秘密基地みたいなものだ。
「は~~~。世界が終わる……。おわるなら、もう、いいよなぁ……。」
溜め息とともに、そんな言葉を吐き出し寝転がる。
世界が終わるのなら、あんな家にいる必要はない。
酒ばかり飲んで自分の機嫌が悪いってだけで殴ってくる父親も、なんで私ばっかりとヒステリックに叫んで八つ当たりしたと思ったら貴方しか居ないのと泣きすがってくる母親も、もう、相手にする必要なんかない。
別に親を恨んでるわけじゃない。
良い親じゃなかったが、屋根のある家で寝れたし、腹一杯になるのは無理でも毎日なにかしら食えた。殴られない日もあったし、家族3人で出掛けた日もある。
世の中には親も居ない、食べるものもない、住むとこもない、その辺で野垂れ死にするしかないやつだっていることを考えたら俺は別にドン底じゃなかった。金持ちだからって幸せだとも限らないことも知ってるしな。
…恨んじゃいないが、世界が終わる日まで一緒に居たいとは思えないから1人ここにきた。
俺は逃げもせず働いて金入れてたし、わりと親孝行してただろ。最後くらい自由にしてもバチは当たらないはずだ。
そう、最後くらい好きなように生きたい。
ここで終わりを見届けるのもいいし、街をでてあてもなく歩くもいいな。
食料は街をでる前に肉屋から干し肉と八百屋から果物をとってきたから困ることはない。ちゃんと金は置いてきた。足りないかもしれないけど、明日世界が終わるんだからそこは許してほしい。そもそも店番も居なかったしな。
あとは、そうだなぁ………最後くらいもう一度…
「……会いてぇな。」
「誰に?」
ぽつりと溢したその言葉に、返ってくる言葉。
ここは、俺だけが知ってる場所だ。
正確に言えば、俺と…アイツだけが知ってる場所。
寝転がる俺の上に、ぬっと影がさす。
「誰に会いたいんだ?」
「は?」
逆光で顔は良く見えないが、おおよそこんな場所には似つかわしくない身なりの人影。
…まさか、そんなわけ無いと思いながら、ガバッと身を起こし、サッと距離を置き、その顔を見上げる。
目にはいるのは、俺が一生かけても着ることはないだろう質の良い服、さらさらとした絹のような髪の毛に、俺が覚えている顔より精悍になった、整った顔。
「………お…まえ…」
「やぁ。久しぶり。」
そこにいたのは、この国の筆頭公爵家の時期当主である、イオス・グリフラトス公爵令息だった。
「なんで?」
「ん?ああ、私がなんでここにいるかって?それは…君がここにいるかもって思って。」
「はい…?」
なんで、俺みたいな平民と公爵令息が知り合いなんだって疑問に思うよな。
本来なら、こいつは一生知り合うはずがない、平民が話しかけることなんか出来ない階級の人間だ。
だが、ひょんなことから俺たちの人生は交差した。
7歳くらいの頃か、イオスが誘拐され、それを見つけたのが俺。偶然だった。
たまたま街はずれを1人で遊んでいるところに、縄から抜け出そうともがいてぐったりしているイオスをみつけた。その時、誘拐犯は街からこいつを連れ去るための準備でちょうど席を外したらしい。その時の俺は誘拐とかわからなかったけど、本能的に助けないとやばいと思って無我夢中で縄をほどき2人で逃げた。それが出会い。
イオスを連れて街の衛兵の近くまで行き、助けを求めるように告げて俺は名前も言わずに走って帰った。1人で街はずれで遊んでたことがバレたらまた殴られるから、面倒ごとに関わるわけにはいかないと思ったんだ。
そこで終わると思ってた。誰かは知らないけど、明らかに貴族だったから。貴族は平民のことどうでも良いって思ってるって父さんも母さんも言ってたし、街の皆も、貴族は良いやつもいるけど関わらない方がいいって言ってたから。
それから2年、そんなことがあったことはすっかり忘れてた俺の前にこいつは現れた。
平民の服装をして帽子も深く被っていたが、俺が着てるよりも遥かに上等な服で、高貴オーラは隠せてなかった。
