妹分
イエユウレイグモ少女をハユリさんの隣に座らせて、取り敢えず面談することに。
しかしまぁこの娘、異常に軽いんだ。ただでさえハユリさん以上に小さい上に、全身が針金みたいに細っこいから、運ぶために抱き上げた時はうっかり折ってしまうんじゃないかと少し怖くなったくらいだ。無抵抗だったおかげでそうならずに済んだけど。
「……それで? お嬢さんは何者?」
確認のための質問。しかし、金髪幼女はぼんやりとした表情で首を傾げているばかりで、何も答えない。
「……ハユリさん、通訳頼める?」
「えっ、あっはい。やってみますね」
ハユリさんに肩を叩かれると、金髪幼女は彼女の方に顔を向けた。
「名前を聞かせてくださいっ」
「んー……」
おぉ、人語は話せそうだな。この調子でハユリさんに任せることにしよう。同じクモの人外幼女どうし、成人男性相手よりは話しやすいだろうし。
「……ユイ。これでいく」
「ユイちゃん、ですか?」
「うん。ドマユイ」
「ドマのユイちゃんですね。恩人さんっ、お名前分かりました!」
「そっかぁ」
言い方的に、今咄嗟に決めた感じだけどまぁ良し。どう呼べば良いか分かっただけで上等だ。
「それで、ユイさん?」
呼びかけると、金髪幼女――ユイさんはこちらに顔を向けて首を傾げた。
「ユイさんはさっきのイエユウレイグモで合ってる?」
「いえ……ゆー……?」
ハユリさんもそうだけど、どうもこの幼女たちは自分の種名に興味が無いな?
「あー……ユイさんって多分、さっきのクモだよな? ハユリさんに食われかけてた」
ユイさんはしばらく目を泳がせた後、小さく頷いた。
「ん。おねーさんに力を分けてもらったの」
「えっ、そうだったんですか?」
ハユリさんが驚くのかよ。ハユリさん自身にも人外幼女の特性はよく分かってないのかな。
「まぁ良いや。それで本題なんだけど、ユイさんはこれからもこの部屋に棲み着くつもり?」
「……だめ?」
「駄目じゃねえけどさぁ。ほら、何を食うのかとか、どれだけの場所を取るのかとか、あるじゃん。今のうちにすり合わせしとかないと」
「……虫、食べて、生きられるよ?」
なるほど、ハユリさんと滅茶苦茶競合してんな。ハユリさん、仕事を取られるの嫌がるタイプだった気がするけど大丈夫だろうか……。ハユリさんの方に目を向けると、彼女は意外にも目を輝かせてユイさんに抱き着いた。
「ユイちゃんっ! それなら一緒に恩人さんに恩返ししましょう!」
「……おにーさんに…………おん、がえし……?」
「はいっ! 恩人さんはわたしたちを嫌な顔せず住まわせてくれる良い人なんです。だから、恩人さんが快適に過ごせるようにわたしたちで悪い虫をやっつけるんですよ!」
ユイさんがこちらに目を向けてきた。会釈して応じると、ユイさんはハユリさんに視線を戻した。
「やる……!」
「うん、一緒にがんばりましょうっ!」
無事仲良くなってくれそうで何より。……しかしまぁ。
「増えたなぁ……人口」




