家
最近、
¨誰かが住んでいた¨
という、
¨家具・家電付きの家¨
を、格安で借りる事ができた。
そして、住み始めて一週間、誰かに見られているような、落ち着かない日々を過ごしていた。
ある日の夜、全く眠れなかった為、部屋の片付けを始めたのだが、
家の中を掃除していた時、タンスとタンスの隙間に、黄ばんだ古い封筒が落ちているのに気付いた。
中には、ペンで書かれた手紙が入っている。
「以前、ここに住んでいた人のものかな?」
──手紙には
困りましたねぇ
最近のお爺さん
何を熱心に勉強しているかと思ったら
¨忍術¨だって
でも、お爺さんは、昔から器用な人ですから…
¨忍術¨も、まあまあ使えるようになったみたいですけど
ただでさえ、家の中でも迷子になりやすいのに、気配さえも消されてしまったら
探しようがありませんわ
誰か、見つけたら宜しく言ってて下さい
先に逝って、待ってます
「おじーいちゃーんっ、返事してくださーいっ!!」
私は必死に叫んだが、相手は、耳が遠かったようだ。
…反応がない。
そのかわり、冷蔵庫の食材の減り方は、激しくなっていった。
時々聞こえる、ゲップの音が男らしかった。
──それから1ヶ月
未だに、彼を見つけられない。