誰だこいつ、と思ったが、『2年前は助けてくれてありがとう、お礼をしたくて探してた』そう笑って告げたイオスをみて、あぁ!となった。
まさか、俺のことを探してたなんて思いもよらなかったが、2年も探すなんて変なやつって思った。それが2度目の出会い。
もちろんお礼は固辞した。金をもらったら取られるだろうし、隠す場所も金をバレずに上手く使うような頭もない、貴族と関わったことを知られたら怒られる未来しか見えなかったから。
俺がお礼受け取らないと知ると、また来ると言って帰っていったがもう二度と来ないだろうと思っていた。ところが、本当にまた来た。変なやつである。
礼なんかいらないから帰れって言ったら、じゃあ友達になってくれと言われた。
俺がやだって言ったら、また来ると笑って言って帰っていったが、数週間後にまた来た。本当に変なやつである。
頻繁に家に訪ねて来られると困るから、自分だけの秘密基地にしてたここに連れてきた。
それから奇妙な関係が始まった。
たまにふらっと現れては、少しだけ話して帰る。どうやら護衛を撒いてきてるらしくあまり長い時間は居なかったけど、いろいろ話した。最初、1個年上の公爵令息って知った時は土下座した。俺でも王族の次に偉い家って知ってる家だったから。そんな俺をみて爆笑してる姿をみて、貴族も同じ人間なんだなぁ、なんて思った。
交流を深めていくうちに、貴族でも、どんな金持ちでも幸せとは限らないことも知った。こいつは高位貴族だから余計にそうなんだろうけど、生まれた瞬間から責務を負い、逃げ場の無い生活、求められる水準の高さ、平民には見えない部分で苦労が沢山あるんだと思い知らされた。
『公爵家に生まれた自身の責務だから逃げ出すことはできないけど、君との密会は数少ない息抜きなんだ』と言われたときは、密会ってなんだよって笑い飛ばしたけど、1個しか変わらないはずなのに、あまりにも大人びて見えて眩しかった。
俺は俺で、幸せとは言い難い生活だったけど、イオスとの時間が息抜きで楽しみだった。字の読み方や書き方なんかも教えてもらったし、俺が知らないことも馬鹿にすることもなく、いろいろ聞かせてくれた。俺がただ過ごしてただけじゃ知り得なかったようなことを知れることは新鮮だった。
頻繁に会うわけじゃなかったけど、交流はずっと続いて、俺たちは気のおけない友人となった。
誰にも言えない、言ったところで信じてもらえるはずの無い友人。
2人でくだらないことを話しながら笑う、それだけ。それだけだが、なにより楽しい時間だった。
だが、貴族と平民。そんな時間は長く続かない。
俺は13歳、イオスが14歳になる頃、2度目の出会いから4年経った頃にイオスが、もうここには来れないと言った。
ずっと続くはずはないと、わかっていたことだった。15になったら貴族の子息達はみな、王立の貴族院に行く。デビュタントもあるし、ほとんどの貴族は婚約して、次期当主、それを支えるものとして学ばなくてはいけない。
高位貴族のこいつが、ふらふらと街にでて遊ぶことなんて出来ない。もちろん、護衛をつれて買い物とかはあるだろうけど、高位貴族は基本的に商会を家に呼ぶって聞いたし、街に出るとしたって治安のいい貴族街だけだ。こんな街のはずれに来ることなんて無い。
まして、笑いながら水面下で足の引っ張りあいをする貴族のことだ、公爵令息が平民の、しかもなんの取り柄もなく最底辺に近いやつと友達だなんて知れたら何を言われるかわかったものじゃない。俺が平民でも豪商の子供とかだったら違ったのかもしれないけど……。
この4年が特別だったのだ。
公爵家ともなると、使用人ですら貴族出身者で固められてるのに、俺みたいな貧乏な平民が会って話をする、友達を名乗るなんて本当にあり得ないことだから。
『ここに来れないなんて、考えただけで気が滅入る。』
『仕方ないだろ、お前は貴族なんだから。』
『まあ、そうだけど……寂しくないのか?』
『はっ?寂しくなんか………ないこともないけど…』
『ははっ、ないこともないか。僕もだ。君と会えなくなるのは寂しい。』
『おっ、おれは寂しいとは言ってない!まあ、あれだ、会えなくても友達だし……』
『っ…!そう…だね、僕たちはずっと友達だ。』
そう寂しそうに、だけど嬉しそうに笑って『またね』と去っていった。
それから、5年。
もう会うはずが、会えるはずが無いはずだった人。
「元気だった?」
にこにこと笑いながらそんなことを聞いてくる。
「…げんき…だったけど、なんでここに?」
「ん?だって、世界が終わるでしょ?」
「あー、らしいな。明日が最後って。」
「だから。」
「だからってなんだよ(笑)」
「もう、終わるなら最後に君に会いたいなって。」
「……!!」
「君は?誰と会いたいの?もしかして好きな子できた!?どんな子?可愛い?」
楽しそうにそんなことを聞いてくる。
「いや、好きな子はいねーけど。」
「え~~、そうなんだ。ここ4年だれも?彼女とかは?」
「んー、いや、彼女…は2年くらい前にいたっちゃいたけど、…フラれた。」
「フラれた?君が?」
「そーだよ。なんか可笑しいか。」
「いーや…君を振るなんて見る目無いなぁって思って。」
「はっ、なんだそりゃ。お前は?ほら、その婚約者とかできただろ。」
「うん。侯爵家の次女と婚約してる。」
「ほっといていいのか?」
「別にいいんじゃない?家同士の付き合いだしね。彼女は私のことを好いていないようだし、明日世界が終わるのに好いてもない男とは一緒にいたくないでしょ。」
「へー…お前は?」
「私も彼女のことは特別好いたことはないな。もちろん婚約者として尊重はしてたし、うまくやっていこうとは思ってたけど。」
「ふーん。案外さっぱりしてるんだな。」
「貴族の婚姻なんてドライなものが多いよ。で?君は誰と会いたいの?」
「あ?その話に戻るのかよ…」
「気になるからね~。減るもんじゃないし、良いだろう?」
「あーーーー…………ぇ」
「え?」
「だから、お前!!」
「えっ」
「……なんだよ。」
「や…えー…、僕だとは思わなくて。」
「お前も俺に会いたかったって言ったじゃねえか。あと、一人称が僕に戻ってんぞ。」
「びっくりしすぎて。一人称はもう僕でも私でもいいよね。ここには君しか居ないし。……そっかあ。会いたかったの僕かぁ。」
「文句あるんか。」
「ないない!!嬉しいよ、僕も会いたかった。友達は居るけど、君ほど心許してる親友は居ないしね。会えない間、なにしてるんだろうってよく考えてた。」
「親友って、小っ恥ずかしいことを…。」
「事実だろう?」
「まぁ………そうかもな。」
5年ぶりとは思えないくらい自然に掛け合いができる。こいつの隣は、やっぱ居心地がいい。
それから、俺達は2人でいろんなことを話した。会えなかった5年間であったこと、沢山。
話していたらあっという間で、気付けばもう夕暮れになっている。遠くの教会から17時を報せる鐘がゴーンゴーンと鳴り響く。
世界が終わると言うのに、鐘を鳴らす仕事をしてるなんて、律儀なやつもいたもんだ。
「もうこんな時間か。」
「早いね。君と居ると楽しいから時間がすぐ過ぎる。」
「な。話すことは尽きねぇのに。」
ふと沈黙が落ちる。
「……お前は帰らないのか?」
「ん?」
「家に。ほら、やっぱ最後の瞬間は家族とってやつ多そうじゃん?俺んちは、知っての通りだから、俺は帰らねえけど。」
「んーーー。僕さぁ、世界が終わるって聞いて、まず君を思い浮かべたんだよね。」
「は?」
「君に会いたいな、が一番浮かんだことだった。」
「……な…んで?」
「…さぁ?君が一番好きだから?」
「はぁ?」
平然とした顔でなに言ってんだこいつ。
「あ、もちろん、家族のことも大切だし好きだよ。厳しかったし理不尽だと思うこともあったけど、僕のことを思って育ててくれたのはわかるし。でも、貴族!!って感じの、ドライな家族だからね。家族だから一番、家族だから好きって感じの関係じゃないんだよね。」
「あー…」
「まあ、感謝はあるし、世界の終わりを知ってから昨日までの間に会いたい人には会ってきたよ。家族にも友人にも感謝を伝えてきた。あとは、君だけだったんだ。」
「へぇ……」
「世界が終わるなら君と2人で終わりたいって思ったんだよね。」
「…んだそれ。」
「ここに来たら居るかなって思って来たけど、居てよかった。」
「…俺がいなかったらどうしてたんだよ。」
「そりゃぁ、君ん家に行くし、探すよ。」
「は、俺のことめっちゃ好きだな。おもしろ。」
「あっ!なんで笑うんだよ。君だって僕に会いたかったって言ってたじゃないか。」
「まぁ、そうだけどさ……お前ほど重くねーよ。」
「重いってなんだよ。失礼だなぁ。」
「ははっ。」
「で?僕は君と世界の終わりを迎える予定だけど、君は?家族とは会わなくても、友達とかさ。世界の終わりが街に知らされたのは昨日だろう?挨拶したい人とかいないの?」
俺と迎えることは決定事項なのかよ。と思いつつ会いたい人がいないかを思い浮かべる…、が特に思い浮かばない。
「まあ、…俺はいいかなあ。一昨日まで普通に一緒に過ごしてたしなあ。会っても、話すこともないし、家族との時間邪魔すんのも悪いだろ。居たら、ここ来る前に会いに行ってるだろ。」
「そう?」
「そう。それに、俺も世界が終わるならお前と一緒がいいわ。」
「えっ」
「なんだよ。」
「いや、僕のこと重いとか言っておいて、君も僕と同じじゃないか!!」
「はっ、うるせー。寂しがり屋なお前のために言ってんだよ。」
「君だって寂しがり屋だろ!」
「そんなことねーよ!」
「そんなことあるよ!」
「「……ぷっ…ははは!」」
顔を見合わせて笑う。
何をくだらない言い争いしてんだ俺達は。
「なぁ、世界の終わりってどうやってくるんだろうな?」
「あー、そう言えばわからないね。0時になった瞬間終わるのかな、どうやって終わるんだろ?」
「爆発とか?」
「えー、痛いのは嫌だなぁ。」
「んじゃ、急に意識なくなるとか。」
「有り得そうだけど、世界の終わりに気付かないまま終わりそうだね。世界が塵みたいになってくとかは?」
「それ、こわくね?自分が塵になってくの見るわけだろ?」
「あ、そうか。えー、わからないな。」
「まぁ、考えても仕方ねぇか。」
答えのでない問いに頭を悩ませつつ、街を見下ろす。それから、また2人でとりとめのない話をする。
思い出話や、会えなかった間の出来事、○○だったらといった突拍子のない妄想話、くだらない話ばかり、くだらないけど楽しい。
こんな時間がいつまでも続けばいいなと思う。
まあ、世界終わるんだけど。
話の間で、俺が街から持ってきた干し肉と果物を一緒に食べたり、イオスが持ってきたお菓子を食べたりもした。お菓子は甘くて、人生で食べたなかで一番美味しかった。
2人して小腹が満たされ、話も一旦区切られたので、ごろっとその場に寝転がり空を見上げる。
見上げた空には星が輝いていて、もうすぐ世界が終わるなんて信じられない。
「きれーだな。」
「そうだね、星も月も綺麗だ。」
「……ホントにおわんのかなぁ…。」
「終わるんじゃない?創造神様のお告げが外れたことはないみたいだし。」
「へー。そうなんだ。」
「らしいよ。」
「………また離れ離れだなー。」
「……僕が君のこと大好きなのは否定しないけどさぁ、君も僕のこと大好きだね?」
「は?」
「だって、世界の終わりが僕と離れ離れになるって考えって、僕のこと相当好きだよ?」
「や、え……あー?…まぁ、確かに?お前のことは好きだけど…、えー…?」
「なんでそんなしどろもどろなの(笑)」
「いや、男同士で好きだのなんだのって言いあってんの気持ち悪いか?って思って。」
「そんなことない!」
「へっ」
「だって事実だし。」
「お、おう…。」
「会えない間、本当に寂しかったんだから。僕も君とまた離れるなんて寂しいし嫌だよ。」
「…そうだな、嫌だな。」
「世界が終わらなければいいのに。」
「…世界が終わらなかったら、また会えないだろ。」
「…あー…そうだね。」
2人して無言で空を見つめる。
もうすぐ、日が変わる。日が変わりすぐ世界が終わるのか、わからないけど緊張が漂う。
静寂のなか、自分の鼓動と、自分達の呼吸音だけが聞こえる。
その時、空がカッと明るくなった。
明るいのに眩しくない、神々しく柔らかい美しい光が世界を包む。
あぁ、これで終わるんだ…。そう思うけど、不思議と恐怖は湧いてこない。この柔らかな光のお陰かも。
俺はぼんやりしたまま隣に寝転がってるイオスを見る。
「…なぁ、生まれ変わりって信じる?」
「生まれ変わり?」
「そう。昔、話してくれたじゃん、この世界以外にもいろんな世界があるかもしれないって話し。」
「あぁ、昔読んだ物語にあったやつだ。」
「……こことは別の世界に生まれ変わって、また出会えたらさ、また友達になってくれよ。」
「君はたまに可愛いこと言うね。」
「うるせーな。んで?」
「もちろん友達になるよ。今度は、2人とも貴族か、2人とも平民だといいなぁ。親友だって言いふらしたい。」
「言いふらす必要はないだろ(笑)」
「はは、それもそうだね。」
「「またな(ね)」」
――――――――おやすみ、よい子達。
柔らかい声が聴こえた気がした。
微睡んでるときのような心地の良さのなか、俺の意識はなくなり、そうして、世界は終わりを告げのだった。
◇◇◇◇
―――20XX年、地球。
日本の、とある学校にて。
「おーい、みんな席つけー。今日は転校生を紹介する。」
担任のそんな声を聞いて、こんな中途半端な次期に転校生なんて珍しいなと思いながら、あくびを噛み殺し、窓の外を見つめる。
「入ってきていいぞー。」
担任の呼ぶ声に、ガラッとドアが空き歩く音がする。黒板にカツカツと字を書く音が響く。
「…はじめまして、××です。◯◯県から越してきました。中途半端な時期ですが、よろしく。」
低く心地のよいテノールの声に吸い寄せられるように視線を向けると、そこに立つ、転校生と目があった。
心臓がドクリと音を立てる。
初めて見るのに、初めて見た気がしない。なんだか、変な気分だ。
「じゃあ、××はあそこに座ってる△△の隣なー。」
担任がそう告げ、転校生がこちらに向かってくる。△△は俺だ。
俺は歩いてくるそいつから目が離せず、じっと見つめていたが、向こうもこっちを見てる気がする。
転校生が、席にたどり着いて荷物を置き、もう一度俺の方を向いた。
やはり、初めてあった気がしない。
「あー、初め…まして…?」
俺はへらっと笑い挨拶をする。
「初めまして、だよね……?なんか、僕は君と初めてあった気がしないんだけど…。」
そんなことを言い出す転校生に思わず
「えっ、俺も…。」
と言葉がこぼれ、妙な沈黙が落ちる。
「「なんか、世界が終わる日も一緒にいそう。」」
互いに目を見開き、見つめ合う。
次の瞬間、2人して吹き出して笑う。
「今日から友達だな、よろしくな××。」
「親友かも。よろしくね△△。」
2人してそんなことを告げる。
意味わからないことをハモってるし、おかしいのに、なぜか涙が滲んでくる。
そんな俺らを尻目に担任が
「ほらそこー、なんか、青春してないでこっちむけー。HR終わってないぞー。」
とか言ってたけど、笑いも涙も止まらなくて担任が呆れたままHRは終了した。
Fin.
BLというには、恋愛には発展してないけど、特大LOVEではある。
とりあえず、幸せになってほしい。2人。




